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第十三章 流星群が降り注ぐ夜に

魔導日記は二重構成になっていた

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 クロエ様はお義母さまに話を聞くといいと言っていた。

 そういえば以前に私の実の母親を懐かしそうに話されたっけ。

 確か、私と似ているんだとかで。

「これは……?」

 授業が終わり、寮に向かおうとした時に通信用の魔導具が反応した。

 相手はノア先生で、学園の正門前に居るらしく、渡したいものがあるというので正門まで向かって、受け取った。

「魔導日記です。今、渡すべきだと思いましたので」
「?? ですが、それって確か帝王様に私のことを報告するためのものなのでは?」
「あの時は、そう伝えるしかありませんでした。この魔導日記はあなたのご両親があなたのために遺したものです」
「ありがとうございます。……この魔導日記って以前も見たことありますが、公爵邸に養子として迎え入れられた時からのしか」

 以前に、私は見たことがある。だから、両親が遺したというなら、産まれた当初を書かれていてもおかしくはない。

 それなのに、それが一切無かった。

「失礼。この魔導日記は二重構造になっていましてね、少し特殊な魔法がかかっているんですよ。その魔法を解除しないと読めない仕組みになっています。大丈夫です……魔法を解除してますから」
「はぁ……」
「それより、どうですか。説得の方は」

 ため息にも似た返事をすると、ノア先生は苦笑した。

 思い出したかのように話題を変えた。

 私は魔導日記を抱き締めるように抱え、ノア先生を見る。

「大丈夫です、何とかなりました」

 と、少しだけ嬉しそうに笑った。

 ーーーーーーーーーーーー

 寮に着くと、アイリスが出迎えてくれた。

 食事をして、落ち着いた頃にアイリスに一人にしてほしいと頼んだ。

 一人になったら、ノア先生から渡された魔導日記を読む。

 ……確かに、以前読んだ内容とは違う。

 産まれた当初の記憶と、両親が亡くなる前の心意気など。

 それに、お義母さまの名前も書いてある。

 クロエ様は、お義母さまと私の実の両親が繋がりがあることを知っていて、あんなことを……?

「ふふっ」

 思わず笑みがこぼれた。……愛されてるね、ソフィアは。

 なんだか羨ましくも思う。前世で私は……愛されてたのかなって考えると、愛されてはいなかった。

 愛されてるのにそれを知ろうとしないで勝手に孤独だと勘違いした悪役令嬢。

 愛情に飢えている私……、似ているようで似ていないのにどうして私の魂は引き寄せられるように悪役令嬢の体の中に入ったんだろう。

 考えてみると、波長が合っているようには思えない。一体、何が引き寄せられたんだろう……。

 悪役令嬢と対話する時、私は……体を主人に返さないといけないのかな。

 ーーイヤだ。渡したくない。

 私はこの世界で寿命が来るまで生きていきたい。

 そう思うのに……そんなこと、許されないだろう。

 逃げては通れない道ではある。先に伸ばしたとしても、辛さが増すだけだ。

 ーーどうしよう。私、自分が思ってるよりもこの世界が好きみたい。



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