想い合っている? そうですか、ではお幸せに

四季

文字の大きさ
2 / 3

2話

しおりを挟む
「コルネリアさん、サインさんとの婚約を解消してくださいませんか?」

 彼女は上品そうな雰囲気をまとっている人物だ。容姿、目つき、口調、すべてがお上品。だが、お上品なように振舞っているわりには、普通言いづらそうなことを平然と言ってのける豪快さがある。同性から見れば、彼女が大人しく上品なお嬢様でないことは明らか。

「なぜですか」
「貴女とサインさんの間に……お子さんはいらっしゃらないですよね?」

 子どもがいないから別れろ、とでも言いたいのか。
 そんなのは勝手だ。勝手過ぎる。私と彼は手続きを済ませて正式に婚約者になっているのに、それをなかったことにしろと言うのか。あり得ない。

「それはそうですけど、でも、私たちは正式に婚約しています」
「サインさんが愛しているのは私です! 婚約など関係ありません! ……それに、貴女だって、結婚するなら本当に愛し合っている者同士の方が良いと思われるでしょう?」

 これにはさすがに腹が立った。
 なぜこんな平然としていられるのだろう。

「だから婚約解消しろ、と?」

 若干調子を強めてしまった。

 でも後悔してはいない。こんなことを言われて弱々しく頷くなんて、できるわけがないのだから。そもそも私はそんなに大人しい人間ではない。やる時はやる。凛として言い返すことだってある。

「えぇ。そういうことです、構いませんよね」
「勝手に話を進めないでください。そんな話、すぐには受け入れられません」
「コルネリアさん、なぜ分かってくださらないのですか? 私たちは心から愛し合っているのですよ? 貴女と彼はそうではないでしょう。貴女のその位置、私に譲ってください。私の方がその場所に相応しいのです」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

私を裏切り結ばれた婚約者と姉は…その身に、醜い呪いを受ける事になりました─。

coco
恋愛
私を裏切り、結ばれた姉と婚約者。 姉は、昔から好きだった彼と結ばれた事に、幸せを感じていたが…?

裏切りは許さない…今まで私を騙し利用していた夫を、捨てる事にしました─。

coco
恋愛
家を空け、仕事に勤しむ夫。 だが、そんな夫の裏切りを知る事になった私は─?

夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。

Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。 彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。 そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。 この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。 その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──? (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)

幼馴染に婚約者との仲を壊されそうになりましたが…結局、破滅したのは彼女の方でした。

coco
恋愛
幼馴染に婚約者との仲を壊されそうになる私。 嘘が上手な彼女に、私は苦しめられていたが…でもある事がきっかけで、彼女は窮地に立たされ─?

彼には溺愛する幼馴染が居ますが…どうして彼女までこの家に住む事になっているのです?

coco
恋愛
彼には溺愛する美しい幼馴染が居る。 でもどうして、彼女までこの家に住む事になっているのです? ここは本来、私たちが幸せに暮らすはずの家だったのに…。

私を見下す可愛い妹と、それを溺愛する婚約者はもう要らない…私は神に祈りを捧げた。

coco
恋愛
私の容姿を見下す可愛い妹と、そんな彼女を溺愛する私の婚約者。 そんな二人…もう私は要らないのです─。

ブスなお前とは口を利かないと婚約者が言うので、彼の愛する妹の秘密は教えませんでした。

coco
恋愛
ブスなお前とは口を利かないと、婚約者に宣言された私。 分かりました、あなたの言う通りにします。 なので、あなたの愛する妹の秘密は一切教えませんよ─。

あなたに愛されたいと願う私は愚か者だそうです、婚約者には既に心に決めた人が居ました。

coco
恋愛
「俺に愛されたい?お前は愚かな女だな。」 私の愛の言葉は、そう一蹴された。 何故なら、彼には既に心に決めた人が居たのだから─。

処理中です...