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後編
人生が薔薇色に変貌したかと思われるような展開。
けれども、その展開が幸せを呼ぶことはなかった。
その時既にカフスには想い人がいた。そして彼は私には見向きもしなかった。強制的に近い結婚だったから仕方ないというのも一つの事実だろう。が、それでも、妻になっていながら無視され続けるというのは辛過ぎた。
それから五年。
私は二十歳になり、周辺の色々なものが変わっていったけれど、私とカフスの関係にだけは変化はなかった。結婚して間もない頃に近い状態がいまだに続いている。
しかも、横這いですらない。
カフスの愛人は、日に日に、密かに増えていく。それなのに私は相手にもされない。むしろ、目が合うと舌打ちをされるくらい嫌われている。想い人のことを咎めることはせず大人しくしていたにもかかわらず、である。
そんなある日、私は城を飛び出した。
ここにはいられない。ここにいたらいずれおかしくなってしまう。そう判断したからだ。厳密には既に少しおかしくなっていたのかもしれない、その時は後のことなどちっとも考えられなかった。
王子の妻が行方不明になった。
その事実が国内を騒がせる。
広がる動揺。王子が私にしていた冷ややかな態度についても、やがて情報が漏れ始める。合うたび舌打ち、朝の挨拶をして無視、など。次第に国民は王子へ不信感を募らせ始めた。
その後、私は隣国に入り、いろんな事情がある人たちを受け入れる家へ住み着いた。
そこにいる人たちは温かかった。私に特別な力があると知った瞬間皆が向けてきた優しさとは異なる優しさが、そこの人たちにはあったのだ。その優しさに癒やされ、精神状態も徐々に回復。健康を取り戻した。
私はそこで出会った男性と結婚。
穏やかに暮らした。
カフスの父親が統治する国は、あの後、敵国に侵略されてしまったそうだ。土地は残ったが、国自体は亡くなったと聞く。また、一般国民が生きることは許されたそうだが、王族が生き延びることは許されなかったという話だ。きっと、王もカフスも、落命したのだろう。
あの時逃げ出しておいて命拾いした。
心からそう思った。
カフスと結婚してから長い間複雑な想いを抱えてきたけれど、もしかしたら、あの時カフスに大切にされていなくて良かったのかもしれない。
◆終わり◆
けれども、その展開が幸せを呼ぶことはなかった。
その時既にカフスには想い人がいた。そして彼は私には見向きもしなかった。強制的に近い結婚だったから仕方ないというのも一つの事実だろう。が、それでも、妻になっていながら無視され続けるというのは辛過ぎた。
それから五年。
私は二十歳になり、周辺の色々なものが変わっていったけれど、私とカフスの関係にだけは変化はなかった。結婚して間もない頃に近い状態がいまだに続いている。
しかも、横這いですらない。
カフスの愛人は、日に日に、密かに増えていく。それなのに私は相手にもされない。むしろ、目が合うと舌打ちをされるくらい嫌われている。想い人のことを咎めることはせず大人しくしていたにもかかわらず、である。
そんなある日、私は城を飛び出した。
ここにはいられない。ここにいたらいずれおかしくなってしまう。そう判断したからだ。厳密には既に少しおかしくなっていたのかもしれない、その時は後のことなどちっとも考えられなかった。
王子の妻が行方不明になった。
その事実が国内を騒がせる。
広がる動揺。王子が私にしていた冷ややかな態度についても、やがて情報が漏れ始める。合うたび舌打ち、朝の挨拶をして無視、など。次第に国民は王子へ不信感を募らせ始めた。
その後、私は隣国に入り、いろんな事情がある人たちを受け入れる家へ住み着いた。
そこにいる人たちは温かかった。私に特別な力があると知った瞬間皆が向けてきた優しさとは異なる優しさが、そこの人たちにはあったのだ。その優しさに癒やされ、精神状態も徐々に回復。健康を取り戻した。
私はそこで出会った男性と結婚。
穏やかに暮らした。
カフスの父親が統治する国は、あの後、敵国に侵略されてしまったそうだ。土地は残ったが、国自体は亡くなったと聞く。また、一般国民が生きることは許されたそうだが、王族が生き延びることは許されなかったという話だ。きっと、王もカフスも、落命したのだろう。
あの時逃げ出しておいて命拾いした。
心からそう思った。
カフスと結婚してから長い間複雑な想いを抱えてきたけれど、もしかしたら、あの時カフスに大切にされていなくて良かったのかもしれない。
◆終わり◆
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