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第二十三章 未来に戻る
剣の稽古をつけてくださったんです!!
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オリヴァーさんは、顔面蒼白になっている。
可哀想なので、短剣を返してあげると律儀にお礼を言って、立ち上がりアレン様の前で膝まづいた。
アレン様は腕を組み、ニコッと微笑んでいるだけで何も言わない。
オリヴァーさんはずっと下を向いて、冷や汗をかいていた。
わ、私もオリヴァーさんと一緒になって膝まづいた方がいいのかな?
ジョセフさんは知らん顔して、うずくまって寝てるし……。
この状況、どうすればいいの?
「オリヴァー、分かってるね」
やっと口を開いたアレン様。オリヴァーさんはゆっくりと頷く。
「賊かもしれない相手に呆気なく短剣を奪われる。相手が非道だったら、おまえの首は胴体から放れてたぞ」
「承知しています。処罰は覚悟出来ています」
「ま、待ってください!! これは……その。そう!! 剣の稽古をつけてくださってたんです!! この方は悪くありません。ですからどうか」
「稽古……? これから謁見の間にて父上と話すのではないのか? しかも魔力封じの枷を嵌めて?」
そうだった。
「フッ。冗談だ。ソフィアと言ったっけ。何者かは知らんがおまえ、ここで働け」
「は??」
私は呆気にとられた。なんでそんなことに??
アレン様の後ろにいたキースさんが口を開いた。
「素性が知れない相手に心を許してはいけませんよぉ」
「何かあった時は、キースが全力で守れ。それに一人の侍女を毒を盛った疑いで拷問して殺したのはおまえだろう。その事件がきっかけで、次から次へと辞めていく使用人がいるんだ。代わりがいる。それに、こいつは嘘が下手だからすぐに分かる」
最後の言葉にグサッと何かが突き刺さった。本当のことなんだけどさぁ。
アレン様は、笑いながら廊下を歩いていく。キースさんはオリヴァーさんの肩を叩く。
オリヴァーさんは私の方を見ると、ぷいっとそっぽを向いてしまった。
◇
「ならん」
「何故です!?」
謁見の間にて、王様と対立してるのは王太子であるアレン様だ。
アレン様はさっきの出来事を話しているが、王様は首を左右に振る。
それが普通の反応よね。
私はというとジョセフさんを抱き締めたまま、膝まづいていた。
私の隣にはキースさんとオリヴァーさん。多分、不審な行動をとらないようにと見張ってるんだろう。
アレン様は苛立ちを露にしてるけど、決して声を張り上げたりはしない。悔しそうに唇を噛んで、謁見の間から出ていく。
キースさんとオリヴァーさんはお互いの顔を見合わせた後にオリヴァーさんがアレン様の後を追う。
アレン様、王様に説明する時にオリヴァーさんの失態を話さなかった。なんだかんだ言っても、大切なのね。
幼い頃のアレン様って、感情を表に出してるのね。一体何かあって、感情を表に出さずに笑顔の仮面を被るようになったんだろう。
「……すまぬな。ソフィアとやら」
王様は一回咳払いをすると私に話しかけてきた。
「貴公は何者だ? 貴族にしては、こんなにボロボロなわけはないから貧民か? 珍しい属性を持っていると聞くが」
すみません、貴族です。ボロボロなのは、落ちた時に木の枝とかに服が絡まり、ちぎれたり、汚れだって枝や葉っぱ、地面に触れたからです。
珍しい属性の詳細は、話されてないことに安堵するし、ジョセフさんの正体も話してなさそう。
それは素直に嬉しい。何故なのかは分からないけど。
「私は……ただ、迷い込んでしまっただけです」
「敵ではないと言ったそうだな。それを証明出来るのか?」
「それは……」
王様の瞳は鋭く私を見ている。疑っているんだ。それはそうだ。
だって、怪しいもん。迷い込んだだけと言われてはいそうですかなんて思う人は今いる空間にはいないだろう。
王様は手を出すと王様の後ろに控えていた一人の侍女がカップを持ってきた。
私の近くまで来ると、カップを渡された。中に水が入っている。
渡し終わった侍女は速やかに戻り、王様の後ろに待機する。
王様が説明をした。
「その水は、特殊か魔法がかけられていてな。王族に危害を加えようとしている疚しい心があるならその魔法が発動して死に追いやる。敵ではないと申すなら、証明してみろ」
「死……」
下手な言い訳はきっと逆効果。飲むしかない。私は一気に水を飲んだ。
きっと大丈夫。私は危害を加えるつもりは無いのだから。
数秒待ってみて、特に変化は見られない。これで信じてもらえただろうか……?
「アレンの言った事はあながち間違いではないのか。この魔法はかなり強力だから不正も出来ない。しばらく監視をさせてもらう。異論は無いな?」
「はい」
アレン様の言ったことは信じるが、私自身をまだ信じられないのだろう。それも当然よね。
「監視にはキースをつける」
「御意」
ジョセフさんの魔力が回復するまでの辛抱だ。なんとか処刑されないということを今は喜ぼう。
可哀想なので、短剣を返してあげると律儀にお礼を言って、立ち上がりアレン様の前で膝まづいた。
アレン様は腕を組み、ニコッと微笑んでいるだけで何も言わない。
オリヴァーさんはずっと下を向いて、冷や汗をかいていた。
わ、私もオリヴァーさんと一緒になって膝まづいた方がいいのかな?
ジョセフさんは知らん顔して、うずくまって寝てるし……。
この状況、どうすればいいの?
「オリヴァー、分かってるね」
やっと口を開いたアレン様。オリヴァーさんはゆっくりと頷く。
「賊かもしれない相手に呆気なく短剣を奪われる。相手が非道だったら、おまえの首は胴体から放れてたぞ」
「承知しています。処罰は覚悟出来ています」
「ま、待ってください!! これは……その。そう!! 剣の稽古をつけてくださってたんです!! この方は悪くありません。ですからどうか」
「稽古……? これから謁見の間にて父上と話すのではないのか? しかも魔力封じの枷を嵌めて?」
そうだった。
「フッ。冗談だ。ソフィアと言ったっけ。何者かは知らんがおまえ、ここで働け」
「は??」
私は呆気にとられた。なんでそんなことに??
アレン様の後ろにいたキースさんが口を開いた。
「素性が知れない相手に心を許してはいけませんよぉ」
「何かあった時は、キースが全力で守れ。それに一人の侍女を毒を盛った疑いで拷問して殺したのはおまえだろう。その事件がきっかけで、次から次へと辞めていく使用人がいるんだ。代わりがいる。それに、こいつは嘘が下手だからすぐに分かる」
最後の言葉にグサッと何かが突き刺さった。本当のことなんだけどさぁ。
アレン様は、笑いながら廊下を歩いていく。キースさんはオリヴァーさんの肩を叩く。
オリヴァーさんは私の方を見ると、ぷいっとそっぽを向いてしまった。
◇
「ならん」
「何故です!?」
謁見の間にて、王様と対立してるのは王太子であるアレン様だ。
アレン様はさっきの出来事を話しているが、王様は首を左右に振る。
それが普通の反応よね。
私はというとジョセフさんを抱き締めたまま、膝まづいていた。
私の隣にはキースさんとオリヴァーさん。多分、不審な行動をとらないようにと見張ってるんだろう。
アレン様は苛立ちを露にしてるけど、決して声を張り上げたりはしない。悔しそうに唇を噛んで、謁見の間から出ていく。
キースさんとオリヴァーさんはお互いの顔を見合わせた後にオリヴァーさんがアレン様の後を追う。
アレン様、王様に説明する時にオリヴァーさんの失態を話さなかった。なんだかんだ言っても、大切なのね。
幼い頃のアレン様って、感情を表に出してるのね。一体何かあって、感情を表に出さずに笑顔の仮面を被るようになったんだろう。
「……すまぬな。ソフィアとやら」
王様は一回咳払いをすると私に話しかけてきた。
「貴公は何者だ? 貴族にしては、こんなにボロボロなわけはないから貧民か? 珍しい属性を持っていると聞くが」
すみません、貴族です。ボロボロなのは、落ちた時に木の枝とかに服が絡まり、ちぎれたり、汚れだって枝や葉っぱ、地面に触れたからです。
珍しい属性の詳細は、話されてないことに安堵するし、ジョセフさんの正体も話してなさそう。
それは素直に嬉しい。何故なのかは分からないけど。
「私は……ただ、迷い込んでしまっただけです」
「敵ではないと言ったそうだな。それを証明出来るのか?」
「それは……」
王様の瞳は鋭く私を見ている。疑っているんだ。それはそうだ。
だって、怪しいもん。迷い込んだだけと言われてはいそうですかなんて思う人は今いる空間にはいないだろう。
王様は手を出すと王様の後ろに控えていた一人の侍女がカップを持ってきた。
私の近くまで来ると、カップを渡された。中に水が入っている。
渡し終わった侍女は速やかに戻り、王様の後ろに待機する。
王様が説明をした。
「その水は、特殊か魔法がかけられていてな。王族に危害を加えようとしている疚しい心があるならその魔法が発動して死に追いやる。敵ではないと申すなら、証明してみろ」
「死……」
下手な言い訳はきっと逆効果。飲むしかない。私は一気に水を飲んだ。
きっと大丈夫。私は危害を加えるつもりは無いのだから。
数秒待ってみて、特に変化は見られない。これで信じてもらえただろうか……?
「アレンの言った事はあながち間違いではないのか。この魔法はかなり強力だから不正も出来ない。しばらく監視をさせてもらう。異論は無いな?」
「はい」
アレン様の言ったことは信じるが、私自身をまだ信じられないのだろう。それも当然よね。
「監視にはキースをつける」
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