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第二十一章 悪魔は嗤う
思い込み激しい令嬢は何言っても話を聞いてもらえない 【アレン視点】
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中庭で転んでいる令嬢を見つけ、声をかける。
その令嬢には見覚えがあった。父上の宰相が良く自慢げに話していた娘。
「大丈夫かい?」
「は、はい」
優しく微笑むと令嬢は頬を赤く染める。
確か……名前は……。
「きみはジャネット・デイビス侯爵令嬢だね。デイビス殿から色々と聞いてるよ」
「はい、いつも父がお世話になってます。その……ご挨拶が遅れまして」
「いや、挨拶が遅れた原因は何となくわかるから、気にしないでくれ」
ジャネット嬢はデイビス卿の娘で引っ込み思案なところがあるから、社交界が心配だと良く聞かされている。
慈悲深く、刺繍やお菓子が得意で良く作っては孤児院の子供たちに渡しに行ってるのだとか。
優しい娘なのだとデイビス卿はほくそ笑んでいた。確かに優しいと思うが、それだけだ。
デイビス卿は何かと俺とジャネット嬢を婚約させたいのか会う度にジャネット嬢の良さを伝えてくる。
俺からしたら、どうでもいいことなのだが。自分の目で見て判断したい。
他人の評価や見る目は信用していないのもあるが。
「それで、どうしてここで倒れてたんだい?」
「えっと……、誰かに押されたような気が……いえ、きっと気の所為です」
「押された? 誰かに恨まれる事でも」
「あっ……、いえ。なんでもないです」
ジャネット嬢は考え込んでから何かを思い出したように顔を上げたが、すぐに首を左右に震る。
本人が話したくなさそうだし、話を切り上げて教室に戻ろうとしたら呼び止められた。
「あっ、あの。私……嫌がらせされているんです!」
歩くのを止め、ジャネット嬢を見る。
その目は涙が溜まっていて今にも泣き出しそうなのだが、きっと嘘泣きだと思う。
同情を誘って近寄ろうとする貴族は沢山見てきたからな。そのぐらいはすぐに気付くし、嫌がらせも嘘だ。
前持って、ジャネット嬢の事は調べてあるからな。デイビス卿が俺とジャネット嬢を婚約させたいのならば、ジャネット嬢に俺のことをどう伝わっているのか分からない。
ジャネット嬢が学園に入学すると聞いてたが……、実際に会うのは初めてだった。
基本、良い子なのだが……かなり思い込みが激しい面もあると調査記録にはある。だとすると、ジャネット嬢は俺と婚約者同士だと思っているか、王族との婚約が嫌で破棄を狙って……。
ふと、ある事を思い出した。
ずっと前にも似たような事があったと。思い出して、少しおかしくなって笑いそうなのを口元を手で隠して、冷静さを装った。
「ソフィア・デメトリアス公爵令嬢が私の悪い噂や人目が付かない場所で暴力も……、これが証拠になります!」
ジャネット嬢は袖を捲るとアザがあった。
「何かの間違いなのではないか? ソフィア嬢は暴力を振るうような令嬢じゃない」
「殿下は……私よりもソフィア様を庇うのですか?」
「私よりもって……何か勘違いしてないか。俺はきみとは何の関わりもない。初対面だしね。失礼するよ」
俺は、ジャネット嬢を一人残して教室に向かう。
ジャネット嬢の姿が見えなくなり、立ち止まる。
「参ったな」
ボソリと呟く。
あの様子だと俺と婚約者同士だと思い込んでいる可能性が高い。
思い込み激しい令嬢には何言っても聞いてもらえない。
どうするか。それに……。
変な噂になってないと良いが。
その噂をソフィア嬢には聞かれたくない。早めに対処しなくては。
その令嬢には見覚えがあった。父上の宰相が良く自慢げに話していた娘。
「大丈夫かい?」
「は、はい」
優しく微笑むと令嬢は頬を赤く染める。
確か……名前は……。
「きみはジャネット・デイビス侯爵令嬢だね。デイビス殿から色々と聞いてるよ」
「はい、いつも父がお世話になってます。その……ご挨拶が遅れまして」
「いや、挨拶が遅れた原因は何となくわかるから、気にしないでくれ」
ジャネット嬢はデイビス卿の娘で引っ込み思案なところがあるから、社交界が心配だと良く聞かされている。
慈悲深く、刺繍やお菓子が得意で良く作っては孤児院の子供たちに渡しに行ってるのだとか。
優しい娘なのだとデイビス卿はほくそ笑んでいた。確かに優しいと思うが、それだけだ。
デイビス卿は何かと俺とジャネット嬢を婚約させたいのか会う度にジャネット嬢の良さを伝えてくる。
俺からしたら、どうでもいいことなのだが。自分の目で見て判断したい。
他人の評価や見る目は信用していないのもあるが。
「それで、どうしてここで倒れてたんだい?」
「えっと……、誰かに押されたような気が……いえ、きっと気の所為です」
「押された? 誰かに恨まれる事でも」
「あっ……、いえ。なんでもないです」
ジャネット嬢は考え込んでから何かを思い出したように顔を上げたが、すぐに首を左右に震る。
本人が話したくなさそうだし、話を切り上げて教室に戻ろうとしたら呼び止められた。
「あっ、あの。私……嫌がらせされているんです!」
歩くのを止め、ジャネット嬢を見る。
その目は涙が溜まっていて今にも泣き出しそうなのだが、きっと嘘泣きだと思う。
同情を誘って近寄ろうとする貴族は沢山見てきたからな。そのぐらいはすぐに気付くし、嫌がらせも嘘だ。
前持って、ジャネット嬢の事は調べてあるからな。デイビス卿が俺とジャネット嬢を婚約させたいのならば、ジャネット嬢に俺のことをどう伝わっているのか分からない。
ジャネット嬢が学園に入学すると聞いてたが……、実際に会うのは初めてだった。
基本、良い子なのだが……かなり思い込みが激しい面もあると調査記録にはある。だとすると、ジャネット嬢は俺と婚約者同士だと思っているか、王族との婚約が嫌で破棄を狙って……。
ふと、ある事を思い出した。
ずっと前にも似たような事があったと。思い出して、少しおかしくなって笑いそうなのを口元を手で隠して、冷静さを装った。
「ソフィア・デメトリアス公爵令嬢が私の悪い噂や人目が付かない場所で暴力も……、これが証拠になります!」
ジャネット嬢は袖を捲るとアザがあった。
「何かの間違いなのではないか? ソフィア嬢は暴力を振るうような令嬢じゃない」
「殿下は……私よりもソフィア様を庇うのですか?」
「私よりもって……何か勘違いしてないか。俺はきみとは何の関わりもない。初対面だしね。失礼するよ」
俺は、ジャネット嬢を一人残して教室に向かう。
ジャネット嬢の姿が見えなくなり、立ち止まる。
「参ったな」
ボソリと呟く。
あの様子だと俺と婚約者同士だと思い込んでいる可能性が高い。
思い込み激しい令嬢には何言っても聞いてもらえない。
どうするか。それに……。
変な噂になってないと良いが。
その噂をソフィア嬢には聞かれたくない。早めに対処しなくては。
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