わたくしが代わりに妻となることにしましたの、と、妹に告げられました

四季

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前編

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「あの殿方は貴女にはもったいない人ですわ! そこでわたくしが代わりに妻となることにしましたの。お姉様はもう去ってよくってよ!」

 ある日突然妹からそんなことを言われた。

 私には婚約者がいたのだが、婚約者はいつの間にか妹と仲良くなっていたらしい。この時まで知らなかったけれど。後に聞いた話によると、婚約者の彼——クラウンは、婚約相手である私より私の妹を気に入ったそうだ。クラウンは、容姿も性格も姉より好ましい、と考えているらしい。

 まったくもって受け入れられない話だ。

 私が彼の婚約者なのに。

 でももはや手遅れだった。婚約して一ヶ月も経たないうちに、彼と妹は親しくなってしまった。燃え上がる二人の関係性を壊すほどの力には私にはなくて。結局、なんだかんだで、私とクラウンの婚約は一旦解消することとなってしまった。

「すまない。でも、妹さんのことは、これから俺の人生をかけて幸せにする。だから許してほしい」
「さようなら! お姉様!」

 私とクラウンの婚約が破棄された日、彼と妹は私にそんなことを言った。

 寄り添いながら別れを告げる二人の姿がどうしても忘れられなくて、私は塞ぎ込むようになってしまった。

 落ち込んでいた時期は何も手につかなかった。
 ことあるごとに悲しくなる。彼が妹を選んだのだから仕方ないと思っているのに、思い返すたびに胸が痛くなってしまう。なぜか自然と涙がこぼれる。

 そんな毎日だった。

 とにかく辛くて仕方がなかった。

 そんな時に出会ったのが、近所の資産家の息子であるナインだった。
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