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1話
しおりを挟む私には生まれつき傍にいる人を幸せにし在る場所を繁栄させるという特殊な力が備わっていた。
そんな事情もあり、フレック王国の王子アダマン・フレックと婚約していた私だったが――。
「貴様、偽りの聖女だそうじゃないか」
アダマンはある日の晩餐会にて突然冷ややかな視線を向けつつ声をかけてきて。
「嘘つき女は嫌いだ。よって! 貴様との婚約、破棄とする!」
見ている人が複数いる場所にて、そんな宣言をした。
良いのだろうか? 彼は、私を失って。いや、まぁ、彼自身はべつに私を想っているわけでもないから問題ないのだろうが。ただ、国はどうなる? 私を置いておきたいと考えていたのは王家であり国だ、それを彼の勝手な決定で叩き壊すなど問題ではないか。その辺りは考えないのだろうか?
「良いのですか? それで。お父様などに相談などはされて――」
「するわけないだろう、子どもじゃないんだから」
「え……」
「俺は俺が決めて道を行く。そこには誰も口出しなどさせない。たとえ実の父だろうと、俺の人生にあれこれ言う権利はないのだ」
アダマンは頑なだった。
「ま、貴様とはこれでおしまいだ。二度と俺の前に現れてくれるなよ。いいな? ……分かったか? 分かったのか!?」
大声で圧をかけられていた、その時――私の後ろからしっとりとした女性の声が聞こえてくる。
「良いところに遭遇したわ」
振り返ればそこには凛とした長い黒髪の女性が立っていた。
「王子アダマン、彼女を捨てるのね?」
女性は艶のある笑みを浮かべつつ確認する。
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