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第1章
第152話 暗闇での考察
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「……もしも、あのドレイクって騎士が沼地を荒らした騎士がいう『冒険者』だった場合……。
なんでそんなことをする必要があるか、だな。
うーん……。ちょっと一緒に考えようか」
階下に行こうと兄上が手で指し示した。僕は頷いて兄上の後ろをついて歩く。
部屋をそのまま飛び出してきたから、兄上が持っているランプだけが階段の足元を照らしている。慣れてはいるけど、暗いなぁって思う。
光るゴブレットのことを思い出してしまった。
あのゴブレットの光は明るかった。あの位の明るさだったら、便利そうな気がする。毒を入れたら光るってことだったら、その性質を利用してランプを作れないかな。光水ランプ?
作るならゴブレットみたいに金属の器じゃなくて、ガラスの器とかの方が明るいかもしれない。どの位の時間、光り続けるんだろう。実験したいなぁ。
「クリス、聞いてた?」
「え?」
光水ランプの構想を練っていると、振り向いた兄上に顔を覗き込まれた。
「毒事件の方が重大だからさ。沼地が荒らされた事件は放置されるかもしれない」
「ええ?毒事件の方が大きい問題なのはわかるけど……。沼地の方はどうなっちゃうの?」
「王宮騎士が間に入ってくれるって話だったけどそれどころじゃなくなったんじゃないかって思うんだ。有耶無耶、にはしてほしくないけど、辺境伯様とかがゲンティアナ家にちょっと謝って問題の騎士は領地に返すとかするんじゃないかな」
「ちょっと謝る……」
「賠償とかの話もあるかもしれないけどさ。問題の騎士が領地に送り返されたり、処分される前に『冒険者』のが騎士だったのかを確認してもらいたい」
「……え?処分!?まさか……、口封じ!?」
「処分」と聞いてギョッとして階段を踏み外しそうになった。慌てて手摺りを掴む。
もう階段下の床まで近かったから、ピョンと飛んで階下まで降りてしまった。
兄上はまだ階段の途中に立っていた。
一瞬立ち止まってから、難しい顔をしながらゆっくり降りてくる。
ランプに照らされた顔がちょっと険しい。
「……『処分』って言ったのは、騎士をクビになるとかって事のつもりだったんだけど……。口封じって……。あり得るのか?まさか……」
階段を降り切った兄上が、険しい表情のまま僕を見つめる。
ちょっと睨まれているみたいで、怖い。
「クリスはなんで『口封じ』って思ったんだ?夢で見たのか?」
「ううん。顔を見た人が『処分』されるって聞いて、『お前、見たのか?』って
なるのを連想しただけ」
「もしも口封じをするとしたら共犯者が……?」
「ええ……」
ギギギと音を立てるように首を動かして、本館の方に顔を向けた。
兄上が、掠れた少し低い声を絞り出した。
「……もしも、毒を持っていた騎士が『冒険者』だったとして、
なんでそんなことをしたのか良く分からない。だからこれから一緒に仮説とか考えようと思ってたんだ。
だけど『あの時の冒険者だ』って証言されたくない場合、口封じするとしたらいつだと思う?」
「……証言される前、でしょう……?それって……今夜……?」
ゆっくりと兄上の方を振り返ると兄上と目が合った。
一瞬だか数秒だか目を合わせた後、同時に走り出して離れを飛び出した。
口封じとか怖すぎる!
なんでそんなことをする必要があるか、だな。
うーん……。ちょっと一緒に考えようか」
階下に行こうと兄上が手で指し示した。僕は頷いて兄上の後ろをついて歩く。
部屋をそのまま飛び出してきたから、兄上が持っているランプだけが階段の足元を照らしている。慣れてはいるけど、暗いなぁって思う。
光るゴブレットのことを思い出してしまった。
あのゴブレットの光は明るかった。あの位の明るさだったら、便利そうな気がする。毒を入れたら光るってことだったら、その性質を利用してランプを作れないかな。光水ランプ?
作るならゴブレットみたいに金属の器じゃなくて、ガラスの器とかの方が明るいかもしれない。どの位の時間、光り続けるんだろう。実験したいなぁ。
「クリス、聞いてた?」
「え?」
光水ランプの構想を練っていると、振り向いた兄上に顔を覗き込まれた。
「毒事件の方が重大だからさ。沼地が荒らされた事件は放置されるかもしれない」
「ええ?毒事件の方が大きい問題なのはわかるけど……。沼地の方はどうなっちゃうの?」
「王宮騎士が間に入ってくれるって話だったけどそれどころじゃなくなったんじゃないかって思うんだ。有耶無耶、にはしてほしくないけど、辺境伯様とかがゲンティアナ家にちょっと謝って問題の騎士は領地に返すとかするんじゃないかな」
「ちょっと謝る……」
「賠償とかの話もあるかもしれないけどさ。問題の騎士が領地に送り返されたり、処分される前に『冒険者』のが騎士だったのかを確認してもらいたい」
「……え?処分!?まさか……、口封じ!?」
「処分」と聞いてギョッとして階段を踏み外しそうになった。慌てて手摺りを掴む。
もう階段下の床まで近かったから、ピョンと飛んで階下まで降りてしまった。
兄上はまだ階段の途中に立っていた。
一瞬立ち止まってから、難しい顔をしながらゆっくり降りてくる。
ランプに照らされた顔がちょっと険しい。
「……『処分』って言ったのは、騎士をクビになるとかって事のつもりだったんだけど……。口封じって……。あり得るのか?まさか……」
階段を降り切った兄上が、険しい表情のまま僕を見つめる。
ちょっと睨まれているみたいで、怖い。
「クリスはなんで『口封じ』って思ったんだ?夢で見たのか?」
「ううん。顔を見た人が『処分』されるって聞いて、『お前、見たのか?』って
なるのを連想しただけ」
「もしも口封じをするとしたら共犯者が……?」
「ええ……」
ギギギと音を立てるように首を動かして、本館の方に顔を向けた。
兄上が、掠れた少し低い声を絞り出した。
「……もしも、毒を持っていた騎士が『冒険者』だったとして、
なんでそんなことをしたのか良く分からない。だからこれから一緒に仮説とか考えようと思ってたんだ。
だけど『あの時の冒険者だ』って証言されたくない場合、口封じするとしたらいつだと思う?」
「……証言される前、でしょう……?それって……今夜……?」
ゆっくりと兄上の方を振り返ると兄上と目が合った。
一瞬だか数秒だか目を合わせた後、同時に走り出して離れを飛び出した。
口封じとか怖すぎる!
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