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小助くんとなかよしどうぶつ
子どもにばけたキツネとタヌキ
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小助は、いつものように森の中を歩いていると人間の子どもがこの先にいることに気づきました。そこへかけ足で走って行くと、小助よりも年上らしき男の子が立っています。
「ねえねえ! ねえねえ!」
「ぼうや、どうしたの?」
「どうちて(どうして)ここにいるの?」
山おくでくらしている人間は、小助とお母さんの2人しかいません。そこにいる人間の男の子は、はらがけすがたの小助とはちがってきものをきています。
男の子は、自分をふしぎそうに見つめる小助に声をかけようとしています。
「ぼうやの家は、どこにあるのかな?」
「こっち! こっち!」
小助は、お母さんといっしょにくらす家へ男の子といっしょに歩き出しました。そんな2人を草むらから見ているのは、ある1ぴきのどうぶつです。
「うまくばけることができるとは……。でも、人間にばけることだったらおれのほうが上手だぜ」
キツネは、少しくやしそうなようすで小助とともにいる人間の子どもを見ています。その男の子は、タヌキが人間の子どもそっくりにばけたすがたです。
タヌキとは、どっちが上手にばけるかでいつもケンカになるほどです。それゆえに、キツネも自分のすごいところを見せようと草むらにかくれてばけようとしています。
そのころ、小助は男の子をつれて森から出ようとしているところです。森から出たその先には、小助のお母さんがまっている山おくの小さい家があります。
「ねえねえ! ねえねえ!」
「どうしたの?」
「いっちょに(いっしょに)家でおイモ食べよう! おイモ食べよう!」
小助は、大すきなイモを男の子にも食べさせたいとはりきっています。2人が森から出てくると、目の前に人間の女の子が立っているのが見えてきました。
「ねえねえ! どうちたの(どうしたの)?」
「お、おれ……。い、いや、あたしもいっしょに行きたい!」
その女の子は、キツネが人間のすがたにばけているものです。小助は、男の子と女の子がタヌキとキツネがばけたすがたであることにまだ気づいていません。
「ホッ……。あやうく自分の正体がばれるところだったぜ」
その女の子は、どう見てもキツネにばけたすがたであることは分かりません。キツネは、女の子らしくなりきろうと小助にやさしい声をかけようとします。
「あたしもおイモ食べたい!」
「うん! みんなで食べよう! おイモを食べよう!」
こうして、小助は人間の友だちをお母さんにしょうかいしようとかけ足で走り出しました。キツネとタヌキがばけた子どもたちもその後をついて行こうとしますが、小助のはやさにはかないません。
小助が引戸をあけると、家の中にいるお母さんに大すきなおイモが食べたいとおねだりしています。
「ふふふ、小助くんは大きなイモをいつも食べるんだものね」
お母さんが土間でおイモをやいているのを小助がじっと見ていると、後ろから男の子と女の子が家の中へ入ってきました。小助は、お母さんに新しい友だちができたことをうれしそうに話し出しました。
「今までどうぶつのお友だちはたくさんいるけど、人間のお友だちができるのははじめてだね。でも……」
お母さんは、男の子と女の子のすがたを見ながら何か気になっているようです。この山おくにすんでいる人間は、小助とそのお母さんだけです。
「この子どもたち、もしかしてまいごなのかも」
小助が生まれてからというもの、山おくへ入った人間を見たことはありません。2人の子どもがしんぱいになったお母さんは、男の子と女の子に話しかけようとしています。
「ねえ、どこからきたの?」
そのことばを耳にした子どもたちは、へんじをかえそうにもなかなか口に出せません。
「どうしたのかな?」
「あ、あの……。ぼくたちは……」
「近くに村ができたから……。ははははは……」
子どもたちは、わらい声でごまかすように小助のお母さんへことばをかえしました。お母さんは、そんな子どもたちをふしぎそうに見つめています。
「それじゃあ、ちょうどおイモをやいているからいっしょに食べてごらん」
「わあっ! おイモ食べたい!」
おやつにやきイモが出てくるとあって、子どもたちは大よろこびです。お母さんは、やきたてのおイモを小助たちに手わたしています。
「かあちゃ! ありがとう!」
小助たちは、お母さんにおれいを言うとやきイモを口の中へほおばりながら食べはじめました。子どもたちにばけているキツネとタヌキは、やきイモがどれだけおいしいなのかたしかめています。
「おっ! こんなにおいしいのは生まれてはじめてだぞ」
「わあっ、これがやきイモか! おいしいなあ」
キツネとタヌキは、小助たちに気づかれないようにひそひそと話しています。そんな時、小助が何か話しかけてきました。
「ねえねえ! 何を話ちてたの(話してたの)?」
「うわっ、何も言ってないって! ははははは……」
キツネとタヌキは、子どもにばけていることにあやうくばれてしまうところでしたが、小助が気づいていないようすにホッとしています。
そんな小助はやきイモを1本食べ終わると、右手にもっているもう1本のやきイモを口に入れています。すると、小助のおなかからあの音が聞こえてきました。
「ギュルギュル、ゴロゴロゴロッ……」
そして、小助が子どもたちのそばへやってきたその時のことです。
「プウッ! プウッ! プウッ! ププウウウウウウ~ッ!」
「わわわっ!」
それは、いつも元気な小助にぴったりのでっかいおならです。小助のおならを食らったキツネとタヌキは、白いけむりが上がってもとのすがたにもどりました。
「てへへ、おならが出ちゃった」
「ふふふ、小助くんのおならはいつも元気いっぱいなんだから。それにしても、子どもにばけていたのがキツネとタヌキだったのは知らなかったわ」
キツネとタヌキは、小助のおならがくさくてあお向けにたおれたままです。それでも、お母さんはやさしいえがおでキツネとタヌキの顔をじっと見つめています。
「ねえねえ! ねえねえ!」
「ぼうや、どうしたの?」
「どうちて(どうして)ここにいるの?」
山おくでくらしている人間は、小助とお母さんの2人しかいません。そこにいる人間の男の子は、はらがけすがたの小助とはちがってきものをきています。
男の子は、自分をふしぎそうに見つめる小助に声をかけようとしています。
「ぼうやの家は、どこにあるのかな?」
「こっち! こっち!」
小助は、お母さんといっしょにくらす家へ男の子といっしょに歩き出しました。そんな2人を草むらから見ているのは、ある1ぴきのどうぶつです。
「うまくばけることができるとは……。でも、人間にばけることだったらおれのほうが上手だぜ」
キツネは、少しくやしそうなようすで小助とともにいる人間の子どもを見ています。その男の子は、タヌキが人間の子どもそっくりにばけたすがたです。
タヌキとは、どっちが上手にばけるかでいつもケンカになるほどです。それゆえに、キツネも自分のすごいところを見せようと草むらにかくれてばけようとしています。
そのころ、小助は男の子をつれて森から出ようとしているところです。森から出たその先には、小助のお母さんがまっている山おくの小さい家があります。
「ねえねえ! ねえねえ!」
「どうしたの?」
「いっちょに(いっしょに)家でおイモ食べよう! おイモ食べよう!」
小助は、大すきなイモを男の子にも食べさせたいとはりきっています。2人が森から出てくると、目の前に人間の女の子が立っているのが見えてきました。
「ねえねえ! どうちたの(どうしたの)?」
「お、おれ……。い、いや、あたしもいっしょに行きたい!」
その女の子は、キツネが人間のすがたにばけているものです。小助は、男の子と女の子がタヌキとキツネがばけたすがたであることにまだ気づいていません。
「ホッ……。あやうく自分の正体がばれるところだったぜ」
その女の子は、どう見てもキツネにばけたすがたであることは分かりません。キツネは、女の子らしくなりきろうと小助にやさしい声をかけようとします。
「あたしもおイモ食べたい!」
「うん! みんなで食べよう! おイモを食べよう!」
こうして、小助は人間の友だちをお母さんにしょうかいしようとかけ足で走り出しました。キツネとタヌキがばけた子どもたちもその後をついて行こうとしますが、小助のはやさにはかないません。
小助が引戸をあけると、家の中にいるお母さんに大すきなおイモが食べたいとおねだりしています。
「ふふふ、小助くんは大きなイモをいつも食べるんだものね」
お母さんが土間でおイモをやいているのを小助がじっと見ていると、後ろから男の子と女の子が家の中へ入ってきました。小助は、お母さんに新しい友だちができたことをうれしそうに話し出しました。
「今までどうぶつのお友だちはたくさんいるけど、人間のお友だちができるのははじめてだね。でも……」
お母さんは、男の子と女の子のすがたを見ながら何か気になっているようです。この山おくにすんでいる人間は、小助とそのお母さんだけです。
「この子どもたち、もしかしてまいごなのかも」
小助が生まれてからというもの、山おくへ入った人間を見たことはありません。2人の子どもがしんぱいになったお母さんは、男の子と女の子に話しかけようとしています。
「ねえ、どこからきたの?」
そのことばを耳にした子どもたちは、へんじをかえそうにもなかなか口に出せません。
「どうしたのかな?」
「あ、あの……。ぼくたちは……」
「近くに村ができたから……。ははははは……」
子どもたちは、わらい声でごまかすように小助のお母さんへことばをかえしました。お母さんは、そんな子どもたちをふしぎそうに見つめています。
「それじゃあ、ちょうどおイモをやいているからいっしょに食べてごらん」
「わあっ! おイモ食べたい!」
おやつにやきイモが出てくるとあって、子どもたちは大よろこびです。お母さんは、やきたてのおイモを小助たちに手わたしています。
「かあちゃ! ありがとう!」
小助たちは、お母さんにおれいを言うとやきイモを口の中へほおばりながら食べはじめました。子どもたちにばけているキツネとタヌキは、やきイモがどれだけおいしいなのかたしかめています。
「おっ! こんなにおいしいのは生まれてはじめてだぞ」
「わあっ、これがやきイモか! おいしいなあ」
キツネとタヌキは、小助たちに気づかれないようにひそひそと話しています。そんな時、小助が何か話しかけてきました。
「ねえねえ! 何を話ちてたの(話してたの)?」
「うわっ、何も言ってないって! ははははは……」
キツネとタヌキは、子どもにばけていることにあやうくばれてしまうところでしたが、小助が気づいていないようすにホッとしています。
そんな小助はやきイモを1本食べ終わると、右手にもっているもう1本のやきイモを口に入れています。すると、小助のおなかからあの音が聞こえてきました。
「ギュルギュル、ゴロゴロゴロッ……」
そして、小助が子どもたちのそばへやってきたその時のことです。
「プウッ! プウッ! プウッ! ププウウウウウウ~ッ!」
「わわわっ!」
それは、いつも元気な小助にぴったりのでっかいおならです。小助のおならを食らったキツネとタヌキは、白いけむりが上がってもとのすがたにもどりました。
「てへへ、おならが出ちゃった」
「ふふふ、小助くんのおならはいつも元気いっぱいなんだから。それにしても、子どもにばけていたのがキツネとタヌキだったのは知らなかったわ」
キツネとタヌキは、小助のおならがくさくてあお向けにたおれたままです。それでも、お母さんはやさしいえがおでキツネとタヌキの顔をじっと見つめています。
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