夫で王子の彼には想い人がいるようですので、私は失礼します

四季

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前編

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 私、ロテ・フルーレは、十五の頃に特別な力を持っていると告げられた。

 平凡な毛質の茶髪、特別滑らかでもない肌、ありふれている黒に近い茶色の瞳。外見には特別な点はない。この国の女性における平均的な外見だ。

 けれども、害を退ける力を持っていることが判明してから、私の人生は大きく変化した。

 まず、周囲の人たちの私を見る目が変わった。

 それまでは特に何とも思われていない様子だった。嫌われているということはないので、そこは幸運かもしれない。が、賞賛されることがあるわけではないし、丁重に扱われるわけでもない。当然のことではあるけれど、皆にとって私はただの少女に過ぎなかったのだ。

 だがそれは変わり果てた。

 私の力が判明してからは、皆、私に丁寧な接し方をするようになったのだ。しかも、機嫌取り的な意味で贈り物を渡そうとしてくる人まで出てくる。

 少しのことで接し方がこんなに変わるものか、と、驚いた。

 また、私は国の王から声を掛けられ、息子と結婚してほしいと頼み込まれることとなる。周囲の人たちも、王も、同じ状態だったのだ。皆、私の力を欲している。王からの頼みに驚きつつも喜んだ両親は、私を王子と結婚させることをあっさりと選んだ。

 私の意思なんて関係なかった。
 もはや私は道具のようなものだった。

 そうして私はこの国の王の息子、第一王子のカフス・アベーリと婚約。やがて王城へ行き、そこに住み込んで暮らすこととなった。後に、カフスと正式に結婚することとなる。
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