生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン

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結婚式とそれからの日々

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次の日僕が目覚めたのはお日様が随分と高いところまで昇った時間だった。

意識を失ったあとカリタスは僕を風呂へ入れて着替えさせて綺麗にしたベッドへ寝かせてくれたようだ。

身体を起こそうとしたけど動かない……痛む腰と尻を庇いながらどうにか起き上がる。
すると部屋のドアが開いてカリタスが入ってきた。

「モーブル!身体は大丈夫かい?昨夜は随分と無理をさせてしまった。」
とベッドへ走り寄ってきて僕の背中にクッションを入れてくれた。

「あり……う」!!!お礼を言おうと思ったのに声が出ない。

どうやら喉まで枯れてしまったようだ。
慌ててコップにお水を入れて渡してくれる。
ゴクゴクと一気に飲み干してフゥっと息をつく。

「昨夜の後始末カリタスが全部やってくれたの?ありがとう。」

「あたりまえだよ!大事な伴侶なんだから僕に全部させて欲しいよ。」

カリタスが僕に覆い被さりキスをする。しばらく舌を絡めさせて夢中でキスしてたんだけどよく考えたら真昼間だった。

メイドさんが部屋のドアをノックしたから慌てて離れようとしたのにカリタスは抱きしめたまま離れない。
どうにか引っぺがして返事をした。

「お食事をお持ちいたしました。」
と美味しそうなリゾットとフルーツがワゴンに乗って運ばれてきた。
 
テーブルにセットしてもらったのでお礼を言って下がってもらう。
 
カリタスが僕を抱っこしたままテーブルへ行きそのまま膝の上に座らされる。
前世で腐おっさんだった僕にはわかる。これは……このシチュエーションは……。

「さぁモーブル口を開けて。」

やっぱりね、スーパー攻様名物給餌だよね。
これは逆らっても仕方がないので大人しく口を開ける。
絶妙なタイミングで僕の口へ運ばれるリゾット……時々水……このリゾットから水へ変わるタイミングも完璧だった。
口の端についたリゾットも、チュッと口で吸い取るオマケ付き……絵に描いたようなスパダリだな。
 
デザートのフルーツも僕を抱き抱えながら器用に剥いてチュルっと口へ入れてくれる……。

その場で食休みしたらすぐにベッドへ……そして彼にいいようにされてしまう……こんな生活が3日ほど続いて僕は流石に危機感を覚えた。
と言うわけで渋るカリタスを説得して今日こそはと部屋の外へ……。
 
皇太子妃と第二王子妃が僕に付いてくれて、結婚式の準備を手伝ってくれた。
第3王子なので大々的にやらなくても良いと言うのは助かった。
 
白を基調とした衣装を対で作ってもらって、結婚指輪も2人で選ぶ。
カリタスが執務に入っている間に、王族に入るための教育を受けたりして結構忙しい。
 
そんなこんなで3か月がたち、ついに結婚式をむかえたのだった。

この世界にいる人たちが結婚するときは必ず教会で誓いを立てなければならない。
 
キャメール神から婚姻証に祝いの印がもらえないと夫婦にはなれないし子どもも授からないからだ。
 
2人っきりで司祭様にお願いして誓いを立てて結婚する人もいれば沢山の参列者に囲まれて誓いを立てる人もいる。
 
ちなみに別れる時は教会でキャメール神に報告すると婚姻証の印が消えて別れることができる。

婚姻証の祝いの印が出たり消えたりするのはこの世界の不思議の一つとされている。

教会の祭壇の前に司祭様とカリタスがいる。僕は故郷から今日のために来てくれた父の腕に捕まってバージンロードを進む。

父の腕から離れてカリタスの手を取ると祭壇全体の空気がホワリと解けた感じがした。
 
祭壇に置かれた婚姻証にサインをして跪き頭を下げる……すると婚姻証のサインの上に波のような線で三角形を模した紋様が浮かび上がった。

 (ウールマーク???)

前世で見た洗濯表示みたいな印が浮かんで無事にキャメール神から結婚の許しを得ることができた。

司祭様がうやうやしく頭を下げて言った。

「ご結婚おめでとうございます。このままピッカの実を授かりに参りますか?」

この世界で子供を授かるにはピッカの実が必須だ。
結婚をキャメール神に許されたら、そのまま教会の奥の庭に生えたピッカの木に2人で聖水をかける。
すると8割くらいの確率で桃に似た薄橙色の果物が一つなる。
それを産む側が食べて行為をすると半年以内に7割くらいの夫夫に子どもが出来るのだ。
ちなみに何度でも挑戦できるので子どもが欲しくてもなかなか出来ない夫夫は時々産む側を変えてみるとすんなり授かるパターンもある。

いわゆるリバってやつですね。

教会は各国の町々に点在しているのだけど、ピッカの木が生えたところに教会を立てるので時々すごく辺鄙な場所に教会が建っていたりもする。
 
僕とカリタスは話し合って子どもは作らないことにした。
というのもカリタスが僕を独り占めしたいから僕たちに子どもはいらないと言うのだ。
お世継ぎも関係ないしね。
 
僕自身は前世でもそうなんだけど子どもに縁がなさそうで、多分ピッカの実を食べても授からないような気がするのだ。
 
その感は多分当たっていると思うんだよね。
理由はないけどそんな気がするのだ。
だから司祭様に「ピッカの実はお願いしません。」
と伝えて結婚式を終えたんだ。

第3王子とはいえ、幼い頃に誘拐されて生きて戻って来てホワイトローズ王国との国交の足掛かりを作ったカリタスは国民にも人気があって街中のパレードでは沢山の人たちがお祝いしてくれた。
僕たちは沢山の祝福を浴びて結婚した。
そうして本格的に僕たちはカサブランカ王国で夫夫としてくらしていくことになった。

僕たちの仕事はいわゆる王国内の視察だ。

何故なら結婚してから知ったのだけどお互いが加護を持っていたからだ。
僕の加護は自分の魔法で耕した土に植物を実らせ飲み物にしたり、公にはしてないけれどエリクサーを作ったりできる、そしてカリタスの加護は危険予知なんだそうだ。

その地に行って加護を発動させると、川の氾濫や土砂崩れなどが起きそうな場所を見つけることが出来るらしくて事故が起こる前に対策が打てる。

というわけで2人で王国内各地を巡り危険箇所を見つけたり、難病に冒されたりしている人にこっそりエリクサーを飲ませたりしている。

エリクサーは亡くなった方とか、亡くなる直前の方には効果はない。
そして生きる希望を無くしてしまっている方にも残念ながら効果はない。

万能薬であっても万能ではなくて時々悲しい思いをすることもある。

そのためかエリクサーを作る僕の加護が追求されることもなく、ぼんやりと隠しながら暮らすことができている。

ただ僕たち夫夫が訪れたあとのその地域は不思議なことに作物は豊作になり豊かな地域となるので国民からは奇跡の夫夫として敬われることとなり後世に語り継がれていくのだった。
 
 
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