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第八章 世界樹の精霊
シナリオが変わってる?
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おかしい。ゲームではこんなシーンは無かったはず。
『聖なる乙女』はヒロインに力を貸すシーンはある。
だけど、悪役令嬢に力を貸し、さらに契約を進めるって……。
シナリオが変わってる?
不思議なことに、特に意味のある行動はとっていない。
……でも、契約してくれるのは有難い。
素直に嬉しい。
シーアさんは気まぐれな性格だ。気が変わらないうちに契約を了承した。
「契約はどうすればいいのでしょうか?」
シーアさんに声をかけると、立ち上がる。
私の方に歩み寄るとシーアさんは自分の手の甲を指差した。
「傷をつけるんじゃ。小さくのぉ」
小さく。
アニメやゲームでは、簡単に傷つけるところを見たことあるけど……。
実際にやるってなったら少しだけ抵抗がある。
さっきまで自害しようとしてたけども。
私は大きく深呼吸した。
大丈夫。勇気を持って。
その言葉を何回も繰り返す。こんなチャンス、二度とないと思ったら後戻りなんて出来ない。
やるしかないんだ。
テーブルに置いてある氷の槍を持つ。
その手は震えていた。
落ち着け、落ち着くんだ。
槍の先の尖った刃を自分の手の甲に当て、グッと力を入れる。
氷で出来てるだけあって冷たい。チクリと痛みが走った。
かすり傷程度の軽めな傷口を作って槍を手の甲から放す。
その傷口からは血が下に垂れ、スカートに血がつきそうになる。
今、私は座っているから垂れたらスカートについてしまう。血を落とすのはかなり大変なのを前世でよく知っている。
言いづらいけど、……女の子の日で、ね。
血を見た侍女たちは大慌てになりそうだけど。
私は慌てて血が垂れないように傷口を手で押さえた。
「うむ。立つんじゃ。ここだと危ない」
「はい」
立ち上がり、ソファから少し離れたところでシーアさんは私の両手を胸のところで握る。
……お互いの指が交互に絡み合うように。
シーアさんはゆっくりと目を閉じる。
「……天に交えし清らかな乙女よ。我は天の道標となり大地を育む者」
シーアさんが呪文も言い始める。
すると、血が自分の意思があるかのように円を描き始めた。
下からもいつの間にか魔法陣が現れ、黄色い光が魔法陣の中にいるシーアさんと私を優しい風と共に包み込む。
「ーー我は世界樹の精にして、神聖なる者なり……」
呪文が途絶えたのでどうしたのだろうとシーアさんを見ると、血の気が引いていて顔色が悪かった。
黄色い光は徐々に弱くなり、下の魔法陣も消えてしまう。
「……シーア、さん?」
シーアさんは私から手を放し、口を押さえ、その場にしゃがみこんだ。
「…………酔った」
「へ!?」
契約って酔うものだったの!?
乗り物か何か!!?
「久しぶりじゃからすっかり忘れとった。……ワシは契約する魔法陣に酔うんじゃ」
まさかの意外な弱点。
どうしよう。
とりあえず、横にさせて、それからオリヴァーさんに相談してみる?
精霊に詳しそうなのは彼しか思いつかない。
「契約なんて嫌いじゃ。気持ち悪くて仕方ない」
ブツブツと文句を言っている。
あっ、そういえば……。
「シーアさん、すぐに酔いが覚める方法がありますよ!」
酔いを解すツボがあったはず!!
そう、それは首の後ろ、うなじを強く押すのよ!
漫画で読んだもの。
「首の後ろを強く押すんです!」
「ワシを殺す気か!?」
自信満々に答えると、シーアさんの顔色がさらに青色になった。
「大丈夫です! 私を信じてください」
「そんな頼りない『信じて』ははじめて聞いたぞ。首は止めるんじゃ」
「……そんな全力で否定しなくても」
ちょっとショック。
「……横になったら落ち着く。だから、なにもするな」
「はい……」
『なにもするな』と、強調されて言われてしまい、なにも言えなくなってしまった。
首の後ろ、ダメだったの……かな?
『聖なる乙女』はヒロインに力を貸すシーンはある。
だけど、悪役令嬢に力を貸し、さらに契約を進めるって……。
シナリオが変わってる?
不思議なことに、特に意味のある行動はとっていない。
……でも、契約してくれるのは有難い。
素直に嬉しい。
シーアさんは気まぐれな性格だ。気が変わらないうちに契約を了承した。
「契約はどうすればいいのでしょうか?」
シーアさんに声をかけると、立ち上がる。
私の方に歩み寄るとシーアさんは自分の手の甲を指差した。
「傷をつけるんじゃ。小さくのぉ」
小さく。
アニメやゲームでは、簡単に傷つけるところを見たことあるけど……。
実際にやるってなったら少しだけ抵抗がある。
さっきまで自害しようとしてたけども。
私は大きく深呼吸した。
大丈夫。勇気を持って。
その言葉を何回も繰り返す。こんなチャンス、二度とないと思ったら後戻りなんて出来ない。
やるしかないんだ。
テーブルに置いてある氷の槍を持つ。
その手は震えていた。
落ち着け、落ち着くんだ。
槍の先の尖った刃を自分の手の甲に当て、グッと力を入れる。
氷で出来てるだけあって冷たい。チクリと痛みが走った。
かすり傷程度の軽めな傷口を作って槍を手の甲から放す。
その傷口からは血が下に垂れ、スカートに血がつきそうになる。
今、私は座っているから垂れたらスカートについてしまう。血を落とすのはかなり大変なのを前世でよく知っている。
言いづらいけど、……女の子の日で、ね。
血を見た侍女たちは大慌てになりそうだけど。
私は慌てて血が垂れないように傷口を手で押さえた。
「うむ。立つんじゃ。ここだと危ない」
「はい」
立ち上がり、ソファから少し離れたところでシーアさんは私の両手を胸のところで握る。
……お互いの指が交互に絡み合うように。
シーアさんはゆっくりと目を閉じる。
「……天に交えし清らかな乙女よ。我は天の道標となり大地を育む者」
シーアさんが呪文も言い始める。
すると、血が自分の意思があるかのように円を描き始めた。
下からもいつの間にか魔法陣が現れ、黄色い光が魔法陣の中にいるシーアさんと私を優しい風と共に包み込む。
「ーー我は世界樹の精にして、神聖なる者なり……」
呪文が途絶えたのでどうしたのだろうとシーアさんを見ると、血の気が引いていて顔色が悪かった。
黄色い光は徐々に弱くなり、下の魔法陣も消えてしまう。
「……シーア、さん?」
シーアさんは私から手を放し、口を押さえ、その場にしゃがみこんだ。
「…………酔った」
「へ!?」
契約って酔うものだったの!?
乗り物か何か!!?
「久しぶりじゃからすっかり忘れとった。……ワシは契約する魔法陣に酔うんじゃ」
まさかの意外な弱点。
どうしよう。
とりあえず、横にさせて、それからオリヴァーさんに相談してみる?
精霊に詳しそうなのは彼しか思いつかない。
「契約なんて嫌いじゃ。気持ち悪くて仕方ない」
ブツブツと文句を言っている。
あっ、そういえば……。
「シーアさん、すぐに酔いが覚める方法がありますよ!」
酔いを解すツボがあったはず!!
そう、それは首の後ろ、うなじを強く押すのよ!
漫画で読んだもの。
「首の後ろを強く押すんです!」
「ワシを殺す気か!?」
自信満々に答えると、シーアさんの顔色がさらに青色になった。
「大丈夫です! 私を信じてください」
「そんな頼りない『信じて』ははじめて聞いたぞ。首は止めるんじゃ」
「……そんな全力で否定しなくても」
ちょっとショック。
「……横になったら落ち着く。だから、なにもするな」
「はい……」
『なにもするな』と、強調されて言われてしまい、なにも言えなくなってしまった。
首の後ろ、ダメだったの……かな?
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