58 / 148
第58話 最終局面
しおりを挟む
大量殺人現場にでも立ち会っているかのように、三人の屍体が転がっている…… カオス。
順当に残った6人。話しの展開としては、王道ではないかと感じる。それでも醜い女の戦いは続くのである。
敗者の6人は『なぜ勝てぬ、こんなヤツらに自分が負けるはずはないのに! どうしてなんだ!』とでも言いたげな表情を浮かばせながら拳を強く握っている。
「ジャンケン ポイ」
「よっしゃあ!! ウィィィィィ!!」
一発勝負で勝敗が決まった。 勝者は……
ルナール嬢だった。 ――喜び方が公爵令嬢とは思えない品性の欠片もない喜び方だった。それほどルナール嬢は嬉しかったのだろう…… ルナールの意外な一面を見たような気がする。
「アレク様……」
ルナール嬢は目をウルウルさせながら僕の目を見ていた。正直に言えば、今までこんなに経験をしたことがなかっかせいか非常にテレる……
「ル、ル、ルナール……」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーー!! マジでキタァァァァァァァ!!!! ガチで萌えるわ!! 堪らな……」
『バタン』
ルナールは何かを言い切る前に、歓喜と共にぶっ倒れてしまった。
「お、おい しっかりしろ!」
「……………………」
返事がない。屍のようだ……
「もう! どうなってるのよ! なんで勝てないのよ!」
マリア嬢も脳がやられてしまったのか、怒りを露わにした。
「それは、マリアちゃんがギャルビッチだからじゃないの?」
「「「……………………」」」
さ、さすが、空間ごと悉く破壊するデストロイヤーの何気ない一言の破壊力!
「私はギャルビッチじゃない! 男の人と付き合ったこともないし! 私は本当にギャルビッチじゃない! アレク様、貴方だけなの信じて!! 私には貴方しかいないの!」
必要以上に僕にすがり付くマリア嬢。なぜだか不倫バレのうえで離婚され、挙句の果てに再構築希望の為になりふり構わずに元旦那にすがり付く汚嫁を想像してしまった。
――こんなところで修羅場に遭遇してしまうとは……
僕の足元にすがり付くマリア嬢。周りから見ると、どこからどう見ても修羅場にしか見えない。
「わ、わかったから手を離して」
「ホント!?」
マリア嬢は僕の言葉に安堵したのか、絶望に堕ちた顔が明るい表情に変わった。
「ホントに私を信じてくれるのね?」
「し、信じるから手を離して」
「嬉しいわ♡」
ゲスな汚嫁にまんまと騙されて、有耶無耶に再構築を決断した元旦那の気持ちになってしまった…… マリア嬢恐るべし!
「茶番はもう良いかしら? じゃあ、ジャンケンを始めるわよ」
僕達のやり取りを冷やかな目で茶番劇と断罪したメアリー嬢。ヤツが何を考えているかわからん。
「ジャンケン ポイ」
先ほどのジャンケンとは違い、参加者の気合いが入りまくりなのか、なかなか勝負がつかない。
――正直、帰りたい。
「オッシィ!! ヤァーー!!」
変な雄叫びを上げ、勝利宣言をしたのは、フローラ嬢だった。普段とは違う、お姉様も素敵……
「カモォーーン! カァアモォーーン!!」
なんなの? そのノリは……
「フローラァ♡」
僕は愛情のこもったイケメン目とイケメン声で、フローラ嬢を呼び捨てで呼んでみた。 ――!? なんで愛情を込める? まさか魅了の仕業か? ヤベェ…… 危うく魅了に殺られるところだった。
「ファァァァァァん! すごーく良いわ~ 身体がゾクゾクしちゃう♡」
『バタン』
フローラは身体をモジモジさせ悶えながら、コントのように倒れてしまった。これ以上、魅了に殺られてしまったら、もう後戻り出来なくなってしまうところだった。フローラにはこのまま死んでもらおう。
残るは4人となった。ホントに狙ったかのようにヤベェヤツしか残ってネェ。
「さぁ、やるわよ」
気合いの入ったマリア嬢が殺る気に十分のようで、右腕をブンブン振り回した。
「ジャンケン ポイ」
やり直しを5回繰り返し勝負がついた。
「邪神眼世界最強ォォォオ!! 我に敵無し!! 漆黒の魔竜デモンドキル・フューエルの生け贄になるのだ!」
こんなところでヤベェヤツが勝つとは…… コイツだけは呼び捨てにしたくない。僕に残された道は心を殺す事しかないのか……
「クリス(棒読み)」
「うおおおおおお!! 血が滾る!!」
『バタン』
クリスは泡を吹いて、ぶっ倒れてしまった。
悪は滅び、ふたたび世界に平和がおとずれた…… END
大作RPGのエンディングを見ているような感覚に陥ってしまった。そして、あまりの感動で『パチパチ パチパチ』と心の中で拍手を送ってしまった。
残るは3人となった。いよいよ最終局面を向かえる。
「ついに来たわね。この時が」
マリア嬢はメアリー嬢に宣戦布告をする。それに対してメアリー嬢は、
「フフフ、そうね。私にジャンケンで勝とうだなんて100万年早いわよ」
「私はグーで勝つ!」
マリア嬢はメアリー嬢に自らの手の内を明かした。メアリー嬢の動揺を誘い、自滅させる作戦なのだろう。
「じゃあ、私はパーで完璧な勝利を確信しているわ」
メアリー嬢もマリア嬢に負けず煽り返した。マリア嬢を動揺させ、それに生じる疑念によって自滅させようとしていたのだ。二人の駆け引きがどう出るか、目が離せない女の戦いが始まる……
しかし、二人は忘れている。まだ、この世界の最終ウェポンである。静かなるデストロイヤーが残っていることを……
「「ジャンケン ポイ」」
順当に残った6人。話しの展開としては、王道ではないかと感じる。それでも醜い女の戦いは続くのである。
敗者の6人は『なぜ勝てぬ、こんなヤツらに自分が負けるはずはないのに! どうしてなんだ!』とでも言いたげな表情を浮かばせながら拳を強く握っている。
「ジャンケン ポイ」
「よっしゃあ!! ウィィィィィ!!」
一発勝負で勝敗が決まった。 勝者は……
ルナール嬢だった。 ――喜び方が公爵令嬢とは思えない品性の欠片もない喜び方だった。それほどルナール嬢は嬉しかったのだろう…… ルナールの意外な一面を見たような気がする。
「アレク様……」
ルナール嬢は目をウルウルさせながら僕の目を見ていた。正直に言えば、今までこんなに経験をしたことがなかっかせいか非常にテレる……
「ル、ル、ルナール……」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーー!! マジでキタァァァァァァァ!!!! ガチで萌えるわ!! 堪らな……」
『バタン』
ルナールは何かを言い切る前に、歓喜と共にぶっ倒れてしまった。
「お、おい しっかりしろ!」
「……………………」
返事がない。屍のようだ……
「もう! どうなってるのよ! なんで勝てないのよ!」
マリア嬢も脳がやられてしまったのか、怒りを露わにした。
「それは、マリアちゃんがギャルビッチだからじゃないの?」
「「「……………………」」」
さ、さすが、空間ごと悉く破壊するデストロイヤーの何気ない一言の破壊力!
「私はギャルビッチじゃない! 男の人と付き合ったこともないし! 私は本当にギャルビッチじゃない! アレク様、貴方だけなの信じて!! 私には貴方しかいないの!」
必要以上に僕にすがり付くマリア嬢。なぜだか不倫バレのうえで離婚され、挙句の果てに再構築希望の為になりふり構わずに元旦那にすがり付く汚嫁を想像してしまった。
――こんなところで修羅場に遭遇してしまうとは……
僕の足元にすがり付くマリア嬢。周りから見ると、どこからどう見ても修羅場にしか見えない。
「わ、わかったから手を離して」
「ホント!?」
マリア嬢は僕の言葉に安堵したのか、絶望に堕ちた顔が明るい表情に変わった。
「ホントに私を信じてくれるのね?」
「し、信じるから手を離して」
「嬉しいわ♡」
ゲスな汚嫁にまんまと騙されて、有耶無耶に再構築を決断した元旦那の気持ちになってしまった…… マリア嬢恐るべし!
「茶番はもう良いかしら? じゃあ、ジャンケンを始めるわよ」
僕達のやり取りを冷やかな目で茶番劇と断罪したメアリー嬢。ヤツが何を考えているかわからん。
「ジャンケン ポイ」
先ほどのジャンケンとは違い、参加者の気合いが入りまくりなのか、なかなか勝負がつかない。
――正直、帰りたい。
「オッシィ!! ヤァーー!!」
変な雄叫びを上げ、勝利宣言をしたのは、フローラ嬢だった。普段とは違う、お姉様も素敵……
「カモォーーン! カァアモォーーン!!」
なんなの? そのノリは……
「フローラァ♡」
僕は愛情のこもったイケメン目とイケメン声で、フローラ嬢を呼び捨てで呼んでみた。 ――!? なんで愛情を込める? まさか魅了の仕業か? ヤベェ…… 危うく魅了に殺られるところだった。
「ファァァァァァん! すごーく良いわ~ 身体がゾクゾクしちゃう♡」
『バタン』
フローラは身体をモジモジさせ悶えながら、コントのように倒れてしまった。これ以上、魅了に殺られてしまったら、もう後戻り出来なくなってしまうところだった。フローラにはこのまま死んでもらおう。
残るは4人となった。ホントに狙ったかのようにヤベェヤツしか残ってネェ。
「さぁ、やるわよ」
気合いの入ったマリア嬢が殺る気に十分のようで、右腕をブンブン振り回した。
「ジャンケン ポイ」
やり直しを5回繰り返し勝負がついた。
「邪神眼世界最強ォォォオ!! 我に敵無し!! 漆黒の魔竜デモンドキル・フューエルの生け贄になるのだ!」
こんなところでヤベェヤツが勝つとは…… コイツだけは呼び捨てにしたくない。僕に残された道は心を殺す事しかないのか……
「クリス(棒読み)」
「うおおおおおお!! 血が滾る!!」
『バタン』
クリスは泡を吹いて、ぶっ倒れてしまった。
悪は滅び、ふたたび世界に平和がおとずれた…… END
大作RPGのエンディングを見ているような感覚に陥ってしまった。そして、あまりの感動で『パチパチ パチパチ』と心の中で拍手を送ってしまった。
残るは3人となった。いよいよ最終局面を向かえる。
「ついに来たわね。この時が」
マリア嬢はメアリー嬢に宣戦布告をする。それに対してメアリー嬢は、
「フフフ、そうね。私にジャンケンで勝とうだなんて100万年早いわよ」
「私はグーで勝つ!」
マリア嬢はメアリー嬢に自らの手の内を明かした。メアリー嬢の動揺を誘い、自滅させる作戦なのだろう。
「じゃあ、私はパーで完璧な勝利を確信しているわ」
メアリー嬢もマリア嬢に負けず煽り返した。マリア嬢を動揺させ、それに生じる疑念によって自滅させようとしていたのだ。二人の駆け引きがどう出るか、目が離せない女の戦いが始まる……
しかし、二人は忘れている。まだ、この世界の最終ウェポンである。静かなるデストロイヤーが残っていることを……
「「ジャンケン ポイ」」
13
あなたにおすすめの小説
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!
MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!
笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる