わたくしが代わりに妻となることにしましたの、と、妹に告げられました

四季

文字の大きさ
2 / 3

中編

しおりを挟む
 彼は私の事情を理解してもなお親切にしてくれるとても良い人。でも最初は信じられなかった。人間というのは、一度裏切られたと思ったら別の人のことであってもそう簡単に信じることはできないものだ。だから、親切にしてもらっても、なかなか上手く付き合うことができなかった。

 ただ、ナインはそれでも、私に親切にすることを続けてくれた。

 彼は私のことを馬鹿にはしない。自分からしても自分が残念な状態になっていると分かる。それなのにナインはいつも温かく接してくれて。凍り付いていた心は徐々に融け始めていた。

 最中、クラウンと妹が婚約者同士になったことを知る。

 だがその時にはもう何も思わなかった。婚約解消直後に抱いていた辛さも小さくなっていて、彼と妹が一緒になるのだと知ってもそれほど辛くは感じなくなっていた。

 クラウンがいなくても大丈夫、そう思えたのだ。

 すべてナインの力である。

 そうして迎えた妹の結婚式。私は参加することができた。正直あまり参加したい気分ではなかったけれど、不参加というのも逃げるようで嫌なので、参加することを決めた。

「来てくださったのねお姉様。ありがとう。華を添えていただき感謝しますわ。……ま、どこまでも地味な華ですけれど」
「おめでとう。幸せになってね」
「っ……! ま、まぁ、そうですわね。言われなくとも幸せになりますわ!」

 こうして、クラウンと妹は結ばれた。

 正式に夫婦となったのだ。

 過去の私のままであったなら、こんな光景を見ることも受け入れることもできなかったかもしれない。けれども、今の私にはそれができた。悔しさも悲しさも、今はもうありはしない。妹を見つめる私の心は静かだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】やっぱり妹を選ぶんですね。残念です。だって妹は貴方よりも……。

みかみかん
恋愛
私の婚約者は妹を選び、婚約を破棄すると宣言した。がしかし、妹は。

元夫をはじめ私から色々なものを奪う妹が牢獄に行ってから一年が経ちましたので、私が今幸せになっている手紙でも送ろうかしら

つちのこうや
恋愛
牢獄の妹に向けた手紙を書いてみる話です。 すきま時間でお読みいただける長さです!

本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。 しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。 そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。 このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。 しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。 妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。 それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。 それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。 彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。 だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。 そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。

妹と婚約者が口づけしているところを目撃してしまう、って……。~これはスルーできませんので終わりにします~

四季
恋愛
妹と婚約者が口づけしているところを目撃してしまう、って……。

【全4話】私の婚約者を欲しいと妹が言ってきた。私は醜いから相応しくないんだそうです

リオール
恋愛
私の婚約者を欲しいと妹が言ってきた。 私は醜いから相応しくないんだそうです。 お姉様は醜いから全て私が貰うわね。 そう言って妹は── ※全4話 あっさりスッキリ短いです

妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。

木山楽斗
恋愛
妹のリオーラは、幼い頃は病弱であった。両親はそんな妹を心配して、いつも甘やかしていた。 それはリオーラが健康体になってからも、続いていた。お医者様の言葉も聞かず、リオーラは病弱であると思い込んでいるのだ。 リオーラは、姉である私のことを侮っていた。 彼女は両親にわがままを言い、犠牲になるのはいつも私だった。妹はいつしか、私を苦しめることに重きを置くようになっていたのだ。 ある時私は、妹のわがままによって舞踏会に無理な日程で参加することになった。 そこで私は、クロード殿下と出会う。彼との出会いは、私の現状を変えていくことになるのだった。

学園にいる間に一人も彼氏ができなかったことを散々バカにされましたが、今ではこの国の王子と溺愛結婚しました。

朱之ユク
恋愛
ネイビー王立学園に入学して三年間の青春を勉強に捧げたスカーレットは学園にいる間に一人も彼氏ができなかった。  そして、そのことを異様にバカにしている相手と同窓会で再開してしまったスカーレットはまたもやさんざん彼氏ができなかったことをいじられてしまう。  だけど、他の生徒は知らないのだ。  スカーレットが次期国王のネイビー皇太子からの寵愛を受けており、とんでもなく溺愛されているという事実に。  真実に気づいて今更謝ってきてももう遅い。スカーレットは美しい王子様と一緒に幸せな人生を送ります。

婚約者を妹に奪われました。気分が悪いので二人を見なくて良い場所へ行って生きようと思います。

四季
恋愛
婚約者を妹に奪われました。気分が悪いので二人を見なくて良い場所へ行って生きようと思います。

処理中です...