108 / 236
第十一章⠀真相エンド
推測が確信に変わるには【ノア視点】
しおりを挟む
アレン王太子殿下の悪夢の原因を調べるために世界樹の聖域に足を踏み入れてからどれぐらい経ったのだろう。
何年もこの聖域にいるような気がする。すぐに解決出来ない気がして長期連休と取ってて正解だった。
「ダメじゃな。また邪魔されたようじゃ」
瞑想をしていたシーアさんが目を開いてため息をついた。
原因を調べるには夢の中に入るのが一番良いのだが、黒く禍々しいものが邪魔をしてなかなか調査が進まない。
これはきっと呪いの類。アレン王太子殿下は命を狙われることが多々ある。食事に毒を入れられたり、暗殺されそうになったり。
なので毒耐性は普通の人よりは強いし、悪意のある殺気や命に関わることは身体が覚えているから危機察知能力が高い。
けれど呪いは別……。
「やはり呪いでしょうか?」
「有り得ることじゃな。ただ、王太子殿下を良くは思わない奴の仕業にしては……なんだか慕っているような、感情が伝わってくるんじゃ」
いくらアレン王太子殿下が危機察知能力に長けているからといって、呪いの回避は至難の業なのでしょう。
シーアさんの意味深な言葉に私は首を傾げた。
「好いていると? それなら恋焦がれている誰かなのでしょうか。ですが、シーアさんの魔力を持ってしても邪魔をするほどの魔力の持ち主だと……」
私が知っているのは、『深紅の魔術士』と……ソフィア様。
ソフィア様の闇属性は封印されているが、解除されれば相当な魔力持ちだ。
魔力が高いから魔力暴走を引き起こす可能性はありますが。
「『深紅の魔術士』……そやつは基本光属性じゃ。呪いは使えん」
「だとすれば……」
「確信はない。じゃが、可能性はある」
……どういうことでしょう。今のソフィア様にはシーアさんの魔力を上回る力は無い。
本当に双子だったのなら……、と考えましたが、双子ならばシーアさんよりも魔力が高いのはおかしい。
二人で一つの存在で、魔力も半分になるのだから。
シーアさんよりも高いとなると、生身の人間は膨大な魔力に耐えられず死を迎える。
「やはりもう一人のソフィア様がいると? ですが、それは有り得ないと思うのですが」
「じゃがな、何回やっても黒いものに邪魔されるんじゃ。ワシよりも魔力が高い。ただ……可能性があるとすれば、呪いをかけた反動で時間に取り残されてるかもしれぬ」
それならば、同じ時間を繰り返してることになる。
立ち上がるシーアさんに私は聞いてみる。
「学園に行きますか?」
「うむ。出来ることならワシらで片付けたかったのじゃがな」
「?」
「嫌な予感がするんじゃよ。早めに解決したいんじゃが」
「そうですね」
もしも呪いをかけたのがソフィア様なのならば、呪いを解除出来るのもソフィア様のみ。
もしかしたら黒くて禍々しいものが悪夢の原因になってる気もしますが……。
情報が少なすぎる。
ソフィア様には、考えを話してしまいましたが、きっとまだアレン王太子殿下には話していないはず。
最近はちゃんと悩みを相談してくれるようになったが、前までは信用してくれてなかったのか、些細なことも話してくれなかった。
それは極わずか。ソフィア様のことだ。話すべきかどうかを色々と悩んでいることでしょう。
まずは、アレン王太子殿下に今の状況を伝え、ソフィア様に協力してもらう。
私は、ゆっくりと目を閉じた。
何年もこの聖域にいるような気がする。すぐに解決出来ない気がして長期連休と取ってて正解だった。
「ダメじゃな。また邪魔されたようじゃ」
瞑想をしていたシーアさんが目を開いてため息をついた。
原因を調べるには夢の中に入るのが一番良いのだが、黒く禍々しいものが邪魔をしてなかなか調査が進まない。
これはきっと呪いの類。アレン王太子殿下は命を狙われることが多々ある。食事に毒を入れられたり、暗殺されそうになったり。
なので毒耐性は普通の人よりは強いし、悪意のある殺気や命に関わることは身体が覚えているから危機察知能力が高い。
けれど呪いは別……。
「やはり呪いでしょうか?」
「有り得ることじゃな。ただ、王太子殿下を良くは思わない奴の仕業にしては……なんだか慕っているような、感情が伝わってくるんじゃ」
いくらアレン王太子殿下が危機察知能力に長けているからといって、呪いの回避は至難の業なのでしょう。
シーアさんの意味深な言葉に私は首を傾げた。
「好いていると? それなら恋焦がれている誰かなのでしょうか。ですが、シーアさんの魔力を持ってしても邪魔をするほどの魔力の持ち主だと……」
私が知っているのは、『深紅の魔術士』と……ソフィア様。
ソフィア様の闇属性は封印されているが、解除されれば相当な魔力持ちだ。
魔力が高いから魔力暴走を引き起こす可能性はありますが。
「『深紅の魔術士』……そやつは基本光属性じゃ。呪いは使えん」
「だとすれば……」
「確信はない。じゃが、可能性はある」
……どういうことでしょう。今のソフィア様にはシーアさんの魔力を上回る力は無い。
本当に双子だったのなら……、と考えましたが、双子ならばシーアさんよりも魔力が高いのはおかしい。
二人で一つの存在で、魔力も半分になるのだから。
シーアさんよりも高いとなると、生身の人間は膨大な魔力に耐えられず死を迎える。
「やはりもう一人のソフィア様がいると? ですが、それは有り得ないと思うのですが」
「じゃがな、何回やっても黒いものに邪魔されるんじゃ。ワシよりも魔力が高い。ただ……可能性があるとすれば、呪いをかけた反動で時間に取り残されてるかもしれぬ」
それならば、同じ時間を繰り返してることになる。
立ち上がるシーアさんに私は聞いてみる。
「学園に行きますか?」
「うむ。出来ることならワシらで片付けたかったのじゃがな」
「?」
「嫌な予感がするんじゃよ。早めに解決したいんじゃが」
「そうですね」
もしも呪いをかけたのがソフィア様なのならば、呪いを解除出来るのもソフィア様のみ。
もしかしたら黒くて禍々しいものが悪夢の原因になってる気もしますが……。
情報が少なすぎる。
ソフィア様には、考えを話してしまいましたが、きっとまだアレン王太子殿下には話していないはず。
最近はちゃんと悩みを相談してくれるようになったが、前までは信用してくれてなかったのか、些細なことも話してくれなかった。
それは極わずか。ソフィア様のことだ。話すべきかどうかを色々と悩んでいることでしょう。
まずは、アレン王太子殿下に今の状況を伝え、ソフィア様に協力してもらう。
私は、ゆっくりと目を閉じた。
5
あなたにおすすめの小説
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
聖女の力は使いたくありません!
三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。
ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの?
昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに!
どうしてこうなったのか、誰か教えて!
※アルファポリスのみの公開です。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢?いま忙しいので後でやります
みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった!
しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢?
私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。
〘完結〛ずっと引きこもってた悪役令嬢が出てきた
桜井ことり
恋愛
そもそものはじまりは、
婚約破棄から逃げてきた悪役令嬢が
部屋に閉じこもってしまう話からです。
自分と向き合った悪役令嬢は聖女(優しさの理想)として生まれ変わります。
※爽快恋愛コメディで、本来ならそうはならない描写もあります。
悪役令嬢が行方不明!?
mimiaizu
恋愛
乙女ゲームの設定では悪役令嬢だった公爵令嬢サエナリア・ヴァン・ソノーザ。そんな彼女が行方不明になるというゲームになかった事件(イベント)が起こる。彼女を見つけ出そうと捜索が始まる。そして、次々と明かされることになる真実に、妹が両親が、婚約者の王太子が、ヒロインの男爵令嬢が、皆が驚愕することになる。全てのカギを握るのは、一体誰なのだろう。
※初めての悪役令嬢物です。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~
プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。
※完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる