91 / 148
第91話 宣戦布告
しおりを挟む
真剣な顔で僕を見つめる父上から
「アレク来たか。重要な話がある」
「はい……」
僕が何事かと返事をすると、父上は
「おい、話せ」
父上は知らない顔の男性に命令をした。
「ハッ!」
その男性は短く返事を返し、
「我が諜報部からの情報で、ケーリンネガー王国とグランプロス帝国の軍勢が、フロンガスター王国へ向けての準備が活発なっているとの報告が入って参りました。近いうちに、フロンガスター王国への進攻が始まると推測されます」
「――ついに来たか……」
フロンガスター王国対ケーリンネガー王国、グランプロス帝国連合軍の戦いが幕を開けようとしていた。
「アレク。戻って来て早々悪いが、国境の警備を厳重にしろ」
父上の一言で、その場の緊張が高る。
「ハッ! これより国境警備の任に行って参ります」
僕はそう言って、臣下の礼をとり国境へと向かった。
◇
僕が国境沿いにあるラニバーレ平原に赴いたのは一週間ほど経っての事だった。ラニバーレ平原はケーリンネガー王国との交通の要所であり、陣形を展開させるのも容易な場所でもあった。
そして、ここラニバーレ平原が僕らフロンガスター軍が最初の決戦場所として定めた場所なのだ。
グランプロス帝国国境沿いには作戦立案者でもあるギョシン騎士師団長とウィザード魔法師団長に指揮を任せるつもりだ。彼らなら作戦を必ず遂行してくれると信じている。
ケーリンネガー王国攻略軍約25000名を指揮するのは総司令官兼、第1軍司令官アレク・ガルラ・フラスター。つまり僕である。副司令官には父上からの信頼が厚い、カルイ・チャラ・オーダ陸軍大将軍が僕の補佐をしてくれる事になった。一見、DQNチャラ男オヤジに見えるが、中身は誠実な紳士として、そのギャップに軍人問わず市民からも絶大な人気を博している。彼なら戦場の機微な匂いもかぎ分け、正しい判断をしてくれると思う。
一方、グランプロス帝国攻略軍約40000名は第2軍として布陣している。第2軍司令官はギョシン騎士師団長、副司令官にはウィザード魔法師団長が務める。正直に言えば、第2軍の方が主力と言っても過言ではない。
第1軍はあくまでも専守防衛が基本方針であり、ケーリンネガー軍の戦力を削る事が目的なのだ。
ケーリンネガー軍にとって、ラニバーレ平原は地獄になるとも知らず、この地にやって来るだろう。野戦だと思って戦っていたら、実は攻城戦でしたというのが、この作戦のオチなのだ。 ――クックククク…… ついつい笑いが込み上げてくる。
第1軍は陣地構築に取り掛かった。陣地構築と言っても、馬防柵を第1防衛ライン陣地設置し、その第1防衛ライン陣地から後方50ⅿには、第2防衛ライン陣地を、その50ⅿ後方には、第3防衛ライン陣地を、その後方には、第4防衛ライン陣地、第5防衛ライン陣地が続く。あとは、申し訳ない程度であるが、ケーリンネガー軍にちょっとした嫌がらせをする為にトラップも仕掛けて置いた。そして、遥か後方には治療院と宿舎など兵士が快適に過ごせる施設などの建設を始めた。
「アレク様、ついに陣地が出来上がりましたね」
陣地視察に一緒に出掛けていた。カルイ副司令官が呟いた。
「カルイ将軍もお疲れ様。魔法のお陰で早く陣をが出来上がって良かったよ。もし魔法が無かったら、もっと遅くなって開戦に間に合わなくなるところだったよ」
「しかし、アレク様から作戦を聞いた時には驚きましたぞ。野戦で攻城戦をやると言うのは。今まで聞いたことが無いですからね」
「そうだろうね。ケーリンネガー軍のヤツらには泣きを見てもらうつもりだよ」
僕はドヤ顔で答える。実際には織田信長の長篠の戦いを参考にさせてもらった。もらったというよりはそのままパクった感じだ。
「しかし、この陣地。実に悪意まみれの外道陣地ですな。心の底から考案した者の狂気を感じますぞ」
カルイ副司令官は気持ちの良くなるくらい、僕を絶賛してくれた。
――ありがとう。カルイ副司令官!
◇
「司令官! 陛下より伝令が届いております。大至急本部までお戻り下さい」
伝令係の兵士が、父上からの伝令が届いた事を告げた。急ぎ本部に戻り、伝書を開いてみた。そこには、
『ケーリンネガー王国、グランプロス帝国の両国はフロンガスター王国に対して宣戦布告をする』
と書かれてあった。
「アレク来たか。重要な話がある」
「はい……」
僕が何事かと返事をすると、父上は
「おい、話せ」
父上は知らない顔の男性に命令をした。
「ハッ!」
その男性は短く返事を返し、
「我が諜報部からの情報で、ケーリンネガー王国とグランプロス帝国の軍勢が、フロンガスター王国へ向けての準備が活発なっているとの報告が入って参りました。近いうちに、フロンガスター王国への進攻が始まると推測されます」
「――ついに来たか……」
フロンガスター王国対ケーリンネガー王国、グランプロス帝国連合軍の戦いが幕を開けようとしていた。
「アレク。戻って来て早々悪いが、国境の警備を厳重にしろ」
父上の一言で、その場の緊張が高る。
「ハッ! これより国境警備の任に行って参ります」
僕はそう言って、臣下の礼をとり国境へと向かった。
◇
僕が国境沿いにあるラニバーレ平原に赴いたのは一週間ほど経っての事だった。ラニバーレ平原はケーリンネガー王国との交通の要所であり、陣形を展開させるのも容易な場所でもあった。
そして、ここラニバーレ平原が僕らフロンガスター軍が最初の決戦場所として定めた場所なのだ。
グランプロス帝国国境沿いには作戦立案者でもあるギョシン騎士師団長とウィザード魔法師団長に指揮を任せるつもりだ。彼らなら作戦を必ず遂行してくれると信じている。
ケーリンネガー王国攻略軍約25000名を指揮するのは総司令官兼、第1軍司令官アレク・ガルラ・フラスター。つまり僕である。副司令官には父上からの信頼が厚い、カルイ・チャラ・オーダ陸軍大将軍が僕の補佐をしてくれる事になった。一見、DQNチャラ男オヤジに見えるが、中身は誠実な紳士として、そのギャップに軍人問わず市民からも絶大な人気を博している。彼なら戦場の機微な匂いもかぎ分け、正しい判断をしてくれると思う。
一方、グランプロス帝国攻略軍約40000名は第2軍として布陣している。第2軍司令官はギョシン騎士師団長、副司令官にはウィザード魔法師団長が務める。正直に言えば、第2軍の方が主力と言っても過言ではない。
第1軍はあくまでも専守防衛が基本方針であり、ケーリンネガー軍の戦力を削る事が目的なのだ。
ケーリンネガー軍にとって、ラニバーレ平原は地獄になるとも知らず、この地にやって来るだろう。野戦だと思って戦っていたら、実は攻城戦でしたというのが、この作戦のオチなのだ。 ――クックククク…… ついつい笑いが込み上げてくる。
第1軍は陣地構築に取り掛かった。陣地構築と言っても、馬防柵を第1防衛ライン陣地設置し、その第1防衛ライン陣地から後方50ⅿには、第2防衛ライン陣地を、その50ⅿ後方には、第3防衛ライン陣地を、その後方には、第4防衛ライン陣地、第5防衛ライン陣地が続く。あとは、申し訳ない程度であるが、ケーリンネガー軍にちょっとした嫌がらせをする為にトラップも仕掛けて置いた。そして、遥か後方には治療院と宿舎など兵士が快適に過ごせる施設などの建設を始めた。
「アレク様、ついに陣地が出来上がりましたね」
陣地視察に一緒に出掛けていた。カルイ副司令官が呟いた。
「カルイ将軍もお疲れ様。魔法のお陰で早く陣をが出来上がって良かったよ。もし魔法が無かったら、もっと遅くなって開戦に間に合わなくなるところだったよ」
「しかし、アレク様から作戦を聞いた時には驚きましたぞ。野戦で攻城戦をやると言うのは。今まで聞いたことが無いですからね」
「そうだろうね。ケーリンネガー軍のヤツらには泣きを見てもらうつもりだよ」
僕はドヤ顔で答える。実際には織田信長の長篠の戦いを参考にさせてもらった。もらったというよりはそのままパクった感じだ。
「しかし、この陣地。実に悪意まみれの外道陣地ですな。心の底から考案した者の狂気を感じますぞ」
カルイ副司令官は気持ちの良くなるくらい、僕を絶賛してくれた。
――ありがとう。カルイ副司令官!
◇
「司令官! 陛下より伝令が届いております。大至急本部までお戻り下さい」
伝令係の兵士が、父上からの伝令が届いた事を告げた。急ぎ本部に戻り、伝書を開いてみた。そこには、
『ケーリンネガー王国、グランプロス帝国の両国はフロンガスター王国に対して宣戦布告をする』
と書かれてあった。
10
あなたにおすすめの小説
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!
MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!
笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる