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第1章
第154話 緊張する報告
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僕をみて父上が怪訝そうに眉を顰めた。
「クリスは何を泣いているんだ」
「……泣いてません!」
「じゃあ、言いたい事をはっきり言いなさい」
ギロリと父上が僕の顔を覗き込む。怖い。でっかい魔獣みたいな迫力だ。でっかい魔獣って泉の向こう側にいるのしか対峙したことないけど。
父上に説明しなきゃと思うけど、どう言おうと考えながらキョロッと周囲に少し意識を向ける。
あれ?僕達しかいない?
水溜まりに小石を落とした時の波紋みたいに気配を探る波を広げてみたけれど反応がなかった。。
さっきまでラウンジに人が集まっている気配がしていたのに、どうやら勾留されている騎士のところに向かってしまったのか誰も居なくなっていた。残っているのは父上と母様と兄上と僕だけだ。
それならあまり言い方を考えなくても大丈夫かな?
スーッとよく息を吸いこんでから口を開いた。
「口封じが怖いんです!」
「は?」
父上から何かが爆発したような激しい気配がブワッと広がった。兄上が両手を広げて声を張り上げる。
「クリス!それじゃ誤解を招く!父上、口封じされるのは容疑者です!」
あ、僕の言い方が変だったのか。
「あのっ……沼地の事件と毒事件が繋がっているかもしれないって思って……」
「……それで、口封じか……」
シューっと音を立てるように父上の燃え上がったような気配が落ち着いていく。
危なかった……。
あのままだとどうなってたんだろう。
兄上も安堵の息を吐いたのがわかった。額の汗を拭っている。
母様は特に変わらない落ち着いた様子だった。
兄上はラウンジ入り口まで急足で行って室内を覗いてから、振り返った。
「父上、沼地を荒らした騎士達を煽った『冒険者』が、毒を盛ろうとした騎士の可能性があります。
もし、共犯者がいた場合、沼地を荒らした騎士が余計なことを証言しないように
動くのではないかと思ったのです」
「ほう……。冒険者の話を何故知っているんだ?」
「っ……。取り調べている声が聞こえてきたんです。大きな声だったから……」
「……そうか……」
兄上の声音が緊張している。冒険者のことって、僕達が尋問を盗み聞きしたって
思われちゃったかな。
尋問している場所の近くまでは行ったけど、盗み聞きはしていないつもりだよ。
父上に脳裏で見た酒場の光景のことを詳しく話そうとしていたのに
バタバタと廊下を駆けてくる足音が聞こえてきた。
「セルジュ様!勾留されている者達の様子がおかしいです!
毒を盛られたかもしれません!」
「何?」
ゲンティアナ家の騎士が父上に報告に来た。「毒」と聞いてギョッとする。
父上が騎士の方に向かって歩いていく。
一緒に行こうとしたら、肩を掴まれた。
「ローレンとクリスは離れに戻っていなさい」
「え?」
僕の肩を掴んだのは母様だった。顔を近づけて、真剣な表情で僕を見つめる。
「気になると思うけど、危険かもしれない場所には居させられないわ」
「……危険なら、母様だって……」
「母様のことは、貴方達のお父様が守ってくれるわ。
治癒が必要かもしれないから、行く必要があるの」
チラッと兄上の方を見ると兄上が頷いた。離れに帰ろうってことだ。
伝えるだけ伝えたし、戻った方が良いんだろう。
気になるけど……。
「クリスは何を泣いているんだ」
「……泣いてません!」
「じゃあ、言いたい事をはっきり言いなさい」
ギロリと父上が僕の顔を覗き込む。怖い。でっかい魔獣みたいな迫力だ。でっかい魔獣って泉の向こう側にいるのしか対峙したことないけど。
父上に説明しなきゃと思うけど、どう言おうと考えながらキョロッと周囲に少し意識を向ける。
あれ?僕達しかいない?
水溜まりに小石を落とした時の波紋みたいに気配を探る波を広げてみたけれど反応がなかった。。
さっきまでラウンジに人が集まっている気配がしていたのに、どうやら勾留されている騎士のところに向かってしまったのか誰も居なくなっていた。残っているのは父上と母様と兄上と僕だけだ。
それならあまり言い方を考えなくても大丈夫かな?
スーッとよく息を吸いこんでから口を開いた。
「口封じが怖いんです!」
「は?」
父上から何かが爆発したような激しい気配がブワッと広がった。兄上が両手を広げて声を張り上げる。
「クリス!それじゃ誤解を招く!父上、口封じされるのは容疑者です!」
あ、僕の言い方が変だったのか。
「あのっ……沼地の事件と毒事件が繋がっているかもしれないって思って……」
「……それで、口封じか……」
シューっと音を立てるように父上の燃え上がったような気配が落ち着いていく。
危なかった……。
あのままだとどうなってたんだろう。
兄上も安堵の息を吐いたのがわかった。額の汗を拭っている。
母様は特に変わらない落ち着いた様子だった。
兄上はラウンジ入り口まで急足で行って室内を覗いてから、振り返った。
「父上、沼地を荒らした騎士達を煽った『冒険者』が、毒を盛ろうとした騎士の可能性があります。
もし、共犯者がいた場合、沼地を荒らした騎士が余計なことを証言しないように
動くのではないかと思ったのです」
「ほう……。冒険者の話を何故知っているんだ?」
「っ……。取り調べている声が聞こえてきたんです。大きな声だったから……」
「……そうか……」
兄上の声音が緊張している。冒険者のことって、僕達が尋問を盗み聞きしたって
思われちゃったかな。
尋問している場所の近くまでは行ったけど、盗み聞きはしていないつもりだよ。
父上に脳裏で見た酒場の光景のことを詳しく話そうとしていたのに
バタバタと廊下を駆けてくる足音が聞こえてきた。
「セルジュ様!勾留されている者達の様子がおかしいです!
毒を盛られたかもしれません!」
「何?」
ゲンティアナ家の騎士が父上に報告に来た。「毒」と聞いてギョッとする。
父上が騎士の方に向かって歩いていく。
一緒に行こうとしたら、肩を掴まれた。
「ローレンとクリスは離れに戻っていなさい」
「え?」
僕の肩を掴んだのは母様だった。顔を近づけて、真剣な表情で僕を見つめる。
「気になると思うけど、危険かもしれない場所には居させられないわ」
「……危険なら、母様だって……」
「母様のことは、貴方達のお父様が守ってくれるわ。
治癒が必要かもしれないから、行く必要があるの」
チラッと兄上の方を見ると兄上が頷いた。離れに帰ろうってことだ。
伝えるだけ伝えたし、戻った方が良いんだろう。
気になるけど……。
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