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11話「聞き取り調査の結果」
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アレンティーナには聞き取り調査が行われた。
彼女はただひたすらに自身に罪がないことを主張していたようだ。
……もちろん嘘だが。
ただそれは彼女の十八番。
これまでも彼女は嘘を上手く使って周囲を好きなように動かしてきた。
しかし今回ばかりはさすがにアレンティーナの策は上手くいかなかったようである。
どんなに嘘をついても。
どんなに自分を弁護しても。
もはや手遅れである。
その調査によってアレンティーナのこれまでの悪事が多数判明することとなった。それにより彼女が悪女であることが皆が知ることとなる。
こうしてアレンティーナはすべてを失うこととなった。
「ねえ聞いた? アレンティーナって女の人さ、他人の婚約を壊しただけじゃなくって詐欺までしてたんだってさ。さすがにまずくない? 悪女過ぎじゃない? 怖すぎるって」
「そうですわよねぇ。引きますわ。何人もの人生を壊すだなんて……恐ろしいの極みですわよねぇ」
アレンティーナを知っていた人たちは皆彼女へ冷ややかな視線を向けるようになる。
「男引っ掛けて詐欺とかやべえな」
「アレンティーナというのは恐ろしい女ですな」
「嘘で裁判を起こして金を奪い取ったこともあるそうですよ。さすがに引きますね。金のためになら何でもする女といった感じですね」
もはや彼女にまともな居場所はない。
彼女を信じる者。
彼女を愛おしく思う者。
そんな者はこの世には存在しなくなったのだ。
「前にさぁ、一回声かけられたことあったんだよねぇ。でもあの時無視しておいて良かったぁ。あの時まともに関わってたらあたしも被害に遭ってたかもって思ったらほんと怖ぁい」
「えっ。声かけられたことあったの? うわー、危なかったじゃん。関わってなくて良かったね!」
「ほんとほんとぉ」
「平然と嘘をつく人ってもはや怪物よね」
「まさにそれぇ。そんな人と関わりたい人なんていないってぇ。普通そう思うよねぇ」
「おーもーうー」
これまでは嘘で上手く生きてきた彼女だが、もうその手は使えない。
なぜなら彼女の言葉を信じる人間がいなくなったから。
「恐ろしいお嬢ちゃんがいたものだねぇ、騙しばかり続けてるなんて」
「ほんとそうです……」
「まさに、ですな。怖すぎですぞ。そのような小娘はこの世に要りませんな」
その後アレンティーナは複数の詐欺罪などで逮捕された。
彼女は牢屋へ送られる。
そして罪を償うために一生労働させられる。
もちろん人権などはありはしない。
労働といってもよくある普通の労働とは意味合いがまったくもって異なる。彼女は奴隷のようなもの。彼女が普通に生きられる日は当分来ない。償うためだけに働く、償いのためだけに働き続ける、そういうことを求められるのだ。晴れの日も雨の日も。暑い日も寒い日も。彼女はただひたすらに働き続けなくてはならない。いつか償いがすべて終わる日まで――だが、罪の重さゆえに、そんな日はかなり先までやって来ないと分かりきっているのだから、それはもはや終わりなき道。働き続け、人としては扱われず、それでも文句を言うことは許されない。彼女はこれからそんな道を歩むのだ。
アレンティーナは命こそ落としはしなかったものの社会的には完全終了する形となった。
「本当にありがとうございました」
あの時ラムティクがアレンティーナを止めてくれなかったらどうなっていたか分からない。
きっとこんな良い形では収まっていなかっただろう。
どんな方向に話が進んでいたにしても今よりはややこしいことになってしまっていたはずだ。
「……そして、ご迷惑お掛けしてしまいすみませんでした」
「いえいえ。いいんですよ、気になさらないで。僕としては、マリエさんの力になれたなら嬉しいです」
「もう、本当に、助かりました。あのままだったらどうなっていたことか……想像するだけでも恐ろしいくらいで」
彼女はただひたすらに自身に罪がないことを主張していたようだ。
……もちろん嘘だが。
ただそれは彼女の十八番。
これまでも彼女は嘘を上手く使って周囲を好きなように動かしてきた。
しかし今回ばかりはさすがにアレンティーナの策は上手くいかなかったようである。
どんなに嘘をついても。
どんなに自分を弁護しても。
もはや手遅れである。
その調査によってアレンティーナのこれまでの悪事が多数判明することとなった。それにより彼女が悪女であることが皆が知ることとなる。
こうしてアレンティーナはすべてを失うこととなった。
「ねえ聞いた? アレンティーナって女の人さ、他人の婚約を壊しただけじゃなくって詐欺までしてたんだってさ。さすがにまずくない? 悪女過ぎじゃない? 怖すぎるって」
「そうですわよねぇ。引きますわ。何人もの人生を壊すだなんて……恐ろしいの極みですわよねぇ」
アレンティーナを知っていた人たちは皆彼女へ冷ややかな視線を向けるようになる。
「男引っ掛けて詐欺とかやべえな」
「アレンティーナというのは恐ろしい女ですな」
「嘘で裁判を起こして金を奪い取ったこともあるそうですよ。さすがに引きますね。金のためになら何でもする女といった感じですね」
もはや彼女にまともな居場所はない。
彼女を信じる者。
彼女を愛おしく思う者。
そんな者はこの世には存在しなくなったのだ。
「前にさぁ、一回声かけられたことあったんだよねぇ。でもあの時無視しておいて良かったぁ。あの時まともに関わってたらあたしも被害に遭ってたかもって思ったらほんと怖ぁい」
「えっ。声かけられたことあったの? うわー、危なかったじゃん。関わってなくて良かったね!」
「ほんとほんとぉ」
「平然と嘘をつく人ってもはや怪物よね」
「まさにそれぇ。そんな人と関わりたい人なんていないってぇ。普通そう思うよねぇ」
「おーもーうー」
これまでは嘘で上手く生きてきた彼女だが、もうその手は使えない。
なぜなら彼女の言葉を信じる人間がいなくなったから。
「恐ろしいお嬢ちゃんがいたものだねぇ、騙しばかり続けてるなんて」
「ほんとそうです……」
「まさに、ですな。怖すぎですぞ。そのような小娘はこの世に要りませんな」
その後アレンティーナは複数の詐欺罪などで逮捕された。
彼女は牢屋へ送られる。
そして罪を償うために一生労働させられる。
もちろん人権などはありはしない。
労働といってもよくある普通の労働とは意味合いがまったくもって異なる。彼女は奴隷のようなもの。彼女が普通に生きられる日は当分来ない。償うためだけに働く、償いのためだけに働き続ける、そういうことを求められるのだ。晴れの日も雨の日も。暑い日も寒い日も。彼女はただひたすらに働き続けなくてはならない。いつか償いがすべて終わる日まで――だが、罪の重さゆえに、そんな日はかなり先までやって来ないと分かりきっているのだから、それはもはや終わりなき道。働き続け、人としては扱われず、それでも文句を言うことは許されない。彼女はこれからそんな道を歩むのだ。
アレンティーナは命こそ落としはしなかったものの社会的には完全終了する形となった。
「本当にありがとうございました」
あの時ラムティクがアレンティーナを止めてくれなかったらどうなっていたか分からない。
きっとこんな良い形では収まっていなかっただろう。
どんな方向に話が進んでいたにしても今よりはややこしいことになってしまっていたはずだ。
「……そして、ご迷惑お掛けしてしまいすみませんでした」
「いえいえ。いいんですよ、気になさらないで。僕としては、マリエさんの力になれたなら嬉しいです」
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