85 / 240
第九章 私にとっての【推し】とは?
私には刺繍の才能がない
しおりを挟む
とても困った。
マテオ様にプレゼントするハンカチに刺繍してるんだけど、破滅的なほどに上達しない自分の未熟さが怖い……。
「少し休憩しましょう」
チラリとアイリスを見ると困ったような顔で見ていた。
困るのも無理はない。
だって、私……アイリスに刺繍を習って三日目なのに、破滅的だなんて……。
刺繍の才能がないんだな。
悲しい。
まぁ、才能がないのは、わかりきってたことなのだけど。
「なんでマテオ様は私の刺繍入りハンカチが欲しいだなんて……」
「ソフィア様が一生懸命作ったものが欲しいのですよ」
「なんで?」
「そう言われますと、説明に困りますね。いつかソフィア様もわかる日がくると思いますよ」
「わかる日……かぁ」
そんな日が来るとは思えないけど。
「こんなのあげたって喜ばないでしょ」
私は深いため息をついた。
ついさっき出来た刺繍を見ると、落ち込んでしまう。
薔薇の刺繍したつもりが、雲の刺繍になっているんだ。
しかも、ものすごく不安定な線で……。
あれ? ノエルに渡した時よりも下手になってる。
糸のほつれが目立つし、もはや刺繍と呼べるのか? と、疑問に思うレベルなのだけど。
だからこそ、アイリスに頼んで教えて貰ってるのに。
進歩しないってどういうこと!!?
私は何を学んできたの??
「はぁ」
学習出来てない自分が情けなくて泣きそう……。
「では、刺繍をやめて、違う贈り物を考えますか?」
「!? いいえ。やるわ!! 約束したんだもん」
約束した。
……したんだから、約束を破りたくなんてない。
「アイリス、教えてくれる?」
「はい」
アイリスも私には刺繍の才能がないと思ってるはず。
それなのに、何度も教えてくれる。
有難いし、申し訳ない。そう思っても途中でやめられない。
投げ出したくないから。諦めたらそこで終わりだ。それは前世で学んだこと。
なんの才能もない私は、今出来ることを精一杯頑張ることだと思うから。
「 ~~っ!?」
指にチクッと痛みが走る。
針が指に刺さったんだ。
何回も針が刺さって、手がボロボロだ。
「……上手く出来るのかな」
傷だらけの手を見ながら深いため息をつく。
「そうですね。ソフィア様の気持ちが込められてればマテオ様は嬉しいはずですよ」
『きっと上手く出来る』とは、言ってくれない……。
それぐらい私の刺繍は破滅的だと言うことね。
ダメ。落ち込むな。
頑張らなきゃ。
ーーそしてマテオ様が屋敷を離れる日、ギリギリに刺繍入りハンカチが出来上がった。
マテオ様にプレゼントするハンカチに刺繍してるんだけど、破滅的なほどに上達しない自分の未熟さが怖い……。
「少し休憩しましょう」
チラリとアイリスを見ると困ったような顔で見ていた。
困るのも無理はない。
だって、私……アイリスに刺繍を習って三日目なのに、破滅的だなんて……。
刺繍の才能がないんだな。
悲しい。
まぁ、才能がないのは、わかりきってたことなのだけど。
「なんでマテオ様は私の刺繍入りハンカチが欲しいだなんて……」
「ソフィア様が一生懸命作ったものが欲しいのですよ」
「なんで?」
「そう言われますと、説明に困りますね。いつかソフィア様もわかる日がくると思いますよ」
「わかる日……かぁ」
そんな日が来るとは思えないけど。
「こんなのあげたって喜ばないでしょ」
私は深いため息をついた。
ついさっき出来た刺繍を見ると、落ち込んでしまう。
薔薇の刺繍したつもりが、雲の刺繍になっているんだ。
しかも、ものすごく不安定な線で……。
あれ? ノエルに渡した時よりも下手になってる。
糸のほつれが目立つし、もはや刺繍と呼べるのか? と、疑問に思うレベルなのだけど。
だからこそ、アイリスに頼んで教えて貰ってるのに。
進歩しないってどういうこと!!?
私は何を学んできたの??
「はぁ」
学習出来てない自分が情けなくて泣きそう……。
「では、刺繍をやめて、違う贈り物を考えますか?」
「!? いいえ。やるわ!! 約束したんだもん」
約束した。
……したんだから、約束を破りたくなんてない。
「アイリス、教えてくれる?」
「はい」
アイリスも私には刺繍の才能がないと思ってるはず。
それなのに、何度も教えてくれる。
有難いし、申し訳ない。そう思っても途中でやめられない。
投げ出したくないから。諦めたらそこで終わりだ。それは前世で学んだこと。
なんの才能もない私は、今出来ることを精一杯頑張ることだと思うから。
「 ~~っ!?」
指にチクッと痛みが走る。
針が指に刺さったんだ。
何回も針が刺さって、手がボロボロだ。
「……上手く出来るのかな」
傷だらけの手を見ながら深いため息をつく。
「そうですね。ソフィア様の気持ちが込められてればマテオ様は嬉しいはずですよ」
『きっと上手く出来る』とは、言ってくれない……。
それぐらい私の刺繍は破滅的だと言うことね。
ダメ。落ち込むな。
頑張らなきゃ。
ーーそしてマテオ様が屋敷を離れる日、ギリギリに刺繍入りハンカチが出来上がった。
1
あなたにおすすめの小説
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
乙女ゲームで婚約破棄をリアルに体験するのはごめんだ
いつき
恋愛
身近に最上の推しがいたら、例え結ばれなくても人参をぶら下げた馬にでもなると言うものですよね?
両親を喪い平民から貴族になると同時に、前世で見た乙女ゲーム系アニメの最推しが義兄になったレンファラン
貴族の子女として家の為に婚姻?
前世の記憶で領の発展に貢献?
推しの役に立ちたいし、アニメ通りの婚約破棄だけは避けたいところだけれど…
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる