121 / 148
第121話 メアリー・アン・ジェーンスター伯爵令嬢
しおりを挟む
ノリノリの話し合いが終わり、ヒロイン達は部屋から出て行った。日本に戻るのはルナール、マリア、フローラ、ミレーユの4人。クリスは日本には帰らない。メアリーは保留。何故メアリーが保留をしているのかわからないが、まだ時間はたっぷりとあるから自分自身でより良い決断をして欲しいと思う。
実は僕も日本に帰りたいと思った時期があった。しかし、この究極魔法は幾つかの工程がある。まずは身体と魂を分離させる。そして、バスの事故が起こる前に戻すには時間逆行魔法と同時に異世界召喚召還の究極魔法を使わなければならない。僕自身に使ってみようかと思ったが、身体と魂を切り離したと同時に僕は霊魂だけの存在になってしまう。霊魂のままだと時間逆行魔法と異世界召喚召還の詠唱を唱えたくても唱える事が出来ない。これが、僕には使えない究極魔法の理由なのだ。
『コン コン』
急にノックの音が聞こえた。サンペータ達だろうか?
「はい、開いてるから入って良いよ」
僕はサンペータ達だと思い、フランクに返事をした。
『ガチャ』
「アレク、ごめんなさい」
部屋に入って来たのはメアリーだった。
「あれ、どうしたのメアリー?」
「アレクにお礼を言いたくて」
「お礼?」
一瞬、メアリーの一言に先程のおふざけのお礼参りで、肉体的、精神的の両方をボコボコにされるのではと身構えた。
「アレクありがとう。さっきはわざと営業マン役になって、みんなが怖がらないようにしてくれたんでしょ?」
「――!? 何の事かな?」
「ルナール達は日本に帰ると決めたでしょ。アレクの話だともう一度、死ななきゃいけないみたいじゃない。もう一度、あの体験してしまうと思うと、どうしても躊躇してしまうものなのよね」
「確かにそうだね」
僕は惚けた顔で答える。
「それに、あなただって本当は日本に戻りたいんじゃないの?」
「僕が日本に? 僕は転生者じゃないから日本に帰りたくないよ」
「アレク…… あなた、それで誤魔化しているつもりなの? 元JKだからって馬鹿にしないで」
メアリーは怒った顔をして僕を睨んでいた。
「逆に、どうしてメアリーは僕を転生者だと決めつけるんだ?」
「見てたらわかるわよ」
メアリーは僕の質問にドヤ顔で答えやがった。
「えっ!? どこが?」
「まずは、バーベキューコンロね。あれはどこからどう見ても日本の物じゃない。あと焼肉とゲンタレもね。そもそもスタミ○源たれなんて日本にしか無いでしょ! しかもローカル品。私も好きで、よく食べてたから知ってるわよ。それに最後に確信したのは『きっとくる~♪ きっとくる~♪』のフレーズよ。呪いのビデオ、サダーコォで有名なジャパニーズホラーの主題歌じゃない」
「な、ないっ⁉」
――!? 不覚だった…… 何でメアリーがスタ○ナ源たれを知っているんだ! 源たれは地域密着型の焼肉のたれなんだぞ! ついついテレビから出てきてしまうオチャメさんなサダーコォまで…… 何でお前が知っているんだぁぁー!
「そ、それは…… 偶然にそうなっただけで……」
「ウソね。あなた日本に帰りたくないよって言ったじゃない。日本を知らなかったら帰りたくない。とか言わないでしょ」
「――!?」
――忘れていた…… コイツ、天才軍師だったことを忘れていた…… 僕はヤツの謀略にまんまと引っ掛かってしまっていたのか。なんかズルい。
「ジャージだってそうだし、天使の羽根なんて発想はコテコテの日本人じゃない。大人しく認めたら? 元日本人のアレク様」
「……………………」
「そんなに転生者だって認めたくないの?」
メアリーは姑息にも上目遣いで僕を見つめていた。
「――わかったよ。認めるよ。君の言う通り、僕は日本人でキミたちと同じようにバスの事故でプリストの世界に転生したんだ」
ここまで証拠を揃えられたら白状するしかなかった。
「やっぱりそうだったんだ……」
「みんなには内緒にしておいてくれ。彼女たちの推しの存在が、実は彼女たちと同じ転生者でしたじゃ可哀想だから……」
「そうね。あなたの事は今まで通り誰にも言わないわ」
「ありがとう」
僕はメアリーに頭を下げた。
「それでアレクはどうして日本に戻らないの? 前世で嫌なことでもあったの?」
「そんな事なかったよ。僕の場合、帰りたくても帰れないんだよ」
「どうして?」
メアリーは不思議そうな眼差しで僕を見る。
「究極魔法が意外と厄介でね。身体と魂を切り離すのに詠唱を唱えなきゃいけない。ここまでは良いんだ。魂だけになったら、転生召喚召還と時間逆行魔法の詠唱が唱えられないんだ。だからどうしても帰れないんだよ。それに……」
「……………………」
メアリーは僕の話を聞いて黙り込んでしまった。
実は僕も日本に帰りたいと思った時期があった。しかし、この究極魔法は幾つかの工程がある。まずは身体と魂を分離させる。そして、バスの事故が起こる前に戻すには時間逆行魔法と同時に異世界召喚召還の究極魔法を使わなければならない。僕自身に使ってみようかと思ったが、身体と魂を切り離したと同時に僕は霊魂だけの存在になってしまう。霊魂のままだと時間逆行魔法と異世界召喚召還の詠唱を唱えたくても唱える事が出来ない。これが、僕には使えない究極魔法の理由なのだ。
『コン コン』
急にノックの音が聞こえた。サンペータ達だろうか?
「はい、開いてるから入って良いよ」
僕はサンペータ達だと思い、フランクに返事をした。
『ガチャ』
「アレク、ごめんなさい」
部屋に入って来たのはメアリーだった。
「あれ、どうしたのメアリー?」
「アレクにお礼を言いたくて」
「お礼?」
一瞬、メアリーの一言に先程のおふざけのお礼参りで、肉体的、精神的の両方をボコボコにされるのではと身構えた。
「アレクありがとう。さっきはわざと営業マン役になって、みんなが怖がらないようにしてくれたんでしょ?」
「――!? 何の事かな?」
「ルナール達は日本に帰ると決めたでしょ。アレクの話だともう一度、死ななきゃいけないみたいじゃない。もう一度、あの体験してしまうと思うと、どうしても躊躇してしまうものなのよね」
「確かにそうだね」
僕は惚けた顔で答える。
「それに、あなただって本当は日本に戻りたいんじゃないの?」
「僕が日本に? 僕は転生者じゃないから日本に帰りたくないよ」
「アレク…… あなた、それで誤魔化しているつもりなの? 元JKだからって馬鹿にしないで」
メアリーは怒った顔をして僕を睨んでいた。
「逆に、どうしてメアリーは僕を転生者だと決めつけるんだ?」
「見てたらわかるわよ」
メアリーは僕の質問にドヤ顔で答えやがった。
「えっ!? どこが?」
「まずは、バーベキューコンロね。あれはどこからどう見ても日本の物じゃない。あと焼肉とゲンタレもね。そもそもスタミ○源たれなんて日本にしか無いでしょ! しかもローカル品。私も好きで、よく食べてたから知ってるわよ。それに最後に確信したのは『きっとくる~♪ きっとくる~♪』のフレーズよ。呪いのビデオ、サダーコォで有名なジャパニーズホラーの主題歌じゃない」
「な、ないっ⁉」
――!? 不覚だった…… 何でメアリーがスタ○ナ源たれを知っているんだ! 源たれは地域密着型の焼肉のたれなんだぞ! ついついテレビから出てきてしまうオチャメさんなサダーコォまで…… 何でお前が知っているんだぁぁー!
「そ、それは…… 偶然にそうなっただけで……」
「ウソね。あなた日本に帰りたくないよって言ったじゃない。日本を知らなかったら帰りたくない。とか言わないでしょ」
「――!?」
――忘れていた…… コイツ、天才軍師だったことを忘れていた…… 僕はヤツの謀略にまんまと引っ掛かってしまっていたのか。なんかズルい。
「ジャージだってそうだし、天使の羽根なんて発想はコテコテの日本人じゃない。大人しく認めたら? 元日本人のアレク様」
「……………………」
「そんなに転生者だって認めたくないの?」
メアリーは姑息にも上目遣いで僕を見つめていた。
「――わかったよ。認めるよ。君の言う通り、僕は日本人でキミたちと同じようにバスの事故でプリストの世界に転生したんだ」
ここまで証拠を揃えられたら白状するしかなかった。
「やっぱりそうだったんだ……」
「みんなには内緒にしておいてくれ。彼女たちの推しの存在が、実は彼女たちと同じ転生者でしたじゃ可哀想だから……」
「そうね。あなたの事は今まで通り誰にも言わないわ」
「ありがとう」
僕はメアリーに頭を下げた。
「それでアレクはどうして日本に戻らないの? 前世で嫌なことでもあったの?」
「そんな事なかったよ。僕の場合、帰りたくても帰れないんだよ」
「どうして?」
メアリーは不思議そうな眼差しで僕を見る。
「究極魔法が意外と厄介でね。身体と魂を切り離すのに詠唱を唱えなきゃいけない。ここまでは良いんだ。魂だけになったら、転生召喚召還と時間逆行魔法の詠唱が唱えられないんだ。だからどうしても帰れないんだよ。それに……」
「……………………」
メアリーは僕の話を聞いて黙り込んでしまった。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!
MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!
笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる