想い合っている? そうですか、ではお幸せに

四季

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1話

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「コルネリアさん。実は、私のお腹には彼との子がいるんです」

 半年ほど前に婚約した私——コルネリア・フレンツェは、ある日突然訪ねてきた女性にそんなことを言われてしまった。

 見知らぬ女性が前もって連絡することもなく訪ねてきた時、何かがおかしいと思いはした。
 明らかに不自然だったから。
 だって、知り合いでもない人が突然訪問してくるなんて、誰がどう考えてもおかしいではないか。

 ただ、違和感を抱いてはいたものの、会うことを拒むことはしなかった。もしかしたら何か重要な用事があるのかもしれない、と考えたからだ。それに、話を聞くこともせずに拒むのは失礼、という思いもあったのである。

 だが、やはり、会わない方が良かったかもしれない。
 こんなことを聞かされることになるのなら。

「彼というのは、私の婚約者のことですか?」
「はい」
「……それは事実ですか?」
「もちろんです! 嘘なんてつきません! 貴女の婚約者さんと私、想い合っているんです!」

 半年ほど前に婚約した彼の名は、サインという。

 私とは恋人同士だったわけではない。家柄が近かったため、婚約することとなったのだ。恋愛的な意味で互いに想い合っているわけではなかった。が、仲が悪かったわけではない。それなりに信頼し合っていた。

 だから最初は事実でないと思った。

 サインが女性の話をしたことなんてなかったから。

 御宅の旦那の子が自分の腹にいる——そう言って金をせびる詐欺もあると耳にしたことがあった。だから、もしかしたらそういうものかもしれない、と考えて。けれども、話を聞いているうちに、詐欺ではなさそうな気もしてきた。

「サインさんは本当に優しい方です。私のことをいつも気にかけてくださいます。少しでも困っていたら、ヒーローのように、すぐに助けに来てくださるのです」

 この話は本当なのかもしれない。
 私がそう感じたのは、サインとのことを語る女性の表情が幸せそうなものだったからだ。

「そもそもの始まりも彼が私を助けてくれたことなのです……! 急な腹痛に困っていたところ、抱き上げてくださって、治療を受けられるところまで連れていってくださったのです。あぁ、もう、本当にお優しいっ……! 思い出すだけでもうっとりです!」

 サインが他の女性と仲良くしているなんて知らなかった。想像してもみなかった。それだけに驚きは小さくなかったけれど、でも、私の心は妙に静かであった。

 自分でも不思議なくらい、落ち着けている。

 胸の内は乱れない。
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