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第十四章 悪役令嬢
薔薇を育てていたのは……
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「この薔薇は、誰かのために育てていたのですか? お義母さま」
休日になり、帰宅すると庭の方で白薔薇を眺めているお義母さまを見つけた。
私はお義母さまに近付いて声をかける。
お義母さまは私の声に反応して振り向く。苦笑した。
「ソフィア。帰ってらしたの?? なら前日にそう言ってくれれば出迎えたのに」
「気になることがありましたので。すぐに学園に戻ります」
「そう。ノエルはもうそろそろ帰って来ますわ。久しぶりに家族で過ごしたかったですわ」
手に持っていた扇を広げ、口元を隠した。目は笑っていたが、その声はとても残念そうだった。
「……お義母さま。私の実の母をご存知ですよね」
「なんのことかしら?」
お義母さまはとぼけているが、一瞬間があった。
これは絶対に何かをしていると思った。
だから私は、ノア先生に渡された魔導日記を見せた。
お義母さまは驚いた顔になったが、何かを納得したのか小さく頷いた。
「もう、そんな時期なのですわね。預かった当初はまだ幼かったというのに。……少し、お散歩しましょうか」
そう言って、お義母さまはゆっくりと歩き出した。
私は慌ててお義母さまの後を追う。
「あの、お義母さま??」
「……薔薇はあなたの母親が好きだったんですの。わたくしとあなたの母、ジェシカは姉なんですの。そして、あなたの父親のダニエルは幼馴染みでした」
「……え」
一瞬、時間が止まったのかと思ってしまうほど周りは静かになったような錯覚に襲われる。
それぐらい衝撃なものだったんだ。お義母さまと実の母には何かしらの繋がりはあったと思うけど、まさか父親も繋がりがあったとは。
日記にはそんなこと書かれてなかった。
「デメトリアス家に嫁ぐのは、ジェシカ姉様だったんですのよ。でも、ジェシカ姉様には好きな人がいた。その方がダニエル。二人は愛し合っているからこそ、駆け落ちして……ソフィア、あなたが産まれた」
「駆け落ち……、それじゃあお義母さまは実の母の替わりにデメトリアス家に嫁いだんですか?」
「そうです。でもわたくしはそれで良かったと思っていますわ」
「どうして? だって、お義母さまだって嫌だったはずじゃ……」
「だって、わたくしはルーカス様を愛していたんですもの」
結果的に収まるところに収まったらしい。
お義母さまの話によると、ルーカス様に恋をしたのは夜会での帰り、ゴロツキに馬車を襲われてた時に助けてくれたんだとか。
その時に恋をしたらしい。お義母さまは「今のはルーカス様には、絶対に内緒ですよ」と照れくさそうに笑っていた。
いつもは、綺麗でしっかりしているお義母さまだけど、今日はなんだか可愛らしくて少し笑ってしまった。
「……わたくしのことはいいとして、ジェシカ姉様を私は大好きだったんですの。薔薇にしたのも、ジェシカ姉様を思い出していたくて」
大好きだからこそ、忘れたくない。ずっと存在を感じていたい。……そんな感じなのかもしれない。
だったら、あの悲劇のことは知ってるんだろうか……多分、知っている気がする。
私がお義母さまの大好きな人を殺したことを。
「お義母さまは、私を引き取った時、どう思ったんですか? 私を見てると辛くないですか?」
「……ジェシカ姉様の実の娘なんですのよ。嬉しくも思い、けれど哀しくもなりました」
お義母さまは立ち止まり、白薔薇を切なそうに眺める。
「ソフィア」
澄んだ声で私を呼ぶお義母さまは、悲しそうに……けれどゆっくりと微笑んだ。
「あなたの名前の由来、知りたい?」
「え……」
由来……。気にしたことなかった。
「教えてください。お義母さま」
知りたいと思うし、知りたくないとも思う。だけど、何も知らないのは……ダメだよね。
私は悪役令嬢とちゃんと向き合いたい。
……なんて、また矛盾なこと言ってるけど、全ては自分のため。
どんな結末になっても、自分が後悔しないように。
休日になり、帰宅すると庭の方で白薔薇を眺めているお義母さまを見つけた。
私はお義母さまに近付いて声をかける。
お義母さまは私の声に反応して振り向く。苦笑した。
「ソフィア。帰ってらしたの?? なら前日にそう言ってくれれば出迎えたのに」
「気になることがありましたので。すぐに学園に戻ります」
「そう。ノエルはもうそろそろ帰って来ますわ。久しぶりに家族で過ごしたかったですわ」
手に持っていた扇を広げ、口元を隠した。目は笑っていたが、その声はとても残念そうだった。
「……お義母さま。私の実の母をご存知ですよね」
「なんのことかしら?」
お義母さまはとぼけているが、一瞬間があった。
これは絶対に何かをしていると思った。
だから私は、ノア先生に渡された魔導日記を見せた。
お義母さまは驚いた顔になったが、何かを納得したのか小さく頷いた。
「もう、そんな時期なのですわね。預かった当初はまだ幼かったというのに。……少し、お散歩しましょうか」
そう言って、お義母さまはゆっくりと歩き出した。
私は慌ててお義母さまの後を追う。
「あの、お義母さま??」
「……薔薇はあなたの母親が好きだったんですの。わたくしとあなたの母、ジェシカは姉なんですの。そして、あなたの父親のダニエルは幼馴染みでした」
「……え」
一瞬、時間が止まったのかと思ってしまうほど周りは静かになったような錯覚に襲われる。
それぐらい衝撃なものだったんだ。お義母さまと実の母には何かしらの繋がりはあったと思うけど、まさか父親も繋がりがあったとは。
日記にはそんなこと書かれてなかった。
「デメトリアス家に嫁ぐのは、ジェシカ姉様だったんですのよ。でも、ジェシカ姉様には好きな人がいた。その方がダニエル。二人は愛し合っているからこそ、駆け落ちして……ソフィア、あなたが産まれた」
「駆け落ち……、それじゃあお義母さまは実の母の替わりにデメトリアス家に嫁いだんですか?」
「そうです。でもわたくしはそれで良かったと思っていますわ」
「どうして? だって、お義母さまだって嫌だったはずじゃ……」
「だって、わたくしはルーカス様を愛していたんですもの」
結果的に収まるところに収まったらしい。
お義母さまの話によると、ルーカス様に恋をしたのは夜会での帰り、ゴロツキに馬車を襲われてた時に助けてくれたんだとか。
その時に恋をしたらしい。お義母さまは「今のはルーカス様には、絶対に内緒ですよ」と照れくさそうに笑っていた。
いつもは、綺麗でしっかりしているお義母さまだけど、今日はなんだか可愛らしくて少し笑ってしまった。
「……わたくしのことはいいとして、ジェシカ姉様を私は大好きだったんですの。薔薇にしたのも、ジェシカ姉様を思い出していたくて」
大好きだからこそ、忘れたくない。ずっと存在を感じていたい。……そんな感じなのかもしれない。
だったら、あの悲劇のことは知ってるんだろうか……多分、知っている気がする。
私がお義母さまの大好きな人を殺したことを。
「お義母さまは、私を引き取った時、どう思ったんですか? 私を見てると辛くないですか?」
「……ジェシカ姉様の実の娘なんですのよ。嬉しくも思い、けれど哀しくもなりました」
お義母さまは立ち止まり、白薔薇を切なそうに眺める。
「ソフィア」
澄んだ声で私を呼ぶお義母さまは、悲しそうに……けれどゆっくりと微笑んだ。
「あなたの名前の由来、知りたい?」
「え……」
由来……。気にしたことなかった。
「教えてください。お義母さま」
知りたいと思うし、知りたくないとも思う。だけど、何も知らないのは……ダメだよね。
私は悪役令嬢とちゃんと向き合いたい。
……なんて、また矛盾なこと言ってるけど、全ては自分のため。
どんな結末になっても、自分が後悔しないように。
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