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第1章
第121話 昼のひととき
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「落とし穴を飛び越える練習?なんでそんなこと考えたんだ?」
「逃げるときにつかえるかなって」
「当面、ボブと一緒に行けって言われただろう。ボブは膝を痛めているから馬でしか出かけないぞ」
「あ、そうか。でも馬を降りた時に遭遇したらどうするの?」
変な人に絡まれた時とかに逃げる為の「落とし穴作戦」を兄上に説明したんだけど、いまいち賛同を得られなかった。
即席で作った落とし穴を飛び越えて走って逃げる作戦は、膝を痛めているボブには難しいことがわかった。
「そもそも、ボブが一緒なら絡まれにくくなるだろう」
ボブはモジャモジャした髭面で厳つい。確かに僕と兄上だけで出歩くよりも舐められないかもしれない。
でも今日絡んできた人達とかだったら人数で勝ってるって思われちゃうかもしれないなぁ。
まあ、心配しすぎても仕方ないか。
さっきの人達が、ゲンティアナの騎士さん達に捕まって注意とかされたらもう同じようなことはしないかもしれないし。
沼地を荒らしたのもあの人達なのかな。
騎士達が川岸に向かったその後が気になるけど、お昼を食べてしまいなさいと母様に言われて、魔魚のことを思い出した。
「猫さんに魔魚を……」
「今は厨房は忙しいと思うぞ」
「あー……」
兄上に言われて、ジャックが慌ただしく厨房で食事の準備をしている姿を思い浮かべた。
自分で捌けば……、とも思ったけど結局厨房の一角を使わせてもらうことになっちゃうし後片付けも必要になる。昼食時の忙しい時期が終わってからにすることにした。
お昼は魔鳥の肉とキャベツの煮込みだった。魔鳥の肉がホロホロ崩れるくらいに煮込んであって、キャベツもトロトロで美味しい。
パンにスープを浸して二度美味しい。パンはスープに浸さなくてもふんわり柔らかいんだけど、ちぎってスープに浸すとパンの香ばしい風味とスープの旨味の組み合わせが美味しく感じるんだよね。
「美味~い!」
魔鳥のキャベツ煮を堪能していると、同じようにニコニコして食べていたメイリがふと僕の方を見て言った。
「……ねえ。午後はまたお客様の狩りについて行くの?」
「どうだろう。今日の予定は特に聞いてないけど……」
メイリに訊かれて、伺うように兄上に目を向けると兄上がスプーンを持つ手を止めた。
「今日は騎士が行ってみて狩場の場所と様子がわかっているところに行くから同行しなくても大丈夫だって言われたよ」
「そうなんだ。じゃあ森の泉のところに行けるかな」
また鹿魔獣を狩りに行きたいって考えていたらメイリが心配そうな顔をした。
「森で沼地を燃やした人がいるんでしょう?大丈夫?」
「うーん、大丈夫じゃないかなぁ……」
メイリは、森の沼地が荒らされた件があったから、僕や兄上が森に行くことを心配してくれていたらしい。
川岸で酔っ払っていた騎士が沼地を荒らした犯人かはまだハッキリとはしていないけど、森にはボブも一緒に行くし、心配ないんじゃないかな。
兄上にどうだろうと訊いてみたら少しだけ渋い顔をされたけど頷いてくれた。
「あの連中が沼地を荒らした張本人かどうかもまだわからないけどな。沼地に近づかなきゃいいんじゃないか」
「やった!」
一応。母様に確認してからって事になったけど、兄上も森に行く気になってくれて嬉しい。でもメイリはまだ心配そうだった。ちょっとムスッとした感じで上目遣いに僕と兄上を見る。
「大丈夫そうなら良いけど……。危なかったらすぐ帰ってきてね」
「わかった。ありがとう」
心配そうに僕と兄上を見つめるメイリ。可愛い。頭撫でたいけど、テーブルの向かい側で手が届かないんだよなぁ。
「逃げるときにつかえるかなって」
「当面、ボブと一緒に行けって言われただろう。ボブは膝を痛めているから馬でしか出かけないぞ」
「あ、そうか。でも馬を降りた時に遭遇したらどうするの?」
変な人に絡まれた時とかに逃げる為の「落とし穴作戦」を兄上に説明したんだけど、いまいち賛同を得られなかった。
即席で作った落とし穴を飛び越えて走って逃げる作戦は、膝を痛めているボブには難しいことがわかった。
「そもそも、ボブが一緒なら絡まれにくくなるだろう」
ボブはモジャモジャした髭面で厳つい。確かに僕と兄上だけで出歩くよりも舐められないかもしれない。
でも今日絡んできた人達とかだったら人数で勝ってるって思われちゃうかもしれないなぁ。
まあ、心配しすぎても仕方ないか。
さっきの人達が、ゲンティアナの騎士さん達に捕まって注意とかされたらもう同じようなことはしないかもしれないし。
沼地を荒らしたのもあの人達なのかな。
騎士達が川岸に向かったその後が気になるけど、お昼を食べてしまいなさいと母様に言われて、魔魚のことを思い出した。
「猫さんに魔魚を……」
「今は厨房は忙しいと思うぞ」
「あー……」
兄上に言われて、ジャックが慌ただしく厨房で食事の準備をしている姿を思い浮かべた。
自分で捌けば……、とも思ったけど結局厨房の一角を使わせてもらうことになっちゃうし後片付けも必要になる。昼食時の忙しい時期が終わってからにすることにした。
お昼は魔鳥の肉とキャベツの煮込みだった。魔鳥の肉がホロホロ崩れるくらいに煮込んであって、キャベツもトロトロで美味しい。
パンにスープを浸して二度美味しい。パンはスープに浸さなくてもふんわり柔らかいんだけど、ちぎってスープに浸すとパンの香ばしい風味とスープの旨味の組み合わせが美味しく感じるんだよね。
「美味~い!」
魔鳥のキャベツ煮を堪能していると、同じようにニコニコして食べていたメイリがふと僕の方を見て言った。
「……ねえ。午後はまたお客様の狩りについて行くの?」
「どうだろう。今日の予定は特に聞いてないけど……」
メイリに訊かれて、伺うように兄上に目を向けると兄上がスプーンを持つ手を止めた。
「今日は騎士が行ってみて狩場の場所と様子がわかっているところに行くから同行しなくても大丈夫だって言われたよ」
「そうなんだ。じゃあ森の泉のところに行けるかな」
また鹿魔獣を狩りに行きたいって考えていたらメイリが心配そうな顔をした。
「森で沼地を燃やした人がいるんでしょう?大丈夫?」
「うーん、大丈夫じゃないかなぁ……」
メイリは、森の沼地が荒らされた件があったから、僕や兄上が森に行くことを心配してくれていたらしい。
川岸で酔っ払っていた騎士が沼地を荒らした犯人かはまだハッキリとはしていないけど、森にはボブも一緒に行くし、心配ないんじゃないかな。
兄上にどうだろうと訊いてみたら少しだけ渋い顔をされたけど頷いてくれた。
「あの連中が沼地を荒らした張本人かどうかもまだわからないけどな。沼地に近づかなきゃいいんじゃないか」
「やった!」
一応。母様に確認してからって事になったけど、兄上も森に行く気になってくれて嬉しい。でもメイリはまだ心配そうだった。ちょっとムスッとした感じで上目遣いに僕と兄上を見る。
「大丈夫そうなら良いけど……。危なかったらすぐ帰ってきてね」
「わかった。ありがとう」
心配そうに僕と兄上を見つめるメイリ。可愛い。頭撫でたいけど、テーブルの向かい側で手が届かないんだよなぁ。
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