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中編
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彼は私の事情を理解してもなお親切にしてくれるとても良い人。でも最初は信じられなかった。人間というのは、一度裏切られたと思ったら別の人のことであってもそう簡単に信じることはできないものだ。だから、親切にしてもらっても、なかなか上手く付き合うことができなかった。
ただ、ナインはそれでも、私に親切にすることを続けてくれた。
彼は私のことを馬鹿にはしない。自分からしても自分が残念な状態になっていると分かる。それなのにナインはいつも温かく接してくれて。凍り付いていた心は徐々に融け始めていた。
最中、クラウンと妹が婚約者同士になったことを知る。
だがその時にはもう何も思わなかった。婚約解消直後に抱いていた辛さも小さくなっていて、彼と妹が一緒になるのだと知ってもそれほど辛くは感じなくなっていた。
クラウンがいなくても大丈夫、そう思えたのだ。
すべてナインの力である。
そうして迎えた妹の結婚式。私は参加することができた。正直あまり参加したい気分ではなかったけれど、不参加というのも逃げるようで嫌なので、参加することを決めた。
「来てくださったのねお姉様。ありがとう。華を添えていただき感謝しますわ。……ま、どこまでも地味な華ですけれど」
「おめでとう。幸せになってね」
「っ……! ま、まぁ、そうですわね。言われなくとも幸せになりますわ!」
こうして、クラウンと妹は結ばれた。
正式に夫婦となったのだ。
過去の私のままであったなら、こんな光景を見ることも受け入れることもできなかったかもしれない。けれども、今の私にはそれができた。悔しさも悲しさも、今はもうありはしない。妹を見つめる私の心は静かだった。
ただ、ナインはそれでも、私に親切にすることを続けてくれた。
彼は私のことを馬鹿にはしない。自分からしても自分が残念な状態になっていると分かる。それなのにナインはいつも温かく接してくれて。凍り付いていた心は徐々に融け始めていた。
最中、クラウンと妹が婚約者同士になったことを知る。
だがその時にはもう何も思わなかった。婚約解消直後に抱いていた辛さも小さくなっていて、彼と妹が一緒になるのだと知ってもそれほど辛くは感じなくなっていた。
クラウンがいなくても大丈夫、そう思えたのだ。
すべてナインの力である。
そうして迎えた妹の結婚式。私は参加することができた。正直あまり参加したい気分ではなかったけれど、不参加というのも逃げるようで嫌なので、参加することを決めた。
「来てくださったのねお姉様。ありがとう。華を添えていただき感謝しますわ。……ま、どこまでも地味な華ですけれど」
「おめでとう。幸せになってね」
「っ……! ま、まぁ、そうですわね。言われなくとも幸せになりますわ!」
こうして、クラウンと妹は結ばれた。
正式に夫婦となったのだ。
過去の私のままであったなら、こんな光景を見ることも受け入れることもできなかったかもしれない。けれども、今の私にはそれができた。悔しさも悲しさも、今はもうありはしない。妹を見つめる私の心は静かだった。
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