わたくしが代わりに妻となることにしましたの、と、妹に告げられました

四季

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後編

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 その日の晩、私はナインからプロポーズを受けた。

 予想より早いプロポーズ。私はすぐには理解できなかった。まさか、と考えてしまって、彼の言葉を素直に受け取ることができなかった。が、彼はそれさえも受け入れてくれて。その優しさに、心はとろけきってしまった。

 私はナインと夫婦になり、落ち着いてはいるが幸せな日常を手に入れた。

 一方で妹はというと、数ヶ月も経たないうちにクラウンとの生活に飽き始めたようだった。クラウンの方も、彼は彼で妹に飽きて、家へ戻らない夜が増えていったらしい。

 後に聞いた話によると、クラウンは結婚から一年も経たないうちに浮気を繰り返し始めたそうだ。それも、そういう店へ行って、というわけではなくて。夜道を歩いては佇む素人女性に声をかける、という手段で、次から次へと女を作ったらしい。もちろん、妻である妹は自宅に放ったままで。

 妹は、私から婚約者を奪ってもなお、幸せにはなれなかったようだ。

 むしろ、クラウンを私から奪ってしまったがために不幸を掴んでしまうこととなったのかもしれない——いや、かもしれない、ではないか。実際そうだろう。彼を奪わなければ、妹はそんな苦しみを体験することはなかったのだから。

 だが、私からすれば、妹が助けてくれたとも捉えられる。

 彼女がクラウンを奪ったからナインと知り合えた。そして、ナインとの穏やかな日々を得ることができた。なんだかんだですべて妹のおかげである。

 そして十年後、クラウンは不治の病にかかった。

 人と人が濃厚に交わることによって感染するとされている治しようのない病によって、彼はその能力を失い、妻との間に子を設けることはできなくなってしまったそうだ。

 妹は、夫を献身的に世話していたらしい。

 ただ、二人がその身をもって愛し合うことは、もう二度となかった。


◆終わり◆
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