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第十一章⠀真相エンド
カミーリャ塔の管理人
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ノエルの悲鳴が聞こえ、その声の方向へ視線を向ける。
一人の女性が腰を抜かしてるノエルを見下ろしていた。
黒くて長い髪に青白い肌。前髪も後ろ髪と同じ長さで顔がよく見えないが、風が吹く度に見える目は死人のように生気が感じられない。
この人はカミーリャ塔の管理人、エレノアだった。
実際に見ると、かなりホラー。それが夜なら確実に幽霊と間違えるレベルだった。
っというのも、それは彼女がオカルト好きでよくこういう格好をしているが、周りからしたら迷惑極まりない。
私はクロエ様を見ると、クロエ様も同じことを思ったのか、ゆっくりと縦に頷いた。
驚いて腰を抜かしてるノエルに駆け寄りながら声をかけると、ノエルは口をパクパクさせているが声が出ていない。
ああ、そういえばノエルって……幽霊とか苦手なんだった。
「…………」
エレノアさんは私たちを見るなりゆっくりとお辞儀をした。
無言だし、顔怖いし……本当に死人のようで不気味。
顔に出さないようにしないと。
「ノエル、大丈夫だよ」
「どこが!?」
「生きてる人だもの」
ニコッと微笑むとノエルは気持ちを落ち着かせるように深呼吸をした。
「あっ……本当だ」
ノエルはエレノアさんを頭のてっぺんから足の爪先まで見ると安心したように胸をなで下ろした。
頭から足までハッキリと見えてるし、昼間なのもあって幽霊じゃないと判断した。
それぐらい、エレノアさんの見た目が完全にホラー過ぎるのだ。
「私を怖がらないのですか?」
「はい」
私は頷いた。
内心はめっちゃ怖いけどね。
「まぁ、嬉しい!」
エレノアさんは手のひらを自身の胸に当てる。
「エレノアといいます。カミーリャ塔の管理者なのですが、私が担当してからこの塔に来る方たちが減ってきてしまい、とても寂しいんです」
うん、まぁ。その見た目だからね……。
本当にわかってないのか困った顔をしていた。
これは言ってもいいのか……。悩んでいるとクロエ様が口を開いた。
「素敵な場所ですよね。ただ、悪い噂があるようですが……それが原因かもしれませんよ」
「悪い噂、とは?」
「なんでも女性の霊が出るとか、首なし騎士が出るとか」
「そんな噂が……怖い」
エレノアは驚いていたが、その噂の原因となっているエレノアが無自覚なことが一番怖いなと思ってしまった。
「それよりもエレノアさんのその見た目は……」
「ああ、分かります!? 可愛いでしょう」
私はエレノアさんに気付いてほしくて見た目のことを言おうとしたが、本人が嬉しそうにするので言えなくなってしまった。
だって、今まで生気が感じられない目がいきなりキラキラしたんだもん。
嬉しそうにしてる人にそんな残酷なことを私は言えない。
「え、ええ。とても可愛らしいです」
苦笑しながら言うとエレノアさんは満足したように頷いた。
「誰もこの可愛さを理解してくれなくて、とても寂しかったんです。理解してくれる人がいてくれて安心しました」
そりゃあ分かりたくないでしょーよ。だって、めっちゃ怖いもん!!
その可愛さの基準が分からない。
本人は可愛いと思ってそんな格好してるのよね。
「エ、エレノアさん……と言いましたっけ、確かに今の格好も可愛いと思いますが、もう少し前髪を短く切って目を見せても可愛いと思いますよ」
今まで怯えていたノエルがエレノアさんに話しかけた。
そうよ、エレノアさんは顔が良いから髪をセットしてメイクや服をちゃんとしていれば美人になりそうね。
スタイルもいいし。
でもそうなると、クロエ様と話す機会がなかなか作れなくなる。
……困ったぞ。
「私はこのままでいいのです。この格好が好きなので」
エレノアさんはキッパリとノエルの提案を断った。
一人の女性が腰を抜かしてるノエルを見下ろしていた。
黒くて長い髪に青白い肌。前髪も後ろ髪と同じ長さで顔がよく見えないが、風が吹く度に見える目は死人のように生気が感じられない。
この人はカミーリャ塔の管理人、エレノアだった。
実際に見ると、かなりホラー。それが夜なら確実に幽霊と間違えるレベルだった。
っというのも、それは彼女がオカルト好きでよくこういう格好をしているが、周りからしたら迷惑極まりない。
私はクロエ様を見ると、クロエ様も同じことを思ったのか、ゆっくりと縦に頷いた。
驚いて腰を抜かしてるノエルに駆け寄りながら声をかけると、ノエルは口をパクパクさせているが声が出ていない。
ああ、そういえばノエルって……幽霊とか苦手なんだった。
「…………」
エレノアさんは私たちを見るなりゆっくりとお辞儀をした。
無言だし、顔怖いし……本当に死人のようで不気味。
顔に出さないようにしないと。
「ノエル、大丈夫だよ」
「どこが!?」
「生きてる人だもの」
ニコッと微笑むとノエルは気持ちを落ち着かせるように深呼吸をした。
「あっ……本当だ」
ノエルはエレノアさんを頭のてっぺんから足の爪先まで見ると安心したように胸をなで下ろした。
頭から足までハッキリと見えてるし、昼間なのもあって幽霊じゃないと判断した。
それぐらい、エレノアさんの見た目が完全にホラー過ぎるのだ。
「私を怖がらないのですか?」
「はい」
私は頷いた。
内心はめっちゃ怖いけどね。
「まぁ、嬉しい!」
エレノアさんは手のひらを自身の胸に当てる。
「エレノアといいます。カミーリャ塔の管理者なのですが、私が担当してからこの塔に来る方たちが減ってきてしまい、とても寂しいんです」
うん、まぁ。その見た目だからね……。
本当にわかってないのか困った顔をしていた。
これは言ってもいいのか……。悩んでいるとクロエ様が口を開いた。
「素敵な場所ですよね。ただ、悪い噂があるようですが……それが原因かもしれませんよ」
「悪い噂、とは?」
「なんでも女性の霊が出るとか、首なし騎士が出るとか」
「そんな噂が……怖い」
エレノアは驚いていたが、その噂の原因となっているエレノアが無自覚なことが一番怖いなと思ってしまった。
「それよりもエレノアさんのその見た目は……」
「ああ、分かります!? 可愛いでしょう」
私はエレノアさんに気付いてほしくて見た目のことを言おうとしたが、本人が嬉しそうにするので言えなくなってしまった。
だって、今まで生気が感じられない目がいきなりキラキラしたんだもん。
嬉しそうにしてる人にそんな残酷なことを私は言えない。
「え、ええ。とても可愛らしいです」
苦笑しながら言うとエレノアさんは満足したように頷いた。
「誰もこの可愛さを理解してくれなくて、とても寂しかったんです。理解してくれる人がいてくれて安心しました」
そりゃあ分かりたくないでしょーよ。だって、めっちゃ怖いもん!!
その可愛さの基準が分からない。
本人は可愛いと思ってそんな格好してるのよね。
「エ、エレノアさん……と言いましたっけ、確かに今の格好も可愛いと思いますが、もう少し前髪を短く切って目を見せても可愛いと思いますよ」
今まで怯えていたノエルがエレノアさんに話しかけた。
そうよ、エレノアさんは顔が良いから髪をセットしてメイクや服をちゃんとしていれば美人になりそうね。
スタイルもいいし。
でもそうなると、クロエ様と話す機会がなかなか作れなくなる。
……困ったぞ。
「私はこのままでいいのです。この格好が好きなので」
エレノアさんはキッパリとノエルの提案を断った。
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