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第十章⠀深紅の魔術士
貧血気味なフリをして倒れようとしただけなのに
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『モルガナイト学園』の入学式会場では、令嬢や子息たちが沢山集まっていた。
どうしよう。人酔いしそう……。
というかノエルとはぐれそうだなって思ってると、ノエルは何かに気付いたように謝って手を離そうとした。
「す、すみません。姉上」
今手を離されると絶対にノエルとはぐれる自信しかなかった。
なので、私はノエルの手をしっかりと握った。
「謝らないで。エスコートしてくれてありがとう」
ニコッと微笑むと、ノエルの顔が赤くなってるような気がしたが、緊張してるんだなってすぐに納得した。
それにしても……、いよいよゲーム本編まで来ちゃったよ。
校長先生らしき人の長い話を聞いたあとは魔力測定なのだが。
そこで養子組と純血貴族組に分かれる。
まぁ、わかりきってたことだけど純血貴族組の人達の視線が痛い。
養子組を不快に思う人達は居ると思ってたけど、かなりキツい。
早く終わって欲しい。
ゲームではソフィアは魔力測定をしていない。その理由……それは、急な貧血で倒れたから。
まさか自分がそれをやろうとは思わなかったが、私には魔力の測定は難しい。だって無だし、新たな属性はあってもどんな結果になるのか怖い。
だったら無難に貧血で倒れる選択をした方が良い気がする。
よし、そうしてみよう。
何年も演技の修行に手伝ってくれたアイリスのためにも、成功してみせるからね!
私の名前を呼ばれたので、水晶玉が置かれてる場所に移動するが、その足取りをよろけさせる。
そして、
その場に倒れようとしたが、そこに段差があるのを気付かずにつまづいてしまった。
水晶玉が置かれてある木造の置き台に額を強打。
その時にゴンッという鈍い音と共に「フギャッ!?」という声が漏れて、倒れた。
どうしよう。
めちゃくちゃ恥ずかしい!!!?
違うんだよぉぉぉ!!
盛大に転ぼうとは思ってなくて、ちょっとよろけて倒れようとぐらいにしか考えてなかったのに!!
……角にぶつからなくて良かったけど。でも、強打したのもあって結構ジンジンする。
咄嗟に顔を押さえてうずくまりたい。という衝動をグッと我慢した。
会場に集まっている人達が騒ぎ出した。
貧血で倒れるフリをしようとしたら、まさかの本当に倒れるわ、全校生徒の前で大恥をかいてる気分。
ま、まぁ。なにはともあれ、ここまでがゲームのシナリオ通り(?)
その後、近くにいた先生に横抱きされて医務室に運ばれる予定なのだが……。
私が誰かに横抱きされた瞬間、沢山の女性の悲鳴が聞こえてきた。
目を瞑ってるから、それが誰なのかは分からないが、先生ではないのは確かだ。
誰!?
ダメ、今目を開けると芝居だってバレる。
どうすればいい!?
「フフッ。ソフィア嬢は相変わらず変なことをやる」
声が遠ざかる中、面白そうに言うその声は、爽やかでフレッシュだ。
私は、何回も聞いたことある声だったから一瞬で理解して、そっと目を開ける。
「で、でん……」
「シー。皆に気付かれても知らないよ。それに俺のことは名前で呼んでと言ってるよね。友・達・なんだから」
「友達といっても、その距離感が……違うというか」
「どうしてだい?⠀友・達・って、そういうものだろう?」
「それもそうなのですが」
たまにアレン殿下と呼んではいるが、彼は『殿下』と呼ばずに『アレン様』と呼んでほしいらしい。
殿下と友達になってから、距離感が違うというか。
推しだからなのか、余計に近くに感じるようになった瞬間……。
胸が苦しくなる。
油断すると目が離せなくなってしまう。殿下があまりにも魅力的過ぎて、なにも考えられなくなる。
あれから大人びてるし、可愛らしい顔立ちからかっこいい顔立ちになってて、心が爆発寸前。
というか、
「なんで、わかったんですか?」
「だってワザとらしかったし。俺にそんな小芝居は通用しないよ。大方、魔力測定が嫌だったんだろ。でも、最後のは迫真の演技だったけどね」
「……茶化さないでください」
……バレてる。しかも、最後のは演技でもなく、本当に転んだこともわかってて言ってる。
「まぁ、でも。そっちの方が良かったかもね」
良かったってなに!?
「怒らないんですか。魔力測定は絶対でしょ」
「いや、以前に魔力測定した時があったでしょ。その時に学園の校長先生には話をつけといた」
「どういうことですか?」
医務室に着くと、ベッドに優しく下ろされた。
「魔力測定は必須なんだけど、キミの場合はまた別でね。特別にキミの測定は無しにして貰ってたんだよ。ただ、貴族たちに納得してもらうには話を少し誇張しなければいけなかったけど」
と、いうことは……私、芝居をしなくても良かったってこと!?
「まぁでも、こっちの方が良かったって俺は思うけど」
「それは……どういう意味ですか?」
「秘密」
そう言って殿下は私の額になにかを貼って医務室を出ていった。
それは、ガーゼだということにすぐに気付いた。
だって、額を触ったらザラザラしていたんだから。
殿下はなにも言わなかったけど……、血は出なくとも擦りむいた程度には傷がついていたのかもしれない。
「その方が良かった」って殿下は言っていたけども、冷静に考えれば、話を盛らなくて済むからこっちで良かったという意味かな。
というよりも、悪夢のことを聞くのを忘れてた。
顔色は良かったから寝れてると思うけど。
「…………あつい」
殿下に触られた場所が火照ったように熱い。
友達だと言われて嬉しいはずなのに、なんだか寂しいんだよなぁ。
私は殿下になにを求めてるんだろう。
いつかわかる日が来た時、私は私でいられるんだろうか……。
どうしよう。人酔いしそう……。
というかノエルとはぐれそうだなって思ってると、ノエルは何かに気付いたように謝って手を離そうとした。
「す、すみません。姉上」
今手を離されると絶対にノエルとはぐれる自信しかなかった。
なので、私はノエルの手をしっかりと握った。
「謝らないで。エスコートしてくれてありがとう」
ニコッと微笑むと、ノエルの顔が赤くなってるような気がしたが、緊張してるんだなってすぐに納得した。
それにしても……、いよいよゲーム本編まで来ちゃったよ。
校長先生らしき人の長い話を聞いたあとは魔力測定なのだが。
そこで養子組と純血貴族組に分かれる。
まぁ、わかりきってたことだけど純血貴族組の人達の視線が痛い。
養子組を不快に思う人達は居ると思ってたけど、かなりキツい。
早く終わって欲しい。
ゲームではソフィアは魔力測定をしていない。その理由……それは、急な貧血で倒れたから。
まさか自分がそれをやろうとは思わなかったが、私には魔力の測定は難しい。だって無だし、新たな属性はあってもどんな結果になるのか怖い。
だったら無難に貧血で倒れる選択をした方が良い気がする。
よし、そうしてみよう。
何年も演技の修行に手伝ってくれたアイリスのためにも、成功してみせるからね!
私の名前を呼ばれたので、水晶玉が置かれてる場所に移動するが、その足取りをよろけさせる。
そして、
その場に倒れようとしたが、そこに段差があるのを気付かずにつまづいてしまった。
水晶玉が置かれてある木造の置き台に額を強打。
その時にゴンッという鈍い音と共に「フギャッ!?」という声が漏れて、倒れた。
どうしよう。
めちゃくちゃ恥ずかしい!!!?
違うんだよぉぉぉ!!
盛大に転ぼうとは思ってなくて、ちょっとよろけて倒れようとぐらいにしか考えてなかったのに!!
……角にぶつからなくて良かったけど。でも、強打したのもあって結構ジンジンする。
咄嗟に顔を押さえてうずくまりたい。という衝動をグッと我慢した。
会場に集まっている人達が騒ぎ出した。
貧血で倒れるフリをしようとしたら、まさかの本当に倒れるわ、全校生徒の前で大恥をかいてる気分。
ま、まぁ。なにはともあれ、ここまでがゲームのシナリオ通り(?)
その後、近くにいた先生に横抱きされて医務室に運ばれる予定なのだが……。
私が誰かに横抱きされた瞬間、沢山の女性の悲鳴が聞こえてきた。
目を瞑ってるから、それが誰なのかは分からないが、先生ではないのは確かだ。
誰!?
ダメ、今目を開けると芝居だってバレる。
どうすればいい!?
「フフッ。ソフィア嬢は相変わらず変なことをやる」
声が遠ざかる中、面白そうに言うその声は、爽やかでフレッシュだ。
私は、何回も聞いたことある声だったから一瞬で理解して、そっと目を開ける。
「で、でん……」
「シー。皆に気付かれても知らないよ。それに俺のことは名前で呼んでと言ってるよね。友・達・なんだから」
「友達といっても、その距離感が……違うというか」
「どうしてだい?⠀友・達・って、そういうものだろう?」
「それもそうなのですが」
たまにアレン殿下と呼んではいるが、彼は『殿下』と呼ばずに『アレン様』と呼んでほしいらしい。
殿下と友達になってから、距離感が違うというか。
推しだからなのか、余計に近くに感じるようになった瞬間……。
胸が苦しくなる。
油断すると目が離せなくなってしまう。殿下があまりにも魅力的過ぎて、なにも考えられなくなる。
あれから大人びてるし、可愛らしい顔立ちからかっこいい顔立ちになってて、心が爆発寸前。
というか、
「なんで、わかったんですか?」
「だってワザとらしかったし。俺にそんな小芝居は通用しないよ。大方、魔力測定が嫌だったんだろ。でも、最後のは迫真の演技だったけどね」
「……茶化さないでください」
……バレてる。しかも、最後のは演技でもなく、本当に転んだこともわかってて言ってる。
「まぁ、でも。そっちの方が良かったかもね」
良かったってなに!?
「怒らないんですか。魔力測定は絶対でしょ」
「いや、以前に魔力測定した時があったでしょ。その時に学園の校長先生には話をつけといた」
「どういうことですか?」
医務室に着くと、ベッドに優しく下ろされた。
「魔力測定は必須なんだけど、キミの場合はまた別でね。特別にキミの測定は無しにして貰ってたんだよ。ただ、貴族たちに納得してもらうには話を少し誇張しなければいけなかったけど」
と、いうことは……私、芝居をしなくても良かったってこと!?
「まぁでも、こっちの方が良かったって俺は思うけど」
「それは……どういう意味ですか?」
「秘密」
そう言って殿下は私の額になにかを貼って医務室を出ていった。
それは、ガーゼだということにすぐに気付いた。
だって、額を触ったらザラザラしていたんだから。
殿下はなにも言わなかったけど……、血は出なくとも擦りむいた程度には傷がついていたのかもしれない。
「その方が良かった」って殿下は言っていたけども、冷静に考えれば、話を盛らなくて済むからこっちで良かったという意味かな。
というよりも、悪夢のことを聞くのを忘れてた。
顔色は良かったから寝れてると思うけど。
「…………あつい」
殿下に触られた場所が火照ったように熱い。
友達だと言われて嬉しいはずなのに、なんだか寂しいんだよなぁ。
私は殿下になにを求めてるんだろう。
いつかわかる日が来た時、私は私でいられるんだろうか……。
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