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第1章
第155話 もう一人の冒険者の話題
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先ほど作った光水の小瓶を母様に差し出した。
もし勾留されている騎士に毒が盛られていたとしたら、光水が役に立つかもしれない。
「母様、これ……光水」
「ありがとう」
母様が「ふふふ」と微笑んで光水の小瓶を受け取ってくれた。僕の背中に手を当てて兄上のいる方に押し出す。もう行けってことのようだ。
僕は一歩踏み出してから、ふと思い出して振り返った。
「あ、もう一人の『冒険者』は左の眉に傷がある……かも……」
言い終わらないうちにその場の空気がピシッと固まるように一瞬で緊張が走った。ちょっとびっくりして語尾が曖昧になっちゃった。
何かまずいことを言っちゃったのかな。
「……そう……。わかったわ、ありがとう。もう離れに戻りなさい」
「……はあい」
母様は特に僕に聞き返したりはしなかったけど、微笑みがさっきより固い。
ここで言わない方が良かったのかな。
とりあえず伝えることは伝えたし、光水も渡したので兄上と一緒に
本館を後にした。
「ねえ。何かまずいこと言っちゃった?」
離れの玄関ホールに足を踏み入れてから兄上に聞いてみた。
兄上は「いや」と言ってから首を捻った。。
「何か心当たりがあったのかもしれない。左眉に傷がある男に」
「ああー」
左眉に傷がある騎士を知ってたから妙な空気になっちゃったってことなのかな。知ってる人ならすぐに見つかるか。
「騎士の前で言わない方が良かったかもな。でも、その前の会話は聞かれてないから夢で見って話だとは思わないと思う」
「あ……」
周りに家族しかいなかった時の勢いで行っちゃったけど近くに騎士が来てたんだった。気をつけよう。
解決したわけじゃないけど、光水も渡したし一応大丈夫じゃないかと思う。
部屋まで戻ってきてから、メイドさん達が無事だったのかとか聞いておけば良かった。
でも、メイドさん達がいなくなったことは、きっと父上達だって気がついているだろう。何か問題があったらもっと大騒ぎしているだろうから、大丈夫だったんじゃないかな。きっとそう。
イマイチ寝つきが悪かったけど、朝はいつも通り明け方には目が覚めた。
兄上はもう鍛錬に出ていたので、急いで起きてランニングに合流した。
「勾留された騎士達の飲み水に毒が混入していたらしい。
でも、命に別状はないみたいだよ」
「飲み水に毒って……。でも大丈夫だったんなら良かった」
並走しながら兄上が教えてくれた。もう情報収集していたようだ。
「多分、だけど……。毒耐性効果があるものを口にしてたんじゃないかと思う。
一応解毒剤を飲ませたらしいけど、そこまで酷い症状じゃなかったって」
「毒耐性ってことは、果実炭酸光水を飲んだのかな。それか角兎の肉を食べた?」
「ああ……、角兎の肉の残りはシチューだかスープだかにするって言ってたな」
「そうなんだ。効いたんだったら良かったね!」
角兎の解体の時に念の為に光水を吹きつけたけど、毒耐性の効果が出たのかな。
肉の表面に霧状に吹きつけただけだから、効果は薄そうな気もする。
それなら、やっぱり果実炭酸光水の方かな。
どれが有効だったのかはよくわからないけど、飲み水に含まれていた毒の影響にしては、症状が軽かったのだそうだ。
もし勾留されている騎士に毒が盛られていたとしたら、光水が役に立つかもしれない。
「母様、これ……光水」
「ありがとう」
母様が「ふふふ」と微笑んで光水の小瓶を受け取ってくれた。僕の背中に手を当てて兄上のいる方に押し出す。もう行けってことのようだ。
僕は一歩踏み出してから、ふと思い出して振り返った。
「あ、もう一人の『冒険者』は左の眉に傷がある……かも……」
言い終わらないうちにその場の空気がピシッと固まるように一瞬で緊張が走った。ちょっとびっくりして語尾が曖昧になっちゃった。
何かまずいことを言っちゃったのかな。
「……そう……。わかったわ、ありがとう。もう離れに戻りなさい」
「……はあい」
母様は特に僕に聞き返したりはしなかったけど、微笑みがさっきより固い。
ここで言わない方が良かったのかな。
とりあえず伝えることは伝えたし、光水も渡したので兄上と一緒に
本館を後にした。
「ねえ。何かまずいこと言っちゃった?」
離れの玄関ホールに足を踏み入れてから兄上に聞いてみた。
兄上は「いや」と言ってから首を捻った。。
「何か心当たりがあったのかもしれない。左眉に傷がある男に」
「ああー」
左眉に傷がある騎士を知ってたから妙な空気になっちゃったってことなのかな。知ってる人ならすぐに見つかるか。
「騎士の前で言わない方が良かったかもな。でも、その前の会話は聞かれてないから夢で見って話だとは思わないと思う」
「あ……」
周りに家族しかいなかった時の勢いで行っちゃったけど近くに騎士が来てたんだった。気をつけよう。
解決したわけじゃないけど、光水も渡したし一応大丈夫じゃないかと思う。
部屋まで戻ってきてから、メイドさん達が無事だったのかとか聞いておけば良かった。
でも、メイドさん達がいなくなったことは、きっと父上達だって気がついているだろう。何か問題があったらもっと大騒ぎしているだろうから、大丈夫だったんじゃないかな。きっとそう。
イマイチ寝つきが悪かったけど、朝はいつも通り明け方には目が覚めた。
兄上はもう鍛錬に出ていたので、急いで起きてランニングに合流した。
「勾留された騎士達の飲み水に毒が混入していたらしい。
でも、命に別状はないみたいだよ」
「飲み水に毒って……。でも大丈夫だったんなら良かった」
並走しながら兄上が教えてくれた。もう情報収集していたようだ。
「多分、だけど……。毒耐性効果があるものを口にしてたんじゃないかと思う。
一応解毒剤を飲ませたらしいけど、そこまで酷い症状じゃなかったって」
「毒耐性ってことは、果実炭酸光水を飲んだのかな。それか角兎の肉を食べた?」
「ああ……、角兎の肉の残りはシチューだかスープだかにするって言ってたな」
「そうなんだ。効いたんだったら良かったね!」
角兎の解体の時に念の為に光水を吹きつけたけど、毒耐性の効果が出たのかな。
肉の表面に霧状に吹きつけただけだから、効果は薄そうな気もする。
それなら、やっぱり果実炭酸光水の方かな。
どれが有効だったのかはよくわからないけど、飲み水に含まれていた毒の影響にしては、症状が軽かったのだそうだ。
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