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2話
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「コルネリアさん、サインさんとの婚約を解消してくださいませんか?」
彼女は上品そうな雰囲気をまとっている人物だ。容姿、目つき、口調、すべてがお上品。だが、お上品なように振舞っているわりには、普通言いづらそうなことを平然と言ってのける豪快さがある。同性から見れば、彼女が大人しく上品なお嬢様でないことは明らか。
「なぜですか」
「貴女とサインさんの間に……お子さんはいらっしゃらないですよね?」
子どもがいないから別れろ、とでも言いたいのか。
そんなのは勝手だ。勝手過ぎる。私と彼は手続きを済ませて正式に婚約者になっているのに、それをなかったことにしろと言うのか。あり得ない。
「それはそうですけど、でも、私たちは正式に婚約しています」
「サインさんが愛しているのは私です! 婚約など関係ありません! ……それに、貴女だって、結婚するなら本当に愛し合っている者同士の方が良いと思われるでしょう?」
これにはさすがに腹が立った。
なぜこんな平然としていられるのだろう。
「だから婚約解消しろ、と?」
若干調子を強めてしまった。
でも後悔してはいない。こんなことを言われて弱々しく頷くなんて、できるわけがないのだから。そもそも私はそんなに大人しい人間ではない。やる時はやる。凛として言い返すことだってある。
「えぇ。そういうことです、構いませんよね」
「勝手に話を進めないでください。そんな話、すぐには受け入れられません」
「コルネリアさん、なぜ分かってくださらないのですか? 私たちは心から愛し合っているのですよ? 貴女と彼はそうではないでしょう。貴女のその位置、私に譲ってください。私の方がその場所に相応しいのです」
彼女は上品そうな雰囲気をまとっている人物だ。容姿、目つき、口調、すべてがお上品。だが、お上品なように振舞っているわりには、普通言いづらそうなことを平然と言ってのける豪快さがある。同性から見れば、彼女が大人しく上品なお嬢様でないことは明らか。
「なぜですか」
「貴女とサインさんの間に……お子さんはいらっしゃらないですよね?」
子どもがいないから別れろ、とでも言いたいのか。
そんなのは勝手だ。勝手過ぎる。私と彼は手続きを済ませて正式に婚約者になっているのに、それをなかったことにしろと言うのか。あり得ない。
「それはそうですけど、でも、私たちは正式に婚約しています」
「サインさんが愛しているのは私です! 婚約など関係ありません! ……それに、貴女だって、結婚するなら本当に愛し合っている者同士の方が良いと思われるでしょう?」
これにはさすがに腹が立った。
なぜこんな平然としていられるのだろう。
「だから婚約解消しろ、と?」
若干調子を強めてしまった。
でも後悔してはいない。こんなことを言われて弱々しく頷くなんて、できるわけがないのだから。そもそも私はそんなに大人しい人間ではない。やる時はやる。凛として言い返すことだってある。
「えぇ。そういうことです、構いませんよね」
「勝手に話を進めないでください。そんな話、すぐには受け入れられません」
「コルネリアさん、なぜ分かってくださらないのですか? 私たちは心から愛し合っているのですよ? 貴女と彼はそうではないでしょう。貴女のその位置、私に譲ってください。私の方がその場所に相応しいのです」
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