196 / 239
第十九章 心に封じられた記憶の闇
騙されてあげないよ【クロエ視点】
しおりを挟む
男性の姿か女性の姿、どっちで行こうか迷ったが男性の姿で行こうと決めた。
女性の姿でドレスだと何かがあった時に、すぐに対処出来そうに無かったからね。気慣れてないし、何よりも女性の姿だと色々と動きにくい。
ルイス子爵は、どちらか一人で来るのは想定してなかったのか、少しだけ戸惑っていた。
『予定と違っている』と心の声が聞こえそうだった。
それもそうだろう。元々ゲームでは、一作目のヒロインのクロエは女性だ。魔法で性別を変えたりはしていない。
その為、三作目はヒロインでは無いが女性として結婚式に参加していた。
なので、あえて男性の姿として参加している。少しでもシナリオが外れることを願って。
まぁ、そう既にシナリオ通りでは無くなっているのだが、ゲームの何らかの力によって強制的にシナリオ通りになる可能性も考えられた。
まだまだ油断は出来ないな。
「クロエ様、少し宜しいでしょうか?」
「……構いませんよ」
ルイス子爵低の侍女らしき一人が俺に話しかけてきた。
侍女に連れられた場所は客室のようだ。
中に入れば後ろからガチャりと鍵をかけられた音が聞こえた。
振り向くと、侍女が中から鍵をかけたようだ。
「随分とご挨拶ですね。これがルイス子爵の挨拶なのでしょうか?」
「……すみません。奥様からのご命令なのです」
ーー強行突破か?
随分と焦っているようだ。
ふぅ……っと息をして侍女を見ると、勢いよく頭を下げてきた。
「私めがこんな事言うのは烏滸がましいと存じ上げております。ですが、どうか……もうこれ以上、奥様や旦那様が血で汚れるのは耐えられないのです」
「主人を裏切るのですか? そんな事したらあなたもタダでは済まないでしょう」
「わかっています。もう私にはこれしかないんです」
「……まさか、自分が単独で悪行を働いたとか、嘘の証言をするつもりでしょうか。誰かに言われた?」
「い、いえ……あの」
侍女は全身が震えている。恐怖からか冷や汗が出ているではないか。
誰かに脅されたのか??
いや、違う。これは……ソフィア様関連じゃなければ騙されたフリぐらいならしてあげたけど、今・回・ば・か・り・は騙されてあげないよ。
俺は侍女の右手を掴むと上に上げる。カラーンっと何かが下に落ちる音が響く。
鋭く尖ったナイフの矛先には仄かな魔力を感じられた。
「……演技が雑。俺を騙すなら、演技を丁寧にすることです。見た所、拘束系の魔法をナイフに仕込んでいたみたいですけど。多方、同情を誘って油断した隙に拘束してどこか別の場所に運ぼうとしてたとかでしょう? あなたは正直ですね。顔が全てを物語っていますよ」
「~~っ!!!」
ただの憶測で言った事だけど、図星のようだ。
わかりやすい。
ルイス子爵に命じられたんだろうが、俺には生半端な演技は通用しないよ。
……ソフィア様は無事だろうか?
その時、鐘の音が響く。
もうそろそろ時間だ。そういえばアレン殿下の姿が見掛けていない。
ルイス子爵とまだ話してるのか?
まぁいい。とりあえず、この侍女を拘束し……。
俺は侍女を見ると、顔面蒼白になって、怯えている。
命令をしくじっただけでこの怯えよう。そういえばルイス子爵って……。
侍女の唇からつーっと赤い液体が一雫垂れる。
力無く、倒れるのを支える。
……死んでる。
どうやら舌を噛みきったらしい。ルイス子爵への忠誠心が強いようには見えなかったが、何かの魔法か。
ゆっくりと横に寝かせる。
人が目の前で死んだというのに、冷静に死体を見れるなんて……慣れてしまったものだな。
立ち上がると、部屋を出る。
女性の姿でドレスだと何かがあった時に、すぐに対処出来そうに無かったからね。気慣れてないし、何よりも女性の姿だと色々と動きにくい。
ルイス子爵は、どちらか一人で来るのは想定してなかったのか、少しだけ戸惑っていた。
『予定と違っている』と心の声が聞こえそうだった。
それもそうだろう。元々ゲームでは、一作目のヒロインのクロエは女性だ。魔法で性別を変えたりはしていない。
その為、三作目はヒロインでは無いが女性として結婚式に参加していた。
なので、あえて男性の姿として参加している。少しでもシナリオが外れることを願って。
まぁ、そう既にシナリオ通りでは無くなっているのだが、ゲームの何らかの力によって強制的にシナリオ通りになる可能性も考えられた。
まだまだ油断は出来ないな。
「クロエ様、少し宜しいでしょうか?」
「……構いませんよ」
ルイス子爵低の侍女らしき一人が俺に話しかけてきた。
侍女に連れられた場所は客室のようだ。
中に入れば後ろからガチャりと鍵をかけられた音が聞こえた。
振り向くと、侍女が中から鍵をかけたようだ。
「随分とご挨拶ですね。これがルイス子爵の挨拶なのでしょうか?」
「……すみません。奥様からのご命令なのです」
ーー強行突破か?
随分と焦っているようだ。
ふぅ……っと息をして侍女を見ると、勢いよく頭を下げてきた。
「私めがこんな事言うのは烏滸がましいと存じ上げております。ですが、どうか……もうこれ以上、奥様や旦那様が血で汚れるのは耐えられないのです」
「主人を裏切るのですか? そんな事したらあなたもタダでは済まないでしょう」
「わかっています。もう私にはこれしかないんです」
「……まさか、自分が単独で悪行を働いたとか、嘘の証言をするつもりでしょうか。誰かに言われた?」
「い、いえ……あの」
侍女は全身が震えている。恐怖からか冷や汗が出ているではないか。
誰かに脅されたのか??
いや、違う。これは……ソフィア様関連じゃなければ騙されたフリぐらいならしてあげたけど、今・回・ば・か・り・は騙されてあげないよ。
俺は侍女の右手を掴むと上に上げる。カラーンっと何かが下に落ちる音が響く。
鋭く尖ったナイフの矛先には仄かな魔力を感じられた。
「……演技が雑。俺を騙すなら、演技を丁寧にすることです。見た所、拘束系の魔法をナイフに仕込んでいたみたいですけど。多方、同情を誘って油断した隙に拘束してどこか別の場所に運ぼうとしてたとかでしょう? あなたは正直ですね。顔が全てを物語っていますよ」
「~~っ!!!」
ただの憶測で言った事だけど、図星のようだ。
わかりやすい。
ルイス子爵に命じられたんだろうが、俺には生半端な演技は通用しないよ。
……ソフィア様は無事だろうか?
その時、鐘の音が響く。
もうそろそろ時間だ。そういえばアレン殿下の姿が見掛けていない。
ルイス子爵とまだ話してるのか?
まぁいい。とりあえず、この侍女を拘束し……。
俺は侍女を見ると、顔面蒼白になって、怯えている。
命令をしくじっただけでこの怯えよう。そういえばルイス子爵って……。
侍女の唇からつーっと赤い液体が一雫垂れる。
力無く、倒れるのを支える。
……死んでる。
どうやら舌を噛みきったらしい。ルイス子爵への忠誠心が強いようには見えなかったが、何かの魔法か。
ゆっくりと横に寝かせる。
人が目の前で死んだというのに、冷静に死体を見れるなんて……慣れてしまったものだな。
立ち上がると、部屋を出る。
1
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になったようなので、婚約者の為に身を引きます!!!
夕香里
恋愛
王子に婚約破棄され牢屋行き。
挙句の果てには獄中死になることを思い出した悪役令嬢のアタナシアは、家族と王子のために自分の心に蓋をして身を引くことにした。
だが、アタナシアに甦った記憶と少しずつ違う部分が出始めて……?
酷い結末を迎えるくらいなら自分から身を引こうと決めたアタナシアと王子の話。
※小説家になろうでも投稿しています
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう
さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」
殿下にそう告げられる
「応援いたします」
だって真実の愛ですのよ?
見つける方が奇跡です!
婚約破棄の書類ご用意いたします。
わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。
さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます!
なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか…
私の真実の愛とは誠の愛であったのか…
気の迷いであったのでは…
葛藤するが、すでに時遅し…
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
八年間の恋を捨てて結婚します
abang
恋愛
八年間愛した婚約者との婚約解消の書類を紛れ込ませた。
無関心な彼はサインしたことにも気づかなかった。
そして、アルベルトはずっと婚約者だった筈のルージュの婚約パーティーの記事で気付く。
彼女がアルベルトの元を去ったことをーー。
八年もの間ずっと自分だけを盲目的に愛していたはずのルージュ。
なのに彼女はもうすぐ別の男と婚約する。
正式な結婚の日取りまで記された記事にアルベルトは憤る。
「今度はそうやって気を引くつもりか!?」
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
第一王子は私(醜女姫)と婚姻解消したいらしい
麻竹
恋愛
第一王子は病に倒れた父王の命令で、隣国の第一王女と結婚させられることになっていた。
しかし第一王子には、幼馴染で将来を誓い合った恋人である侯爵令嬢がいた。
しかし父親である国王は、王子に「侯爵令嬢と、どうしても結婚したければ側妃にしろ」と突っぱねられてしまう。
第一王子は渋々この婚姻を承諾するのだが……しかし隣国から来た王女は、そんな王子の決断を後悔させるほどの人物だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる