婚約破棄してきた王子、我が父に復讐される。~彼はすべてを失いました……意外な形で~

四季

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前編

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 この国の王子にして婚約者であるヴィッジ・オーガ・ラクストラルフ――私はヴィッジと呼んでいるが――彼がある日の午後急に城へ私を呼び出した。

「悪いが、君との婚約は破棄とすることにした」

 彼は第一声そう発する。

 その瞳には真剣な決意の色が濃く浮かんでいた。

「ヴィッジ……その、それは本気で言っているの?」
「ああ、もちろんだ」
「そう……もう終わりにしたいということなのね」
「そうだ」
「でもいいのかしら。皆に祝ってもらってここまで来たのに」
「いいんだよ、俺が決めたことがすべてだ」

 どうあがいても彼の決意が揺らぐことはない。
 少し話してみてそう察した。

 彼の心はそれほどに決まってしまっているのだ。

「俺はより良い人生を歩みたいんだ。だから妥協はしない、何においても。君だって知っているだろう? 俺は妥協しない人間だと」
「ええ、知っているわ……」
「つまりそういうことだよ」
「そうね、きっと貴方は……私がここで何を言おうとも、心を変えることはしないのでしょう」

 私たちは見つめ合う。
 そしてお互いに意図して視線を逸らした。

 二人の視線が交錯することはきっともうない。

「私たち、ここまでね」


 ◆


 ヴィッジが正当な理由なく婚約を破棄したという話を聞いた父は激怒した。

 顔を真っ赤に染め上げて。
 ひげが逆立つほどに怒りを噴出させている。

「あいつ……! 絶対に許さん……! 勝手なことをして我が娘を巻き込みやがって……ぜーったいに! 許しはせん、許さんぞおおおお!」

 その後、父は、もとより関わりのあった呪術師に復讐の依頼を出した。

 ――ヴィッジへの復讐。

 それが父の何よりも大きな望みとなったのだ。
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