ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

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第96話 壊滅的損害

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敵兵が我が陣地まで距離が約70mまで近付いていた。

「司令官! 距離約70mです。発砲許可を!」

参謀が叫ぶ! 

「いや、まだだ。もう少し引き付けてからだ!」

「距離65…… 60…… 55…… 距離50!!」

緊張感が漂う中、敵兵が50m先まで近付いた。  

「ヨシ! 射撃始め! 射てーー!! 」

僕の射撃命令と同時に、

『パンッ パンッ パンッ パンッ』

スナイドル銃が一斉に銃声と共に火を吹いた。馬防柵一面に白煙が広がる。

「ウッ! バタッ」
「ギャーー! バタッ」
「ウワーー! バタッ」
「なんじゃこりゃ! バタッ」

絶え間なく続く、スナイドル銃の銃声が鳴り響く。

敵軍は味方の死骸を乗り越え、一歩一歩前進してくる。ヤツらには死の恐怖というものが無いのだろうか?

確実に敵数は減らしているが、それでも兵数の差は如何ともし難い。

次々と撃ち込まれるスナイドル銃に敵兵も阿鼻叫喚だろう。戦場を知らないヤツが僕の目の前で広がる地獄の光景を見たら誰しもが絶句するだろう。

しかし、本当の地獄たたかいはこれからだ! 

『完』






漫画であれば、ここで打ち切り案件だろうが、現実はそんなに甘くない……

「前方の敵! 50m切りました!」

参謀の声に僕は我に返り、次の命令を出す。

「ガトリング砲! 射撃始めーー!」

『ダダダダダダダダダダダダダダッ!!』
『パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!』

ガトリング砲の不気味な連射音が鳴り響く、それに加えてスナイドル銃もブチ撃ち込む。

僕は次々と薙ぎ倒されて行く敵兵をただ黙って見ていることしか出来なかった。

敵兵は味方の死骸を越えて一歩づつ確実に迫って来る。敵兵に本物の狂気を感じる。第1軍もまた狂っている…… そして、僕も……

狂《くる》ってなきゃ、こんな戦い方なんてやっていられない。そして、重装備歩兵隊に対して最後の命令を下す。

「第1防衛ライン陣地全兵に告げる。重装備歩兵隊を殲滅せよ!」





おびただしい弾幕の中、敵軍は静かにその姿を消して行った。

その場に立っているものは誰一人もいない。そこにあるものは、我が軍に薙ぎ払われた敵軍の戦死傷者が転がっていた。

多大な犠牲者を出し、ケーリンネガー王国は攻撃を中止した。

ケーリンネガー軍の戦死傷者は約1万人を出し、我が第1軍は戦死傷者は0人だった。しかし、第1軍の意外な犠牲者は出ていた。さすがに一方的な凄惨すぎる大虐殺だったせいか、狂戦士《バーサーカー》であっても精神的に病んでしまった兵士が続出してしまった。こればかりはしょうがない…… 敵軍は状況を妥結することが出来なかったが、もしかしたら味方を捨て石にして、我が軍に恐怖トラウマを植え付けるのが目的なら作戦は十分に成功だったと言わざるを得ない。

「アレク様、いやぁ~大勝利でしたなぁ」

カルイ副司令官が上機嫌で僕に話しかけてきた。

「そうだね。まさか一方的な戦いになるとは思わなかったよ」

「そうですな。敵さんもしばらくは大人しくするでしょうな」

「ああ、あれだけの損害だ。兵の増援、部隊編成で大慌てしてるんじゃないかな」

「そのままケーリンネガーへ帰ってくれたら助かるんですけどね」

「全くだよ」

僕とカルイ副司令官は淡い期待をしていた。

「カルイ副司令。敵軍が奇策を考えてるかも知れないから偵察、監視だけは抜かりなくしておくように厳命しておいてくれ。アイツらに裏でもかかれでもしたら、目も当てられないからな」

「ハッ! 了解しました」

カルイ副司令官はそう言って、その場を離れて行った。

しかし、この惨状…… 誰が予想してただろうか。テレビとかゲームなら、『ああ、そうか』と他人事のように考えていただろう。実際に目の前で起こるとあまりの残虐な血の海地獄に吐き気がしてしまう。

こうして、ラニバーレ平原の戦い第1日目が終わった。


――翌日


「司令官! 起きて下さい!」

参謀が僕の休んでいるテントに慌てた様子で入ってきた。本来なら後方の宿舎で休むのだが、開戦直後ということもあり、最前線で兵士と共にテントを設置して休んでいた。

「んっ!? どうしたんだ? そんなに慌てて」

僕が聞き直すと、参謀は

「敵です! 敵がまたこちらに向かって動き出しました!」

「ハァ~ 昨日あれだけの損害を出したのに? またやって来たの?」

「信じられませんがそのようです。何か対策でも思い付いたのでしょうか?」

突然現れた。カルイ副司令官はドン引きした顔で僕にそう告げた……
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