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しおりを挟む「ローザネイン! お前は魅力が足りない! よって、婚約は破棄とする!」
婚約者で王子のカルッセからそんなことを宣言されたのはある日の昼下がりだった。
彼に珍しく呼び出されて。
城内の自室から指定された部屋まで移動した。
自室を出てすぐ右に曲がり、狭めの通路を五十歩分くらい進んでまた右へ、そこから八段ほどの階段をのぼって左へ少し歩けば指定の部屋だった。
その部屋の前には一輪の薔薇が花瓶に挿されて置いてあった。
でもその時は、花よりも話が何なのかの方が気になっていたので、薔薇を観賞する余裕はなかった。
で、実際に会ってみたらこれである。
「婚約破棄……?」
「ああそうだ。お前は俺に相応しい魅力あふれる女ではない、よって、婚約は解消することとした。俺は王子だ、だからこそ妥協はしない。俺は俺に相応しい魅力のある女性としか夫婦にはならないのだ」
カルッセは元々言い出したら聞かないところがある。
だから何となく分かる。
もうこうなってしまってはどうしようもないのだと。
「理由はそれだけですか?」
「ああもちろん」
「そうですか……でも良いのですか?」
「何が言いたい」
「我が家からの経済的な援助、うちきりになりますよ?」
そう、王家は今経済的に傾きつつある。そして金のある私の実家が金を出して援助している。だがそれは私と彼が婚約しているからであって、この婚約が解消されることとなってしまえば援助もまたそこでおしまいとなるだろう。
「ふん、脅しのつもりか? だとしたら甘いな。俺はそんなくだらない行為には怯まない。王子だぞ」
「いえ、事実であって脅しではないですけど……」
「同じようなものだろう!」
「そうですか……」
「まぁいい、とにかくお前は消えてくれ!」
「本気なのですね……分かりました。では私は去りますね」
もう彼と共にはいられない。
それは寂しいことだ。
でも彼がそう決めたのならそれは変えられないことだから仕方ない。
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