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第十一章⠀真相エンド
推測が確信に変わるには【ノア視点】
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アレン王太子殿下の悪夢の原因を調べるために世界樹の聖域に足を踏み入れてからどれぐらい経ったのだろう。
何年もこの聖域にいるような気がする。すぐに解決出来ない気がして長期連休と取ってて正解だった。
「ダメじゃな。また邪魔されたようじゃ」
瞑想をしていたシーアさんが目を開いてため息をついた。
原因を調べるには夢の中に入るのが一番良いのだが、黒く禍々しいものが邪魔をしてなかなか調査が進まない。
これはきっと呪いの類。アレン王太子殿下は命を狙われることが多々ある。食事に毒を入れられたり、暗殺されそうになったり。
なので毒耐性は普通の人よりは強いし、悪意のある殺気や命に関わることは身体が覚えているから危機察知能力が高い。
けれど呪いは別……。
「やはり呪いでしょうか?」
「有り得ることじゃな。ただ、王太子殿下を良くは思わない奴の仕業にしては……なんだか慕っているような、感情が伝わってくるんじゃ」
いくらアレン王太子殿下が危機察知能力に長けているからといって、呪いの回避は至難の業なのでしょう。
シーアさんの意味深な言葉に私は首を傾げた。
「好いていると? それなら恋焦がれている誰かなのでしょうか。ですが、シーアさんの魔力を持ってしても邪魔をするほどの魔力の持ち主だと……」
私が知っているのは、『深紅の魔術士』と……ソフィア様。
ソフィア様の闇属性は封印されているが、解除されれば相当な魔力持ちだ。
魔力が高いから魔力暴走を引き起こす可能性はありますが。
「『深紅の魔術士』……そやつは基本光属性じゃ。呪いは使えん」
「だとすれば……」
「確信はない。じゃが、可能性はある」
……どういうことでしょう。今のソフィア様にはシーアさんの魔力を上回る力は無い。
本当に双子だったのなら……、と考えましたが、双子ならばシーアさんよりも魔力が高いのはおかしい。
二人で一つの存在で、魔力も半分になるのだから。
シーアさんよりも高いとなると、生身の人間は膨大な魔力に耐えられず死を迎える。
「やはりもう一人のソフィア様がいると? ですが、それは有り得ないと思うのですが」
「じゃがな、何回やっても黒いものに邪魔されるんじゃ。ワシよりも魔力が高い。ただ……可能性があるとすれば、呪いをかけた反動で時間に取り残されてるかもしれぬ」
それならば、同じ時間を繰り返してることになる。
立ち上がるシーアさんに私は聞いてみる。
「学園に行きますか?」
「うむ。出来ることならワシらで片付けたかったのじゃがな」
「?」
「嫌な予感がするんじゃよ。早めに解決したいんじゃが」
「そうですね」
もしも呪いをかけたのがソフィア様なのならば、呪いを解除出来るのもソフィア様のみ。
もしかしたら黒くて禍々しいものが悪夢の原因になってる気もしますが……。
情報が少なすぎる。
ソフィア様には、考えを話してしまいましたが、きっとまだアレン王太子殿下には話していないはず。
最近はちゃんと悩みを相談してくれるようになったが、前までは信用してくれてなかったのか、些細なことも話してくれなかった。
それは極わずか。ソフィア様のことだ。話すべきかどうかを色々と悩んでいることでしょう。
まずは、アレン王太子殿下に今の状況を伝え、ソフィア様に協力してもらう。
私は、ゆっくりと目を閉じた。
何年もこの聖域にいるような気がする。すぐに解決出来ない気がして長期連休と取ってて正解だった。
「ダメじゃな。また邪魔されたようじゃ」
瞑想をしていたシーアさんが目を開いてため息をついた。
原因を調べるには夢の中に入るのが一番良いのだが、黒く禍々しいものが邪魔をしてなかなか調査が進まない。
これはきっと呪いの類。アレン王太子殿下は命を狙われることが多々ある。食事に毒を入れられたり、暗殺されそうになったり。
なので毒耐性は普通の人よりは強いし、悪意のある殺気や命に関わることは身体が覚えているから危機察知能力が高い。
けれど呪いは別……。
「やはり呪いでしょうか?」
「有り得ることじゃな。ただ、王太子殿下を良くは思わない奴の仕業にしては……なんだか慕っているような、感情が伝わってくるんじゃ」
いくらアレン王太子殿下が危機察知能力に長けているからといって、呪いの回避は至難の業なのでしょう。
シーアさんの意味深な言葉に私は首を傾げた。
「好いていると? それなら恋焦がれている誰かなのでしょうか。ですが、シーアさんの魔力を持ってしても邪魔をするほどの魔力の持ち主だと……」
私が知っているのは、『深紅の魔術士』と……ソフィア様。
ソフィア様の闇属性は封印されているが、解除されれば相当な魔力持ちだ。
魔力が高いから魔力暴走を引き起こす可能性はありますが。
「『深紅の魔術士』……そやつは基本光属性じゃ。呪いは使えん」
「だとすれば……」
「確信はない。じゃが、可能性はある」
……どういうことでしょう。今のソフィア様にはシーアさんの魔力を上回る力は無い。
本当に双子だったのなら……、と考えましたが、双子ならばシーアさんよりも魔力が高いのはおかしい。
二人で一つの存在で、魔力も半分になるのだから。
シーアさんよりも高いとなると、生身の人間は膨大な魔力に耐えられず死を迎える。
「やはりもう一人のソフィア様がいると? ですが、それは有り得ないと思うのですが」
「じゃがな、何回やっても黒いものに邪魔されるんじゃ。ワシよりも魔力が高い。ただ……可能性があるとすれば、呪いをかけた反動で時間に取り残されてるかもしれぬ」
それならば、同じ時間を繰り返してることになる。
立ち上がるシーアさんに私は聞いてみる。
「学園に行きますか?」
「うむ。出来ることならワシらで片付けたかったのじゃがな」
「?」
「嫌な予感がするんじゃよ。早めに解決したいんじゃが」
「そうですね」
もしも呪いをかけたのがソフィア様なのならば、呪いを解除出来るのもソフィア様のみ。
もしかしたら黒くて禍々しいものが悪夢の原因になってる気もしますが……。
情報が少なすぎる。
ソフィア様には、考えを話してしまいましたが、きっとまだアレン王太子殿下には話していないはず。
最近はちゃんと悩みを相談してくれるようになったが、前までは信用してくれてなかったのか、些細なことも話してくれなかった。
それは極わずか。ソフィア様のことだ。話すべきかどうかを色々と悩んでいることでしょう。
まずは、アレン王太子殿下に今の状況を伝え、ソフィア様に協力してもらう。
私は、ゆっくりと目を閉じた。
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