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後編
しおりを挟むさようなら。
そう言って、私は彼の前から去った。
彼は泣いていた。
お金だけはどうにかしてほしいと訴えていた。
でも私は無視した。
当たり前だろう?
もう彼のためにお金を使う理由なんてない。
私は私で生きてゆくのだ。
◆
リドルガスは我が家からの支援の打ち切りによって借金地獄に堕ちることとなった。
彼は今、逃亡の旅の途中だそうだ。
借金返済を迫る者たちから逃げているのだから――なんとも滑稽、みっともない姿である。
でも、ざまぁみろ、とは少し思う。
金銭支援のことを考慮せず一方的に婚約破棄を言い放つなんて、愚か以外の何物でもないではないか。
彼はもうきっと穏やかな日々は得られない。
これからはずっと怖い人たちから逃げて生きていくこととなるのだ。
◆
数年後、私はこの国の最高権力者一族であるアンデルフィートン家の子息と結婚した。
彼は若いにもかかわらず莫大な資産を持っている。しかし性格に問題はない。嫌な人どころか、非常に良い人。深い善良さを感じさせる人物である。しかも、それでいて聡明なので、単なるおっとりというだけでもない。尊敬できる部分もたくさんある。とにかく非の打ち所のない人だ。
◆終わり◆
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