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第十八章 アイリスの願いと叶わないと思っていた恋
魔術士の子供というだけで狙われなくちゃいけないのでしょうか
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シーアさんが言うには、この個室全体に結界を張ってある理由は、有毒ガスになってしまっている魔力を外に逃がさない為らしい。
ガスが目で見える。紫色をした煙でいかにも人体に悪影響を及ぼしそう。
……私とクロエ様のどっちでも良いから、魔力を奪える方を手にかけるものだと思っていた。
でも違っていたらしい。私とクロエ様の両方の魔力がいるらしい。
その理由は、有毒ガスを消失する為。
そもそもルイス子爵は、私が魔力を無効化出来ることを知らない。
それは、こちらとしては好機といえる。
「シーアさん、私……一つだけ腑に落ちないことがあるんです」
私は結界の前に手を翳して、ゆっくりと目を閉じる。
「どうして、魔術士の子供というだけで狙われなくちゃいけないのでしょうか」
「人は強欲な生き物じゃ。生きやすく、快適に過ごす為に犠牲は付き物だと思うとる。全員がそう思ってる訳じゃないが……お主を生かそうと奮闘していたお主の本当の両親や王太子殿は違っていたじゃろ」
「それはそうかと知れませんが」
「それに、今の王族は魔術士の子供でも生きやすくさせようとしておる。時代と共に考えも変わるものじゃとワシは思うが、そう思わん連中もいる。魔力が高いというのは利用価値がある存在じゃからな」
「……道具としか見てないということなんでしょうか」
「それは……どうじゃろうな」
シーアさんは苦笑した。これ以上は何も言わずに手に集中した。
何も話したくないと顔で訴えているように見えてしまったから。
魔術士の子供だけじゃなく、きっと深紅の魔術士でもあるクロエ様も狙われていたのだろう。何よりも今回の件もクロエ様も狙われているらしいし……、魔力を悪用かぁ。
願わくば、これ以上悪用しない人が出てきませんように。
私の手の甲にシーアさんの手が重ねられる。
お願いーー……魔力を消えて。
そう、願いを込めて集中する。ガスはシュッと消える。そこには何も無かったかのように。
代わりに結界にはヒビが入り、パリーンっと砕かれ消えていく。
消える間際に破片が飛び、私の頬、腕、膝に傷を負わせる。それはシーアさんも同じだったようで、傷だらけだ。
グラッと視界が一瞬歪んだが足に力を入れ、倒れそうな体を必死に立たせる。
ガスは消えた。仄暗い個室の真ん中にある作業机に置かれてる魔法石。
おぼつかない足取りで真ん中まで行くと、魔法石を手に取る。
宝石のように輝く魔法石。こんなものの為に多くの命が犠牲になったのかと思うと傷まれなくなる。
魔法石の下敷きになって置かれていた書類を見た。
そこには、犠牲になった子供達や魔法石の扱い方も書かれていた。
許せないと思った。こんなの……こんな考え方、絶対におかしい。
ルイス子爵は命を軽んじてる。必要ならば自分の子の命をも簡単に粗末にできる。
あれ……じゃあ……。私はハッとして、周りを見渡す。
目を凝らしてよく見ると、地面や壁に、シミが出来ている。
ドクンッと胸がザワつく。
急な吐き気がきて、口を抑える。嘘……まさかこれって……。
想像したくない。考えたくない。そう思えば思うほど、この個室で起こったことを想像してしまう。
立ってられなくなって、しゃがみ、膝をついた。
吐くまではいかなくとも、気持ちが悪いことには変わらなかった。
教会の鐘の音が聴こえる。早くいかなくては。そう思うのに、動けない。
「気付いてしまったか、そうなるのも無理はない。……すまんな。今は必要最低限のことしかしてやれん。力が弱まってるからのぉ」
シーアさんは私に近付き、ギュッと抱き締めた。
さっきまで、不安と恐怖で押しつぶされそうだったのに、不思議と心が軽くなった。
ーー暖かい。
光に包まれ、シーアさんは子ドラゴンの姿になって私の膝の上で寝息を立てていた。
私はシーアさんを優しく抱きかかえると、立ち上がる。
さっきまでの吐き気や不安や恐怖はない。足の震えも止まっていて、思うように動ける。
私は走り出した。魔法石と書類を持ったまま。シーアさんも落ちないように、潰さないようにと気をつけながらも手のひらサイズになっているので軽く握る。
早く、終わらして、シーアさんを休ませなくちゃ。アイリスに戻ってほしいという気持ちが焦りに変わらないように走りながらも気持ちを整理していた。
ガスが目で見える。紫色をした煙でいかにも人体に悪影響を及ぼしそう。
……私とクロエ様のどっちでも良いから、魔力を奪える方を手にかけるものだと思っていた。
でも違っていたらしい。私とクロエ様の両方の魔力がいるらしい。
その理由は、有毒ガスを消失する為。
そもそもルイス子爵は、私が魔力を無効化出来ることを知らない。
それは、こちらとしては好機といえる。
「シーアさん、私……一つだけ腑に落ちないことがあるんです」
私は結界の前に手を翳して、ゆっくりと目を閉じる。
「どうして、魔術士の子供というだけで狙われなくちゃいけないのでしょうか」
「人は強欲な生き物じゃ。生きやすく、快適に過ごす為に犠牲は付き物だと思うとる。全員がそう思ってる訳じゃないが……お主を生かそうと奮闘していたお主の本当の両親や王太子殿は違っていたじゃろ」
「それはそうかと知れませんが」
「それに、今の王族は魔術士の子供でも生きやすくさせようとしておる。時代と共に考えも変わるものじゃとワシは思うが、そう思わん連中もいる。魔力が高いというのは利用価値がある存在じゃからな」
「……道具としか見てないということなんでしょうか」
「それは……どうじゃろうな」
シーアさんは苦笑した。これ以上は何も言わずに手に集中した。
何も話したくないと顔で訴えているように見えてしまったから。
魔術士の子供だけじゃなく、きっと深紅の魔術士でもあるクロエ様も狙われていたのだろう。何よりも今回の件もクロエ様も狙われているらしいし……、魔力を悪用かぁ。
願わくば、これ以上悪用しない人が出てきませんように。
私の手の甲にシーアさんの手が重ねられる。
お願いーー……魔力を消えて。
そう、願いを込めて集中する。ガスはシュッと消える。そこには何も無かったかのように。
代わりに結界にはヒビが入り、パリーンっと砕かれ消えていく。
消える間際に破片が飛び、私の頬、腕、膝に傷を負わせる。それはシーアさんも同じだったようで、傷だらけだ。
グラッと視界が一瞬歪んだが足に力を入れ、倒れそうな体を必死に立たせる。
ガスは消えた。仄暗い個室の真ん中にある作業机に置かれてる魔法石。
おぼつかない足取りで真ん中まで行くと、魔法石を手に取る。
宝石のように輝く魔法石。こんなものの為に多くの命が犠牲になったのかと思うと傷まれなくなる。
魔法石の下敷きになって置かれていた書類を見た。
そこには、犠牲になった子供達や魔法石の扱い方も書かれていた。
許せないと思った。こんなの……こんな考え方、絶対におかしい。
ルイス子爵は命を軽んじてる。必要ならば自分の子の命をも簡単に粗末にできる。
あれ……じゃあ……。私はハッとして、周りを見渡す。
目を凝らしてよく見ると、地面や壁に、シミが出来ている。
ドクンッと胸がザワつく。
急な吐き気がきて、口を抑える。嘘……まさかこれって……。
想像したくない。考えたくない。そう思えば思うほど、この個室で起こったことを想像してしまう。
立ってられなくなって、しゃがみ、膝をついた。
吐くまではいかなくとも、気持ちが悪いことには変わらなかった。
教会の鐘の音が聴こえる。早くいかなくては。そう思うのに、動けない。
「気付いてしまったか、そうなるのも無理はない。……すまんな。今は必要最低限のことしかしてやれん。力が弱まってるからのぉ」
シーアさんは私に近付き、ギュッと抱き締めた。
さっきまで、不安と恐怖で押しつぶされそうだったのに、不思議と心が軽くなった。
ーー暖かい。
光に包まれ、シーアさんは子ドラゴンの姿になって私の膝の上で寝息を立てていた。
私はシーアさんを優しく抱きかかえると、立ち上がる。
さっきまでの吐き気や不安や恐怖はない。足の震えも止まっていて、思うように動ける。
私は走り出した。魔法石と書類を持ったまま。シーアさんも落ちないように、潰さないようにと気をつけながらも手のひらサイズになっているので軽く握る。
早く、終わらして、シーアさんを休ませなくちゃ。アイリスに戻ってほしいという気持ちが焦りに変わらないように走りながらも気持ちを整理していた。
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