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第1章
第165話 冒険者情報
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紫色の木の実の報告書を封書にしまい、父上は僕と兄様に顔を向けた。
「報告ありがとう。冒険者ギルドと薬師に確認して方針を決める。
ローレン、クリス、お前達は無茶なことはするなよ。自分の身の安全を優先させろ」
「分かりました」
兄上はニコリとして返事をした。父上は「うむ」と頷いた。
僕は気になっていたことを父上に聞いてみた。
「沼地を騎士と一緒に荒らしていた冒険者については、何かわかったのですか?」
「それはまだ調査を進めているところだが、一人は毒を持っていた騎士のようだ。
……冒険者ギルドに最近出入りしている冒険者を調べていた時に眉に傷がある男がいたという証言があった。クリスが言っていた特徴の男だな。だが今は所在がわからないそうだ。もしどこかで見かけたら、すぐに知らせてくれ。……後をつけたりはするなよ?」
「……はあい」
やっぱり尾行するなって言われちゃった。
「眉に傷がある男性は騎士ではなかったのですか?」
「滞在中の騎士の中には見つからなかったんだ。変装の可能性もあるが」
眉に傷がある冒険者は騎士じゃないかもしれない?
……騎士の中に悪い人がいない方が良いんだけど、見つからないのも落ち着かないな。
僕が眉に傷がある冒険者のことを言った時に父上が反応を示したのは、
「怪しそうな冒険者」としてリストに上がっていたからのようだ。
父上の執務室を出ると、兄上が厨房に行こうと誘ってきた。
「遅くなった時のことも考えて、昼飯を持って行こう」
「あ、結局行くんだね」
「うん?」
「父上が『無茶なことはするな』って言ったときに『分かりました』って応えてたから」
「泉に行くのは『無茶なこと』じゃないだろう?」
「……そうだね」
僕は父上と兄上の会話を聞いて、泉に行くのは中止に取りやめになっちゃったのかと思ったけど違っていた。
兄上がぽふんと僕の頭の上に手を置いた。
「自分の身を第一に、気をつけて行こう。水瓶を持てるだけ持って行くぞ」
「うん」
灰色キノコの毒もあるし、紫色の木の実の毒のこともある。
泉の水は備えておいた方がよいから、父上も黎明の泉に行くなとは言わなかったのかな。
何度も行くよりも一度に沢山持ち帰った方がリスクが少ないってことで、水瓶を沢山「収納」に準備していくことになった。
メイリにはお昼を一緒に食べられないかもしれないって伝えに行ったんだけど、
あっさり笑顔で見送られて、ちょっと寂しい気持ちになった。
馬を普段より少し急がせて黎明の泉に向かった。狩りをする前に先に泉の水を確保してしまう。
日の高さでタイムリミットを決めて、解体の時間を確保しつつ泉の向こう岸の魔獣を狩りまくった。
毒耐性の魔石をもった魔獣が狩れると嬉しいんだけど、毒耐性の元となった「呪いの毒」の存在を感じて複雑な気持ちになる。
「泉の向こう側に行って、紫色の木の実を持ってきた人がいるってことなんだろうか」
黒く爛れた部位がある魔獣は、「呪いの毒」に触れていることになる。
「呪いの毒」の原因がパープルヴァレートレントというトレント系魔獣の紫色の木の実だったとしたら冒険者ギルドに持ち込まれた木の実は黎明の泉の向こう側から持ち込まれたものなのじゃないかと思ったんだ。
「報告ありがとう。冒険者ギルドと薬師に確認して方針を決める。
ローレン、クリス、お前達は無茶なことはするなよ。自分の身の安全を優先させろ」
「分かりました」
兄上はニコリとして返事をした。父上は「うむ」と頷いた。
僕は気になっていたことを父上に聞いてみた。
「沼地を騎士と一緒に荒らしていた冒険者については、何かわかったのですか?」
「それはまだ調査を進めているところだが、一人は毒を持っていた騎士のようだ。
……冒険者ギルドに最近出入りしている冒険者を調べていた時に眉に傷がある男がいたという証言があった。クリスが言っていた特徴の男だな。だが今は所在がわからないそうだ。もしどこかで見かけたら、すぐに知らせてくれ。……後をつけたりはするなよ?」
「……はあい」
やっぱり尾行するなって言われちゃった。
「眉に傷がある男性は騎士ではなかったのですか?」
「滞在中の騎士の中には見つからなかったんだ。変装の可能性もあるが」
眉に傷がある冒険者は騎士じゃないかもしれない?
……騎士の中に悪い人がいない方が良いんだけど、見つからないのも落ち着かないな。
僕が眉に傷がある冒険者のことを言った時に父上が反応を示したのは、
「怪しそうな冒険者」としてリストに上がっていたからのようだ。
父上の執務室を出ると、兄上が厨房に行こうと誘ってきた。
「遅くなった時のことも考えて、昼飯を持って行こう」
「あ、結局行くんだね」
「うん?」
「父上が『無茶なことはするな』って言ったときに『分かりました』って応えてたから」
「泉に行くのは『無茶なこと』じゃないだろう?」
「……そうだね」
僕は父上と兄上の会話を聞いて、泉に行くのは中止に取りやめになっちゃったのかと思ったけど違っていた。
兄上がぽふんと僕の頭の上に手を置いた。
「自分の身を第一に、気をつけて行こう。水瓶を持てるだけ持って行くぞ」
「うん」
灰色キノコの毒もあるし、紫色の木の実の毒のこともある。
泉の水は備えておいた方がよいから、父上も黎明の泉に行くなとは言わなかったのかな。
何度も行くよりも一度に沢山持ち帰った方がリスクが少ないってことで、水瓶を沢山「収納」に準備していくことになった。
メイリにはお昼を一緒に食べられないかもしれないって伝えに行ったんだけど、
あっさり笑顔で見送られて、ちょっと寂しい気持ちになった。
馬を普段より少し急がせて黎明の泉に向かった。狩りをする前に先に泉の水を確保してしまう。
日の高さでタイムリミットを決めて、解体の時間を確保しつつ泉の向こう岸の魔獣を狩りまくった。
毒耐性の魔石をもった魔獣が狩れると嬉しいんだけど、毒耐性の元となった「呪いの毒」の存在を感じて複雑な気持ちになる。
「泉の向こう側に行って、紫色の木の実を持ってきた人がいるってことなんだろうか」
黒く爛れた部位がある魔獣は、「呪いの毒」に触れていることになる。
「呪いの毒」の原因がパープルヴァレートレントというトレント系魔獣の紫色の木の実だったとしたら冒険者ギルドに持ち込まれた木の実は黎明の泉の向こう側から持ち込まれたものなのじゃないかと思ったんだ。
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