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第57話 醜い女の戦い
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リアルの萌えに萌え死にしそうになりながらも耐えるが、ダメ押しの第六の矢が襲いかかる。天才軍師様ことメアリー嬢の一言が僕にトドメを差す!
「アレク様は誰から呼び捨てにされるのかしら? 楽しみだわ~」
「えっ!?」
――この僕に誰もが恐れる究極の選択をしろとでも言うのか? あちらを立てればこちらが立たず、逆にこちらを立てればあちらが立たず。先に呼ばれた者は好感度が高く、逆に最後に呼ばれた者は好感度が低いと判断されてしまう。それは嫉妬や妬み、このままでは醜い争いを引き起こしてしまう。それだけは避けねばならない。この事態どうする?
僕は考えた末に
「僕にとって、ここにいる者をはじめとして、ファンクラブ会員は大切な同士だ。そんな優劣など付けれるはずはない!」
おもいッきり逃げの一択を選択した。
「「「チッ」」」
ある者はこれでもかと僕に聞こえるように、ある者は遠慮しながらも僕に聞こえるように舌打ちをした。
「それで、呼び捨てで呼んでくれないのですか? どうなんですか?」
僕の歴代最高の選択肢を無視するかのようにマリア嬢が問いかけて来る。
――コイツ…… 僕の話を聞いていなかったのかよ。
「僕には誰から呼び捨てにするか決めることが出来ない。それが平等と博愛を愛する僕の政治的判断だ」
僕はありったけのそれらしい言葉を使い抵抗を試みる。
「「「イケメン王子なヘタレ王子」」」
ある者はこれでもかも聞こえるように、ある者は遠慮気味に聞こえるように、僕に暴言を吐いた。
「ここはファンクラブ条約第6章第5条、順番等決める時は公平なジャンケンで決めること。に従い、ジャンケンで決めるのはどうでしょう?」
フローラ嬢は、どうしても僕に呼び捨てをさせたいようだ。
「じゃあ、私達も良いですか?」
モブ女子生徒が声を上げる。
「ええと~ 良いわよ。あなた達も同じ会員なんだから」
「やったぁー!」
モブ女子生徒達が喜んでいるのとは対照的に、許可を出したルナール嬢の心中は『スッこんでろよ! 名前の無いモブが!』と思っているに違いない。
「それじゃ始めるわよ。ジャンケン ポイ」
そして彼女達は僕の事を無視してジャンケンを始めた。 ――平和だなぁ~
総勢9名のジャンケンである。なかなか勝負が決まらず、僕が飽きてきた頃。
「やったぁー! 勝ったぁー! 私が一抜けよ! 早よぉ 早よぉ! 言ってたモンせぇ!」
ジャンケンに勝ったのはモブ女子Aだった。なぜ鹿児島弁なの?
僕はモブ女子Aの目を見つめ、
「エリモーブ」
僕はモブ女子Aに向かって、愛の言葉を囁く。
「推し! キタァァァァァァァァ!!」
『バタン』
モブ女子Aのエリモーブは大絶叫して、ぶっ倒れた。
「「「――!?」」」
「なんと言う破壊力! マジ凄すぎるわ!」
マリア嬢はモブ女子Aのエリモーブのあまりにもぶっ倒れ具合に狂喜乱舞していた。
「早く、早く、ジャンケン始めましょう!」
マリア嬢は目が血走っていた。 ――怖い過ぎる……
『ジャンケン ポン』
総勢8人のジャンケン大会…… なかなか勝負が決まらない。エリモーブは幸せそう顔でぶっ倒れたままになっている。
「きゃぁぁぁぁー!! つ、ついに私の時代が来たわ!」
勝者はモブ女子Bだった。しかも今まで見た時のない満面の笑顔。それとは逆にルナール嬢をはじめとしたヒロインどもの顔が暗く目に生気が無くなって行った。
「アレク様! 早くモブリーナって言って!」
モブ女子Bは僕に強く要請してきた。
「モ、モブリーナ」
「きゃぁぁぁぁー!! 私、幸せ!!」
『バタン』
モブ女子Bことモブーナリは天に召された。
僕は一人だけなら、いざ知らず。さすがに二人連続で失神してしまったことに、ファンクラブのモブとは言えヤツらの存在自体が恐くなってしまった。
「くっそぉー!! 次は負けねぇーぞ!」
マリア嬢は己が勝てないことに憤り、ガラが悪くってしまった。コイツもヌコ様を被っていたのか……
さらに果てしない醜い女の戦いが続く、
「ジャンケン ポン」
人数が減ったせいか、今回は素直に勝敗が決まった…… 今回の勝者は……
予想を覆してモブ女子Cだった。僕の予想では、ここは裏をかいてヒロインの誰かだと思ったが、深読みし過ぎてしまったようだ。
「マジで! 私なの? 私で良いのね?」
モブ女子Cは、天真爛漫に喜んでいた。僕はその姿を見て、己の腹黒さに吐き気がした。ファンクラブの中にもこんな普通で素直な娘がいたんだと感心させられた。良く見るとお茶会の時、僕の心のオアシスになってくれた普通の女子生徒だった。普通がこんなに素晴らしい事なのかと感動してしまうほどのモブ女子Cなのだ。
「ちゃっ ちゃっと言えじゃあ!」
「えっ!?」
モブ女子Cから津軽弁に匹敵すると噂される南部弁が飛び出す。あまりの衝撃に僕は固まってしまった。 ――普通の娘だったのに…… なんで? どうして? 僕のオアシスはどこへ飛んで行った?
「早ぐぅよぉ! 早ぐしゃべぇろってしゃっべぇってるべ! 早ぐぅしろじゃ!」
あまりにも早い口調と難解な南部弁に驚愕し、目が泳いだ状態でモブ女子Cの目を見つめて、
「モ、モブランシーヌ……」
「――!? ドドドドドドッ!! どうやすきゃっあ!」
『クルクル バタン』
モブ女子Cのモブランシーヌはダンサーのようにクルクルと回り出し、ぶっ倒れた!
――何かのかくし芸か何かなの?
「アレク様は誰から呼び捨てにされるのかしら? 楽しみだわ~」
「えっ!?」
――この僕に誰もが恐れる究極の選択をしろとでも言うのか? あちらを立てればこちらが立たず、逆にこちらを立てればあちらが立たず。先に呼ばれた者は好感度が高く、逆に最後に呼ばれた者は好感度が低いと判断されてしまう。それは嫉妬や妬み、このままでは醜い争いを引き起こしてしまう。それだけは避けねばならない。この事態どうする?
僕は考えた末に
「僕にとって、ここにいる者をはじめとして、ファンクラブ会員は大切な同士だ。そんな優劣など付けれるはずはない!」
おもいッきり逃げの一択を選択した。
「「「チッ」」」
ある者はこれでもかと僕に聞こえるように、ある者は遠慮しながらも僕に聞こえるように舌打ちをした。
「それで、呼び捨てで呼んでくれないのですか? どうなんですか?」
僕の歴代最高の選択肢を無視するかのようにマリア嬢が問いかけて来る。
――コイツ…… 僕の話を聞いていなかったのかよ。
「僕には誰から呼び捨てにするか決めることが出来ない。それが平等と博愛を愛する僕の政治的判断だ」
僕はありったけのそれらしい言葉を使い抵抗を試みる。
「「「イケメン王子なヘタレ王子」」」
ある者はこれでもかも聞こえるように、ある者は遠慮気味に聞こえるように、僕に暴言を吐いた。
「ここはファンクラブ条約第6章第5条、順番等決める時は公平なジャンケンで決めること。に従い、ジャンケンで決めるのはどうでしょう?」
フローラ嬢は、どうしても僕に呼び捨てをさせたいようだ。
「じゃあ、私達も良いですか?」
モブ女子生徒が声を上げる。
「ええと~ 良いわよ。あなた達も同じ会員なんだから」
「やったぁー!」
モブ女子生徒達が喜んでいるのとは対照的に、許可を出したルナール嬢の心中は『スッこんでろよ! 名前の無いモブが!』と思っているに違いない。
「それじゃ始めるわよ。ジャンケン ポイ」
そして彼女達は僕の事を無視してジャンケンを始めた。 ――平和だなぁ~
総勢9名のジャンケンである。なかなか勝負が決まらず、僕が飽きてきた頃。
「やったぁー! 勝ったぁー! 私が一抜けよ! 早よぉ 早よぉ! 言ってたモンせぇ!」
ジャンケンに勝ったのはモブ女子Aだった。なぜ鹿児島弁なの?
僕はモブ女子Aの目を見つめ、
「エリモーブ」
僕はモブ女子Aに向かって、愛の言葉を囁く。
「推し! キタァァァァァァァァ!!」
『バタン』
モブ女子Aのエリモーブは大絶叫して、ぶっ倒れた。
「「「――!?」」」
「なんと言う破壊力! マジ凄すぎるわ!」
マリア嬢はモブ女子Aのエリモーブのあまりにもぶっ倒れ具合に狂喜乱舞していた。
「早く、早く、ジャンケン始めましょう!」
マリア嬢は目が血走っていた。 ――怖い過ぎる……
『ジャンケン ポン』
総勢8人のジャンケン大会…… なかなか勝負が決まらない。エリモーブは幸せそう顔でぶっ倒れたままになっている。
「きゃぁぁぁぁー!! つ、ついに私の時代が来たわ!」
勝者はモブ女子Bだった。しかも今まで見た時のない満面の笑顔。それとは逆にルナール嬢をはじめとしたヒロインどもの顔が暗く目に生気が無くなって行った。
「アレク様! 早くモブリーナって言って!」
モブ女子Bは僕に強く要請してきた。
「モ、モブリーナ」
「きゃぁぁぁぁー!! 私、幸せ!!」
『バタン』
モブ女子Bことモブーナリは天に召された。
僕は一人だけなら、いざ知らず。さすがに二人連続で失神してしまったことに、ファンクラブのモブとは言えヤツらの存在自体が恐くなってしまった。
「くっそぉー!! 次は負けねぇーぞ!」
マリア嬢は己が勝てないことに憤り、ガラが悪くってしまった。コイツもヌコ様を被っていたのか……
さらに果てしない醜い女の戦いが続く、
「ジャンケン ポン」
人数が減ったせいか、今回は素直に勝敗が決まった…… 今回の勝者は……
予想を覆してモブ女子Cだった。僕の予想では、ここは裏をかいてヒロインの誰かだと思ったが、深読みし過ぎてしまったようだ。
「マジで! 私なの? 私で良いのね?」
モブ女子Cは、天真爛漫に喜んでいた。僕はその姿を見て、己の腹黒さに吐き気がした。ファンクラブの中にもこんな普通で素直な娘がいたんだと感心させられた。良く見るとお茶会の時、僕の心のオアシスになってくれた普通の女子生徒だった。普通がこんなに素晴らしい事なのかと感動してしまうほどのモブ女子Cなのだ。
「ちゃっ ちゃっと言えじゃあ!」
「えっ!?」
モブ女子Cから津軽弁に匹敵すると噂される南部弁が飛び出す。あまりの衝撃に僕は固まってしまった。 ――普通の娘だったのに…… なんで? どうして? 僕のオアシスはどこへ飛んで行った?
「早ぐぅよぉ! 早ぐしゃべぇろってしゃっべぇってるべ! 早ぐぅしろじゃ!」
あまりにも早い口調と難解な南部弁に驚愕し、目が泳いだ状態でモブ女子Cの目を見つめて、
「モ、モブランシーヌ……」
「――!? ドドドドドドッ!! どうやすきゃっあ!」
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