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後編
しおりを挟む私は書類を取り出し彼に見せる。
そして「書いてあるでしょう」と言ってやれば、彼は驚いたような顔をしつつも小さく頷いた。
「ま、でもいいわ。婚約破棄したいのならそれでも構わない。好きにすればいい。じゃ、そういうことで。さようなら」
「え!? ちょ――」
「ただし、ここに書いてある約束を破った時の償いはしてもらうから。それは分かっておいてちょうだいね。さよなら」
オーヴェスムがきょとんとしているうちに、私は彼の前から去った。
◆
あれから数ヶ月。
私はオーヴェスムではない男性を親戚のおばさんに紹介してもらい、その人と仲良くなれつつあるという現状だ。状況は悪くはない――否、むしろかなり良い状況と言えるだろう。彼との話は順調に進んでいる。明るい未来の方へと歩み出せている。
一方、オーヴェスムはというと。
あれ以降眠るたびに得体のしれない悪夢をみるようになり、そこから段々眠ることが怖くなっていったそうで――酷い不眠症になってしまったそう。
で、心身ともに調子は著しく悪化。
そんな状態で風邪を引いた冬にその風邪をこじらせてしまい、彼はそのまま死に至ったそうだ。
また、彼の葬儀の途中、黒い女神の影が参加者の服にべったりとつくという謎現象も発生したそうで。
皆「オーヴェスムは呪われていたのだろう」などと言っているようだ。
ま、そういう面もあるかもしれないな、とは多少思うけれど……でも、私からすればもうどうでもいいことだ。
◆終わり◆
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