乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第二章 『魔力』が無いと勝手に思い込んでいました

ドレスを替えようと思ってたのに忘れてた

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 寝室のベッド横のサイドテーブルに五冊の本が重なって置いてある。
 私がベッドで横になりながら本を読むので、すぐに置ける小さめな丸テーブルを用意してくれた侍女たちには感謝しかない。

 ちなみに私の世話係はアイリスだけど、たまにアイリスが三名ほどの侍女を連れて私の世話をしてくれる。

世話というよりも話し相手だけど。

私は人見知りで相手の目を見て話すのが苦手。
それを心配してなのか、たまに話し相手になってくれる侍女が数名いる。

いつも顔合わせしているような人たちと話しても人見知りは治らないけど、話さないよりも話した方がいいとのこと。
 それはなんとなくわかるけど、たまにやりすぎな時があって困るのよね。

 そう、今も困ってるのよ。

探し物の本があるから寝室に行くと言った私は、アイリスだけがついて行くものだと思っていた。それなのに、私の言い方が間違っていたのかも。

「ソフィア様!! お探しの本ならご用意しました! これですよね!  新作のロマンス小説!!」
「なにを言ってるんですか!? ソフィア様がお探しなのは歴史の本でしょ!!」

 サイドテーブルの横に大量の本が置かれその前で揉めている二人の侍女。
 一人目は緑色の髪が肩まであり、ちょっとツリ目で丸眼鏡をかけている。
性格がキツそうに見えるけど、話してみるととてもフレンドリーで親しみやすい女性だ。

もう一人は茶色の髪が腰まであり、リスのように目が丸く焦げ茶色の瞳はとても愛らしい。
人懐っこい性格もあって、誰とでも仲良くなれるのは彼女の良いところ。そんな彼女の性格がちょっぴり羨ましくもある。

 そんな二人が用意してくれたのは歴史やロマンス小説ばかり。残念ながらどっちも不正解。というか、こんだけの量を数分でよく用意出来たことに関心してしまう。
 サイドテーブルの横に二十冊ぐらいはある本が丁寧に重なって置かれている。

 どうしたものかと横目でアイリスを見るとアイリスも呆れていて言葉が出ないと言った表情を浮かべている。

「気持ちは嬉しいんだけど、どっちも違うの。でも、せっかくだからあとで読ませてもらうね」
「二人とも、仕事がまだ終わってないでしょ。ここは私に任せて」

 私の言葉に我に返ったアイリスが二人を私の寝室から強引に追い出した。
 あの二人はほかの侍女よりもよく話しかけてきてくれる。いい人たちなんだけど……。たまにおせっかいだなって思うこともあったり、なかったり。

「申し訳ございません。ソフィア様」

 二人を寝室から追い出したアイリスは寝室の扉を閉めた。
私の方を向いたアイリスは深々と頭を下げた。

「いいのよ。いつものことじゃない」
「その通りなのですが」

 口篭るアイリスに私は困った顔をした。

 ご令嬢にとっては失礼なことだろうけど。
なにせ私は前世では金持ちじゃなかったし、訳あり家族だったからちょっとだけ家が貧しかったのもあって、私は気にしない。けど、アイリスは気にしちゃうみたいね。

「アイリス、一人で集中して読みたいの」
「は、はい。かしこまりました」

 アイリスは一礼して寝室から出ていった。
 気にすることはないと思うのに。たまにアイリスは私の顔色を伺っている。それは私の心配してくれているんだろうけど、その裏では恐怖があるんだろう。
 彼女を見てればわかる。どこか、なにかに怯えているんだもの。

 ーーそれはなぜ?

 私が気付かないうちに嫌なことをしていた可能性も考えたけど、それはなさそうなのよね。

アイリスは感情を表にはなかなか出さない人だけど、いつも一緒にいるからなんとなくわかってしまう。
 確信ではないけど、私のことは嫌いではない。
 とはいえ、私のせいという可能性もあるから、そこがちょっと不安。

 私はアイリスを一人の女性として憧れているんだもの。嫌われていたら立ち直れない。
 アイリスの過去になにかトラウマみたいなものがあるんじゃないか。そんなふうに考えてみても本人がなにも話さないし、詳細を知ってるお義父さまは誤魔化してばかりで。

 どうすることも出来ないし、とりあえず今は魔法のことを調べるのが先よね。

 私はベッドに座り、サイドテーブルに置かれている本を手に取った。

 あっ、しまった。

 ドレスを替えようと思ってたのに忘れてた。このドレス、何回も転んじゃうから。

 まぁ。忘れてしまったことは仕方ないし、今日はこれから本を読むだけだし、替える必要もないよね。
どこかに行くわけでもないから。



 それから私は夢中になって本を読んでいたため、暗くなりはじめているのに気付いた頃、アイリスがタイミング良く、様子を見に来てくれた時だった。

 時計を確認すると十六時を示している。本を読みはじめたのが十四時だった。
集中している時は時間が経つのは早い。
 サイドテーブルに置いてある五冊ある本のうち、二冊しか読み終わってない。

 その二冊ともロマンス小説。何回も読んでるのに、何回も読みたくなるぐらい面白い。

 サイドテーブルに置いてある本は全てロマンス小説。この本を読み続けても私が知りたい情報は入らない。
 だけど、読みたくなってしまう。

 それに新作もあるからそれも気になって読みたくなる。

 誘惑が……。

 さっき侍女に違うと言っておきながら結局は読んでしまうという、自分の自制心の無さには呆れてしまう。

 それじゃあ、私はどこで読んだんだっけ。

 記憶を必死に遡っているとふと思い出した。

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