122 / 148
第122話 メアリーの前世
しおりを挟む
黙り込んでしまったメアリーに僕は話を続けた。
「それに…… 僕の親友だったグランプロス帝国皇太子のアイスキーとユリアラに約束をしたんだ。彼らの分も、この世界で幸せになってやるって。それが親友をこの手で殺めてしまったアイスキーとその後を追ったユリアラ達への僕の贖罪…… そして、この世界に残された僕の覚悟だ。それと僕が生きて幸せになることが生きることに執着しなかった二人への『ざまぁ』でもあるんだ」
僕はそう言って自分の手を見た。僕の手は穢れてしまったけれど、彼らの分まで生きて生き抜いて幸せになるんだ。それだけが唯一、僕に出来る二人への贖罪だから……
「……………………」
黙り込んでいたメアリーが突然、
「私、決めたわ。私もこっちの世界に残るわ。そして、あなたが幸せになる手伝いをしてあげる!」
メアリーはプリストの世界に残り、僕の幸せの手伝いをするとかトチ狂ったことを言い出した。
「ハァ!? なんでそうなるんだ! 折角、日本に帰れるチャンスじゃないか!」
「私ね…… 両親が居ないのよ。小さい頃に両親が失踪しちゃって、ずっと母方の祖母に育ててもらったの。その祖母も二年前の私が高1の時に亡くなって天涯孤独ってやつかな。親戚付き合いもほとんど無かったから、私が日本に居なくても誰も悲しむ人はいないわ。こっちの世界には両親と弟も居るし、クリスだっているから寂しくはないわ。ルナールとマリアに別れるのは辛いけど…… あと、フローラとミレーユにサヨナラを言うのも辛いわね」
「――そうか…… 分かったよ。とりあえず、まだ考える時間はたっぷりとあるから、色々と考えてから決断をした方がいいよ」
――メアリーはメアリーで色々と経験して来たんだな。ここは彼女の意思を尊重してあげよう。これ以上話し込むと毒舌の精霊が目覚めてしまうかもしれないし。
「じゃあ、私の話はおしまい。本当にアレク。今日はみんなのためにありがとうね」
メアリーはそう言って、手をヒラヒラさせながら部屋を出て行った。
◇
後日、ヒロインたちから最終的な答えではないが、今の考えを聞いてみた。
ルナール、マリア、フローラ、ミレーユは日本に帰るとのことだった。
クリスについては、卒業後はクリスの両親であるチャンスキー男爵家とは離れ、僕の妹分として王宮で生活しながら魔法研究所で研究者として働いてもらうのはどうだろうかと提案させてもらった。
クリスも僕の提案に乗ってくれ。後日、チャンスキー男爵夫妻を父上と母上の名において王宮に呼び出した。
チャンスキー男爵夫妻はごちゃごちゃと言っていたが、父である国王陛下が強引に黙らせた。父上がというよりは母上の方がクリスの現状に同情し、率先して正義の暴力で、チャンスキー男爵夫妻を黙らせた。
メアリーもこちらの世界に残ることをルナールとマリアに告げると、必死になりメアリーを止めようとしたがメアリーの決意は変わらなかった。
◇
そして…… 卒業式を間近に迎えた。
その頃になると僕の髪も銀髪から金髪に戻り、究極魔法をいつでも使えるようになった。ヒロインたちとは何度かの打ち合わせを済ませ、いつでもヒロイン達を日本に送り出す準備も整った。
ルナール達にはXデーまでは、このプリストの世界で今まで育ててくれた家族へ残された時間を大事にして欲しいとお願いをした。
◇
みんなとの話し合いで、Xデーは卒業式から一週間後の深夜に決定し、各自の自宅に向け、遠隔操作で究極魔法を使うことになった。
あと、ヒロインたちからの強い要望で、ヒロインたちと僕だけでお茶会を開くことになった。
そのお茶会こそが最終打ち合わせとなる。彼女たちにとって最後の晩餐と言ったところだろうか。
お茶会の会場はシンシアヌ高原が良いとのことで、みんなの意見が一致した。景色も良く、落ち着いた時間を過ごせると言う理由からだった。
移動手段については前回は徒歩だったが、今回は特製の馬車を準備させてもらった。
僕の自信作として華々しくデビューをする特製馬車は、揺れや振動を軽減するためにタイヤは木製の車輪にゴムを厚目に巻き付ける。わかりやしく説明するならば、超高級な自転車のタイヤだと思ってもらえたら良いだろう。
そして、プリストの世界で特許申請でもしようかと思うほどの新技術『インディペンデント・サスペンション』である。
インディペンデント・サスペンションとは、左右の車輪が別々なシャシー取り付けられているので、片方のタイヤに衝撃があっても、もう片方には伝わらない。まさに揺れや振動を抑え、快適空間をお約束する一品なのだ。
さらに、もう1つ秘密が隠されているのだ。
「それに…… 僕の親友だったグランプロス帝国皇太子のアイスキーとユリアラに約束をしたんだ。彼らの分も、この世界で幸せになってやるって。それが親友をこの手で殺めてしまったアイスキーとその後を追ったユリアラ達への僕の贖罪…… そして、この世界に残された僕の覚悟だ。それと僕が生きて幸せになることが生きることに執着しなかった二人への『ざまぁ』でもあるんだ」
僕はそう言って自分の手を見た。僕の手は穢れてしまったけれど、彼らの分まで生きて生き抜いて幸せになるんだ。それだけが唯一、僕に出来る二人への贖罪だから……
「……………………」
黙り込んでいたメアリーが突然、
「私、決めたわ。私もこっちの世界に残るわ。そして、あなたが幸せになる手伝いをしてあげる!」
メアリーはプリストの世界に残り、僕の幸せの手伝いをするとかトチ狂ったことを言い出した。
「ハァ!? なんでそうなるんだ! 折角、日本に帰れるチャンスじゃないか!」
「私ね…… 両親が居ないのよ。小さい頃に両親が失踪しちゃって、ずっと母方の祖母に育ててもらったの。その祖母も二年前の私が高1の時に亡くなって天涯孤独ってやつかな。親戚付き合いもほとんど無かったから、私が日本に居なくても誰も悲しむ人はいないわ。こっちの世界には両親と弟も居るし、クリスだっているから寂しくはないわ。ルナールとマリアに別れるのは辛いけど…… あと、フローラとミレーユにサヨナラを言うのも辛いわね」
「――そうか…… 分かったよ。とりあえず、まだ考える時間はたっぷりとあるから、色々と考えてから決断をした方がいいよ」
――メアリーはメアリーで色々と経験して来たんだな。ここは彼女の意思を尊重してあげよう。これ以上話し込むと毒舌の精霊が目覚めてしまうかもしれないし。
「じゃあ、私の話はおしまい。本当にアレク。今日はみんなのためにありがとうね」
メアリーはそう言って、手をヒラヒラさせながら部屋を出て行った。
◇
後日、ヒロインたちから最終的な答えではないが、今の考えを聞いてみた。
ルナール、マリア、フローラ、ミレーユは日本に帰るとのことだった。
クリスについては、卒業後はクリスの両親であるチャンスキー男爵家とは離れ、僕の妹分として王宮で生活しながら魔法研究所で研究者として働いてもらうのはどうだろうかと提案させてもらった。
クリスも僕の提案に乗ってくれ。後日、チャンスキー男爵夫妻を父上と母上の名において王宮に呼び出した。
チャンスキー男爵夫妻はごちゃごちゃと言っていたが、父である国王陛下が強引に黙らせた。父上がというよりは母上の方がクリスの現状に同情し、率先して正義の暴力で、チャンスキー男爵夫妻を黙らせた。
メアリーもこちらの世界に残ることをルナールとマリアに告げると、必死になりメアリーを止めようとしたがメアリーの決意は変わらなかった。
◇
そして…… 卒業式を間近に迎えた。
その頃になると僕の髪も銀髪から金髪に戻り、究極魔法をいつでも使えるようになった。ヒロインたちとは何度かの打ち合わせを済ませ、いつでもヒロイン達を日本に送り出す準備も整った。
ルナール達にはXデーまでは、このプリストの世界で今まで育ててくれた家族へ残された時間を大事にして欲しいとお願いをした。
◇
みんなとの話し合いで、Xデーは卒業式から一週間後の深夜に決定し、各自の自宅に向け、遠隔操作で究極魔法を使うことになった。
あと、ヒロインたちからの強い要望で、ヒロインたちと僕だけでお茶会を開くことになった。
そのお茶会こそが最終打ち合わせとなる。彼女たちにとって最後の晩餐と言ったところだろうか。
お茶会の会場はシンシアヌ高原が良いとのことで、みんなの意見が一致した。景色も良く、落ち着いた時間を過ごせると言う理由からだった。
移動手段については前回は徒歩だったが、今回は特製の馬車を準備させてもらった。
僕の自信作として華々しくデビューをする特製馬車は、揺れや振動を軽減するためにタイヤは木製の車輪にゴムを厚目に巻き付ける。わかりやしく説明するならば、超高級な自転車のタイヤだと思ってもらえたら良いだろう。
そして、プリストの世界で特許申請でもしようかと思うほどの新技術『インディペンデント・サスペンション』である。
インディペンデント・サスペンションとは、左右の車輪が別々なシャシー取り付けられているので、片方のタイヤに衝撃があっても、もう片方には伝わらない。まさに揺れや振動を抑え、快適空間をお約束する一品なのだ。
さらに、もう1つ秘密が隠されているのだ。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ
犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。
僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。
僕の夢……どこいった?
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
【完結】勇者に折られた魔王のツノは、幼児の庇護者になりました
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
旧タイトル:膨大な魔力と知識ありのチートだけど、転生先がツノはないよね?
異世界転生、胸躍らせる夢の展開のはず。しかし目の前で繰り広げられる勇者vs魔王の激戦に、僕は飽きていた。だって王の頭上で、魔力を供給するだけのツノが僕だ。魔王が強いからツノがあるのではなく、ツノである僕がいるから彼が最強だった。
ずっと動けない。声は誰にも聞こえない。膨大な魔力も知識チートも披露できぬまま、魔王の頭上で朽ちるのか。諦めかけていた。
勇者の聖剣が僕を折るまでは……!
動けなかったツノは、折れたことで新たな仲間と出会う。チート無双はできないが、ツノなりに幸せを掴めるのか!? いつか自力で動ける日を夢見て、僕は彼と手を組んだ。
※基本ほのぼの、時々残酷表現あり(予告なし)
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2021/11/17 完結
転生メイドは絆されない ~あの子は私が育てます!~
志波 連
ファンタジー
息子と一緒に事故に遭い、母子で異世界に転生してしまったさおり。
自分には前世の記憶があるのに、息子は全く覚えていなかった。
しかも、愛息子はヘブンズ王国の第二王子に転生しているのに、自分はその王子付きのメイドという格差。
身分差故に、自分の息子に敬語で話し、無理な要求にも笑顔で応える日々。
しかし、そのあまりの傍若無人さにお母ちゃんはブチ切れた!
第二王子に厳しい躾を始めた一介のメイドの噂は王家の人々の耳にも入る。
側近たちは不敬だと騒ぐが、国王と王妃、そして第一王子はその奮闘を見守る。
厳しくも愛情あふれるメイドの姿に、第一王子は恋をする。
後継者争いや、反王家貴族の暗躍などを乗り越え、元親子は国の在り方さえ変えていくのだった。
気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる