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第十九章 心に封じられた記憶の闇
騙されてあげないよ【クロエ視点】
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男性の姿か女性の姿、どっちで行こうか迷ったが男性の姿で行こうと決めた。
女性の姿でドレスだと何かがあった時に、すぐに対処出来そうに無かったからね。気慣れてないし、何よりも女性の姿だと色々と動きにくい。
ルイス子爵は、どちらか一人で来るのは想定してなかったのか、少しだけ戸惑っていた。
『予定と違っている』と心の声が聞こえそうだった。
それもそうだろう。元々ゲームでは、一作目のヒロインのクロエは女性だ。魔法で性別を変えたりはしていない。
その為、三作目はヒロインでは無いが女性として結婚式に参加していた。
なので、あえて男性の姿として参加している。少しでもシナリオが外れることを願って。
まぁ、そう既にシナリオ通りでは無くなっているのだが、ゲームの何らかの力によって強制的にシナリオ通りになる可能性も考えられた。
まだまだ油断は出来ないな。
「クロエ様、少し宜しいでしょうか?」
「……構いませんよ」
ルイス子爵低の侍女らしき一人が俺に話しかけてきた。
侍女に連れられた場所は客室のようだ。
中に入れば後ろからガチャりと鍵をかけられた音が聞こえた。
振り向くと、侍女が中から鍵をかけたようだ。
「随分とご挨拶ですね。これがルイス子爵の挨拶なのでしょうか?」
「……すみません。奥様からのご命令なのです」
ーー強行突破か?
随分と焦っているようだ。
ふぅ……っと息をして侍女を見ると、勢いよく頭を下げてきた。
「私めがこんな事言うのは烏滸がましいと存じ上げております。ですが、どうか……もうこれ以上、奥様や旦那様が血で汚れるのは耐えられないのです」
「主人を裏切るのですか? そんな事したらあなたもタダでは済まないでしょう」
「わかっています。もう私にはこれしかないんです」
「……まさか、自分が単独で悪行を働いたとか、嘘の証言をするつもりでしょうか。誰かに言われた?」
「い、いえ……あの」
侍女は全身が震えている。恐怖からか冷や汗が出ているではないか。
誰かに脅されたのか??
いや、違う。これは……ソフィア様関連じゃなければ騙されたフリぐらいならしてあげたけど、今・回・ば・か・り・は騙されてあげないよ。
俺は侍女の右手を掴むと上に上げる。カラーンっと何かが下に落ちる音が響く。
鋭く尖ったナイフの矛先には仄かな魔力を感じられた。
「……演技が雑。俺を騙すなら、演技を丁寧にすることです。見た所、拘束系の魔法をナイフに仕込んでいたみたいですけど。多方、同情を誘って油断した隙に拘束してどこか別の場所に運ぼうとしてたとかでしょう? あなたは正直ですね。顔が全てを物語っていますよ」
「~~っ!!!」
ただの憶測で言った事だけど、図星のようだ。
わかりやすい。
ルイス子爵に命じられたんだろうが、俺には生半端な演技は通用しないよ。
……ソフィア様は無事だろうか?
その時、鐘の音が響く。
もうそろそろ時間だ。そういえばアレン殿下の姿が見掛けていない。
ルイス子爵とまだ話してるのか?
まぁいい。とりあえず、この侍女を拘束し……。
俺は侍女を見ると、顔面蒼白になって、怯えている。
命令をしくじっただけでこの怯えよう。そういえばルイス子爵って……。
侍女の唇からつーっと赤い液体が一雫垂れる。
力無く、倒れるのを支える。
……死んでる。
どうやら舌を噛みきったらしい。ルイス子爵への忠誠心が強いようには見えなかったが、何かの魔法か。
ゆっくりと横に寝かせる。
人が目の前で死んだというのに、冷静に死体を見れるなんて……慣れてしまったものだな。
立ち上がると、部屋を出る。
女性の姿でドレスだと何かがあった時に、すぐに対処出来そうに無かったからね。気慣れてないし、何よりも女性の姿だと色々と動きにくい。
ルイス子爵は、どちらか一人で来るのは想定してなかったのか、少しだけ戸惑っていた。
『予定と違っている』と心の声が聞こえそうだった。
それもそうだろう。元々ゲームでは、一作目のヒロインのクロエは女性だ。魔法で性別を変えたりはしていない。
その為、三作目はヒロインでは無いが女性として結婚式に参加していた。
なので、あえて男性の姿として参加している。少しでもシナリオが外れることを願って。
まぁ、そう既にシナリオ通りでは無くなっているのだが、ゲームの何らかの力によって強制的にシナリオ通りになる可能性も考えられた。
まだまだ油断は出来ないな。
「クロエ様、少し宜しいでしょうか?」
「……構いませんよ」
ルイス子爵低の侍女らしき一人が俺に話しかけてきた。
侍女に連れられた場所は客室のようだ。
中に入れば後ろからガチャりと鍵をかけられた音が聞こえた。
振り向くと、侍女が中から鍵をかけたようだ。
「随分とご挨拶ですね。これがルイス子爵の挨拶なのでしょうか?」
「……すみません。奥様からのご命令なのです」
ーー強行突破か?
随分と焦っているようだ。
ふぅ……っと息をして侍女を見ると、勢いよく頭を下げてきた。
「私めがこんな事言うのは烏滸がましいと存じ上げております。ですが、どうか……もうこれ以上、奥様や旦那様が血で汚れるのは耐えられないのです」
「主人を裏切るのですか? そんな事したらあなたもタダでは済まないでしょう」
「わかっています。もう私にはこれしかないんです」
「……まさか、自分が単独で悪行を働いたとか、嘘の証言をするつもりでしょうか。誰かに言われた?」
「い、いえ……あの」
侍女は全身が震えている。恐怖からか冷や汗が出ているではないか。
誰かに脅されたのか??
いや、違う。これは……ソフィア様関連じゃなければ騙されたフリぐらいならしてあげたけど、今・回・ば・か・り・は騙されてあげないよ。
俺は侍女の右手を掴むと上に上げる。カラーンっと何かが下に落ちる音が響く。
鋭く尖ったナイフの矛先には仄かな魔力を感じられた。
「……演技が雑。俺を騙すなら、演技を丁寧にすることです。見た所、拘束系の魔法をナイフに仕込んでいたみたいですけど。多方、同情を誘って油断した隙に拘束してどこか別の場所に運ぼうとしてたとかでしょう? あなたは正直ですね。顔が全てを物語っていますよ」
「~~っ!!!」
ただの憶測で言った事だけど、図星のようだ。
わかりやすい。
ルイス子爵に命じられたんだろうが、俺には生半端な演技は通用しないよ。
……ソフィア様は無事だろうか?
その時、鐘の音が響く。
もうそろそろ時間だ。そういえばアレン殿下の姿が見掛けていない。
ルイス子爵とまだ話してるのか?
まぁいい。とりあえず、この侍女を拘束し……。
俺は侍女を見ると、顔面蒼白になって、怯えている。
命令をしくじっただけでこの怯えよう。そういえばルイス子爵って……。
侍女の唇からつーっと赤い液体が一雫垂れる。
力無く、倒れるのを支える。
……死んでる。
どうやら舌を噛みきったらしい。ルイス子爵への忠誠心が強いようには見えなかったが、何かの魔法か。
ゆっくりと横に寝かせる。
人が目の前で死んだというのに、冷静に死体を見れるなんて……慣れてしまったものだな。
立ち上がると、部屋を出る。
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