3 / 3
3話
しおりを挟む
この日は一旦別れることにした。
このまま話を続けても平行線のままだろう、と考えたからである。
まずはサイン自身にも確認してみなくてはならない。先のことはそれから考えよう。本人にも聞いてみなくては話を進めることはできない。女性の発言が完全に真実かも分からないし。
◆
「……今まで黙っていてごめん」
サインは女性との関係を認めた。
正直なところがある彼だから、この状況で嘘をつくことはできなかったのだろう。
「じゃあ彼女の話は本当なのね?」
「うん」
「彼女の腹に子どもがいるというのも事実なの?」
「……うん、多分」
あぁ、やはりそうだったのか。
サインと私の間には身体の関係はなかった。婚前だから当然とも言えるのだが。ただ、婚前どころか婚約者でもない女性とは身体の関係に発展していたというのは、非常に残念だ。
「残念でならないわ。他の女性とそんな関係になっていたなんて」
彼に対する信頼はすべて崩れ去った。
もう一緒にやっていくことはできない。
「ごめん。本当に。でも、知ってしまったんだ」
「何を?」
「本当の愛っていうものを」
なぜ私に対してそれを言うの? 貴方も私の存在を鬱陶しく思っているの? 私はいない方がいいのか。私という存在は、彼と彼女の関係を邪魔する存在でしかないのか。暗に去れと言っているの? だからそんなことを言えるのだろう、と、思わずにはいられない。
「……私たち、終わりにしましょう」
「うん。ごめん」
◆
私とサインの婚約は破棄された。
婚約破棄の理由は、サインが他の女性と関係を持ったこと。それゆえ、私の評判に傷がつくことはなかった。むしろ逆で、彼の評判に傷がつくことになった。彼は慰謝料を支払うことになる。こうして、手続きは無事済んだ。
婚約者がいるにもかかわらず他の女性と交わったという話が出回ったことで、サインは恥をかくこととなったらしい。もちろん彼の両親も、恥ずかしい思いをすることになっただろう。
それだけでも十分な罰。
だが、それだけで終わる話ではなかったらしくて。
恥ずかしい噂が広がったことによって、サインは、いろんな人たちから批判を受けることとなる。職場でも悪口を言われ嫌われ、冷ややかな視線を向けられることとなったらしい。時には家に石やら何やらが投げ込まれることもあったそうだ。また、家の壁に性的な落書きをされることなども、少なくはなかったようだ。
最終的にサインは親と共に遠い地へ引っ越した。
女性もまた、気の毒な道を辿ることとなったようだ。というのも、心の底から愛し合っているはずだったのに見捨てられてしまったのである。
後に、彼女は腹の中にいた子を出産。けれどもサインは父親であることを認めなかったそうだ。そして彼は逃げるように女性の前から去っていった。サインが誠実な対応をしなかったことにショックを受けた女性は、やがて、赤子を抱いたまま崖から身を投げる。そのまま亡き人となった。
◆終わり◆
このまま話を続けても平行線のままだろう、と考えたからである。
まずはサイン自身にも確認してみなくてはならない。先のことはそれから考えよう。本人にも聞いてみなくては話を進めることはできない。女性の発言が完全に真実かも分からないし。
◆
「……今まで黙っていてごめん」
サインは女性との関係を認めた。
正直なところがある彼だから、この状況で嘘をつくことはできなかったのだろう。
「じゃあ彼女の話は本当なのね?」
「うん」
「彼女の腹に子どもがいるというのも事実なの?」
「……うん、多分」
あぁ、やはりそうだったのか。
サインと私の間には身体の関係はなかった。婚前だから当然とも言えるのだが。ただ、婚前どころか婚約者でもない女性とは身体の関係に発展していたというのは、非常に残念だ。
「残念でならないわ。他の女性とそんな関係になっていたなんて」
彼に対する信頼はすべて崩れ去った。
もう一緒にやっていくことはできない。
「ごめん。本当に。でも、知ってしまったんだ」
「何を?」
「本当の愛っていうものを」
なぜ私に対してそれを言うの? 貴方も私の存在を鬱陶しく思っているの? 私はいない方がいいのか。私という存在は、彼と彼女の関係を邪魔する存在でしかないのか。暗に去れと言っているの? だからそんなことを言えるのだろう、と、思わずにはいられない。
「……私たち、終わりにしましょう」
「うん。ごめん」
◆
私とサインの婚約は破棄された。
婚約破棄の理由は、サインが他の女性と関係を持ったこと。それゆえ、私の評判に傷がつくことはなかった。むしろ逆で、彼の評判に傷がつくことになった。彼は慰謝料を支払うことになる。こうして、手続きは無事済んだ。
婚約者がいるにもかかわらず他の女性と交わったという話が出回ったことで、サインは恥をかくこととなったらしい。もちろん彼の両親も、恥ずかしい思いをすることになっただろう。
それだけでも十分な罰。
だが、それだけで終わる話ではなかったらしくて。
恥ずかしい噂が広がったことによって、サインは、いろんな人たちから批判を受けることとなる。職場でも悪口を言われ嫌われ、冷ややかな視線を向けられることとなったらしい。時には家に石やら何やらが投げ込まれることもあったそうだ。また、家の壁に性的な落書きをされることなども、少なくはなかったようだ。
最終的にサインは親と共に遠い地へ引っ越した。
女性もまた、気の毒な道を辿ることとなったようだ。というのも、心の底から愛し合っているはずだったのに見捨てられてしまったのである。
後に、彼女は腹の中にいた子を出産。けれどもサインは父親であることを認めなかったそうだ。そして彼は逃げるように女性の前から去っていった。サインが誠実な対応をしなかったことにショックを受けた女性は、やがて、赤子を抱いたまま崖から身を投げる。そのまま亡き人となった。
◆終わり◆
1,167
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。
Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。
彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。
そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。
この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。
その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
【完結】お前とは結婚しない!そう言ったあなた。私はいいのですよ。むしろ感謝いたしますわ。
まりぃべる
恋愛
「お前とは結婚しない!オレにはお前みたいな奴は相応しくないからな!」
そう私の婚約者であった、この国の第一王子が言った。
婚約者に心変わりされた私は、悪女が巣食う学園から姿を消す事にします──。
Nao*
恋愛
ある役目を終え、学園に戻ったシルビア。
すると友人から、自分が居ない間に婚約者のライオスが別の女に心変わりしたと教えられる。
その相手は元平民のナナリーで、可愛く可憐な彼女はライオスだけでなく友人の婚約者や他の男達をも虜にして居るらしい。
事情を知ったシルビアはライオスに会いに行くが、やがて婚約破棄を言い渡される。
しかしその後、ナナリーのある驚きの行動を目にして──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
契約婚なのだから契約を守るべきでしたわ、旦那様。
よもぎ
恋愛
白い結婚を三年間。その他いくつかの決まり事。アンネリーナはその条件を呑み、三年を過ごした。そうして結婚が終わるその日になって三年振りに会った戸籍上の夫に離縁を切り出されたアンネリーナは言う。追加の慰謝料を頂きます――
あなたに愛されたいと願う私は愚か者だそうです、婚約者には既に心に決めた人が居ました。
coco
恋愛
「俺に愛されたい?お前は愚かな女だな。」
私の愛の言葉は、そう一蹴された。
何故なら、彼には既に心に決めた人が居たのだから─。
婚約者には既に美しい妻が居た…私を騙そうとした愚か者たちには、天罰が下りました。
coco
恋愛
婚約者には、既に美しい妻が居ました。
真実を知った私は、嘆き悲しみましたが…二人には天罰が下ったようです─。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
不倫相手は少し気の毒ですね。相手がいるとわかってる人と関係を持った以上しかたない部分もありますが。
せめて赤ちゃんは孤児院とかに預けられてたらな。
読んでくださりありがとうございます。m(_ _)m
不倫相手も婚約者も因果応報で良かった。現実ではこの程度で良かった、ですよね。貴族の結婚はもっとシビアだし、名誉を重んじますし。
読んでくださりありがとうございます!
励みになります。m(_ _)m
過去の作品を発見してくださり、ありがとうございます……!m(_ _)m