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第129話 クリス・アン・チャンスキー男爵令嬢
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プシューデントの悲劇と後世に受け繋がれて行く出来事から一夜明け、
――翌日
学園の寮からの王宮へ引っ越しとなったクリスを迎えに行く者として、母上自ら名乗りを上げ、意気揚々と学園へと出掛けて行った。
母上曰く、
「クリスちゃんの魔性の魔眼の魅力に気が付かないなんてチャンスキー男爵夫妻の力量にも底が知れてるわ。それだから没落していく運命なのね」
チャンスキー男爵家は、母上の一言で没落が決定したようなものだ。ちなみにクリスが王宮へ住む条件として、眼帯と包帯を外す事が条件の一つとなっている。母上がクリスを全面的にサポートしているのは、チャンスキー男爵夫妻からのネグレクトも一因でもあるが、一番の要因はクリスの可愛らしさとオッドアイの魅力が母上の心にドンピシャに突き刺さってしまった。とのことだった。
◇
母上とクリスが王宮に帰ってきた。父上から執務室に来るよう命じられ、執務室に入ると、そこには……
青ざめている父上とニコニコと上機嫌な母上。下を向き、こわばった顔で母上の膝の上に抱っこされているクリスの姿があった。
「アレク来たわね。ちょっと話があるの」
父上とクリスの表情とは真逆の屈託のない笑顔を振り撒く母上《毒母》。
「ぼ、僕に話とは……」
僕はこのカオスな状況を理解出来ないまま返答をすると、
「今日からクリスちゃんはウチの子になるから」
「――!? い、今…… クリスがウチの子になるとか聞こえましたが?」
母上の突然すぎる爆弾発言に動揺していると
「アレク、あなたとクリスちゃんは義兄妹になるの。これで私にも可愛い娘が出来るわ。本当にチャンスキー男爵夫妻には感謝しなきゃいけないわね。あとでたっぷりとお礼しなきゃいけないわね」
母上のあとでたっぷりとお礼しなきゃの言葉に背筋が凍りそうになりながらも父上に聞いてみた。
「父上はクリスが養女になることは賛成なのですか?」
「……………………」
父上は僕と母上からの目線を反らし下を向いた。
「――!?」
父上の態度を見た瞬間、膝が独りでに震えだした。恐る恐る母上を見ると顔は笑っているが、目がヤベェ事になっていた。
「あら、アレクはクリスちゃんが義妹になるのは反対なのかしら?」
「い、いえ。そのような事は断じてありません。むしろクリスが義妹になってくれることに感謝致します!」
この世には、どんなことがあっても逆らってはいけない部類の人間が要ることを、僕は骨の髄まで知ることが出来た。母上に感謝を!
「分かってくれて良かったわ。もし反対でもされていたら、どう解決しようかと考えていたところよ。五体満足で良かったわねアレク。クリスちゃんもアレクがお兄様になってくれるって、ホントに良かったわね」
「はい…… お義母様」
クリスは緊張なのか恐怖から来るものか分からないが、震える声で返事をしていた。
「それにしてもクリス・アン・チャンスキーねぇ~、名前にセンスを感じさせないわ。ここは思い切って、名前を変えてもいいわね。クリスちゃんも折角、ここのお家の子になるんだから新しいお名前が良いわよね? ねぇクリスちゃん?」
「はい…… お義母様」
母上は日本でいう所の名字にあたるチャンスキーの家名を変えるだけじゃなく、名すら変えようとしている。恐るべし、毒母パワー!
「お前、何もそこまでしなくても…… なぁ、アレク?」
この国の最高権力者でもある。国王の父上が一応は母上を諫めるが、その同意を僕に求めるのはやめて!
「ハァ? アレク、私に文句でもあるの? あったら殺るわよ?」
「無いです! あるはずがありません! 母上の提案に僕は大賛成です!」
父上が僕に何か言いたげな目で睨んでいたが、僕だって命は惜しい。ここは父上をガン無視する方向で、母上のビックウェーブに乗ろう。
「じゃあ、クリスちゃんの新しい名前は…… クリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターが良いと思うの」
「は、母上! その名前だけは許して下さい! その名前はヤバ過ぎます! 僕だったら恥ずかしくて表に出れません!」
母上の下ネタ級の名前に断固反対する。父上とクリスも見てはいけない物でも見るかのように遠い目で母上を見ていた。マジで僕の目が黒いうちは下ネタは許さねぇ! 実際には僕の目は碧眼だけど……
「えぇ~ 別に良いじゃない」
――毒母だ! マジで毒母だ! 子供の将来のことも何一つ考えず、自分の欲望だけでDQNネームを付ける毒親と同じじゃねぇーか!
「母上! ク、クリスの要望も聞くべきかと意見具申させていただきます」
僕は毒母の暴走を止めるべく迅速に動く。
「そうね~。でもクリスちゃんもクリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターで良いわよね? クリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターって、可愛い名前だと思うけど? それにクリスちゃんにピッタリなんだけどなぁ~」
――は、母上。それはクリスをロリビッチだと言ってるようなもんですよ。しかも、クリスの前で何度もクリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターと下ネタを言うのは止めて下さい。
「お義母様、新しい名前には不満は無いのですが…… もう少し可愛さを入れても良いかと思います。私はクリスチャン・ピョン・フラスターが良いです……」
「そぉかなぁ~」
「ええ、そうです! それが良いです!」
「仕方ないわね。クリスちゃんの希望を聞くことも優秀な良妻賢母の務めよね」
「「「…………………………」」」
その場に居た一同は言葉を失った。
――さすがクリス! 毒母を説得するとは。やはり飛び級で学園に入学した才媛だけのことはある。あるのだが…… さすがにクリスチャンとピョンはねぇーだろ! クリスチャンとピョンは! クリスの名前を呼ぶ時、クリスチャンちゃんになるだろうが! チャンちゃんとか新しいパンダの来日かと勘違いするヤツが出てくる可能性大じゃないか!
「クリス…… クリスティーヌとかなら良いと思うけど、さすがにチャンとピョンはアウトだろ」
僕はクリスの為だと思い口を挟んだ。
「アレク。あんた、さっきから何かにつけて、私達に反対ばかりにしてるじゃない。そんなに死に急ぎたいの? ねぇ、三回くらい死んじゃう? クリスちゃんがいるから別にお前を殺しちゃっても良いのよ?」
「母上! 僕はそんなつもりで言ったのではありません! クリスの将来の事を考えて、もう少し慎重に決めた方が良いと言ったまでです!」
「それもそうねぇ~。 じゃあ、クリスちゃんの名前は後日、家族会議で決めるということで良いかしら?」
「はい。それで結構です」
僕は安堵の表情を浮かべ、快く答えた。
◇
――後日談
後日、クリスの改名について家族会議が開かれたが、その場に僕が呼ばれることは無かった…… なんでだろ?(ガチ泣き)
おわかりいただけただろうか。これが王宮において僕の立ち位置が底辺中の底辺であることを……
――翌日
学園の寮からの王宮へ引っ越しとなったクリスを迎えに行く者として、母上自ら名乗りを上げ、意気揚々と学園へと出掛けて行った。
母上曰く、
「クリスちゃんの魔性の魔眼の魅力に気が付かないなんてチャンスキー男爵夫妻の力量にも底が知れてるわ。それだから没落していく運命なのね」
チャンスキー男爵家は、母上の一言で没落が決定したようなものだ。ちなみにクリスが王宮へ住む条件として、眼帯と包帯を外す事が条件の一つとなっている。母上がクリスを全面的にサポートしているのは、チャンスキー男爵夫妻からのネグレクトも一因でもあるが、一番の要因はクリスの可愛らしさとオッドアイの魅力が母上の心にドンピシャに突き刺さってしまった。とのことだった。
◇
母上とクリスが王宮に帰ってきた。父上から執務室に来るよう命じられ、執務室に入ると、そこには……
青ざめている父上とニコニコと上機嫌な母上。下を向き、こわばった顔で母上の膝の上に抱っこされているクリスの姿があった。
「アレク来たわね。ちょっと話があるの」
父上とクリスの表情とは真逆の屈託のない笑顔を振り撒く母上《毒母》。
「ぼ、僕に話とは……」
僕はこのカオスな状況を理解出来ないまま返答をすると、
「今日からクリスちゃんはウチの子になるから」
「――!? い、今…… クリスがウチの子になるとか聞こえましたが?」
母上の突然すぎる爆弾発言に動揺していると
「アレク、あなたとクリスちゃんは義兄妹になるの。これで私にも可愛い娘が出来るわ。本当にチャンスキー男爵夫妻には感謝しなきゃいけないわね。あとでたっぷりとお礼しなきゃいけないわね」
母上のあとでたっぷりとお礼しなきゃの言葉に背筋が凍りそうになりながらも父上に聞いてみた。
「父上はクリスが養女になることは賛成なのですか?」
「……………………」
父上は僕と母上からの目線を反らし下を向いた。
「――!?」
父上の態度を見た瞬間、膝が独りでに震えだした。恐る恐る母上を見ると顔は笑っているが、目がヤベェ事になっていた。
「あら、アレクはクリスちゃんが義妹になるのは反対なのかしら?」
「い、いえ。そのような事は断じてありません。むしろクリスが義妹になってくれることに感謝致します!」
この世には、どんなことがあっても逆らってはいけない部類の人間が要ることを、僕は骨の髄まで知ることが出来た。母上に感謝を!
「分かってくれて良かったわ。もし反対でもされていたら、どう解決しようかと考えていたところよ。五体満足で良かったわねアレク。クリスちゃんもアレクがお兄様になってくれるって、ホントに良かったわね」
「はい…… お義母様」
クリスは緊張なのか恐怖から来るものか分からないが、震える声で返事をしていた。
「それにしてもクリス・アン・チャンスキーねぇ~、名前にセンスを感じさせないわ。ここは思い切って、名前を変えてもいいわね。クリスちゃんも折角、ここのお家の子になるんだから新しいお名前が良いわよね? ねぇクリスちゃん?」
「はい…… お義母様」
母上は日本でいう所の名字にあたるチャンスキーの家名を変えるだけじゃなく、名すら変えようとしている。恐るべし、毒母パワー!
「お前、何もそこまでしなくても…… なぁ、アレク?」
この国の最高権力者でもある。国王の父上が一応は母上を諫めるが、その同意を僕に求めるのはやめて!
「ハァ? アレク、私に文句でもあるの? あったら殺るわよ?」
「無いです! あるはずがありません! 母上の提案に僕は大賛成です!」
父上が僕に何か言いたげな目で睨んでいたが、僕だって命は惜しい。ここは父上をガン無視する方向で、母上のビックウェーブに乗ろう。
「じゃあ、クリスちゃんの新しい名前は…… クリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターが良いと思うの」
「は、母上! その名前だけは許して下さい! その名前はヤバ過ぎます! 僕だったら恥ずかしくて表に出れません!」
母上の下ネタ級の名前に断固反対する。父上とクリスも見てはいけない物でも見るかのように遠い目で母上を見ていた。マジで僕の目が黒いうちは下ネタは許さねぇ! 実際には僕の目は碧眼だけど……
「えぇ~ 別に良いじゃない」
――毒母だ! マジで毒母だ! 子供の将来のことも何一つ考えず、自分の欲望だけでDQNネームを付ける毒親と同じじゃねぇーか!
「母上! ク、クリスの要望も聞くべきかと意見具申させていただきます」
僕は毒母の暴走を止めるべく迅速に動く。
「そうね~。でもクリスちゃんもクリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターで良いわよね? クリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターって、可愛い名前だと思うけど? それにクリスちゃんにピッタリなんだけどなぁ~」
――は、母上。それはクリスをロリビッチだと言ってるようなもんですよ。しかも、クリスの前で何度もクリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターと下ネタを言うのは止めて下さい。
「お義母様、新しい名前には不満は無いのですが…… もう少し可愛さを入れても良いかと思います。私はクリスチャン・ピョン・フラスターが良いです……」
「そぉかなぁ~」
「ええ、そうです! それが良いです!」
「仕方ないわね。クリスちゃんの希望を聞くことも優秀な良妻賢母の務めよね」
「「「…………………………」」」
その場に居た一同は言葉を失った。
――さすがクリス! 毒母を説得するとは。やはり飛び級で学園に入学した才媛だけのことはある。あるのだが…… さすがにクリスチャンとピョンはねぇーだろ! クリスチャンとピョンは! クリスの名前を呼ぶ時、クリスチャンちゃんになるだろうが! チャンちゃんとか新しいパンダの来日かと勘違いするヤツが出てくる可能性大じゃないか!
「クリス…… クリスティーヌとかなら良いと思うけど、さすがにチャンとピョンはアウトだろ」
僕はクリスの為だと思い口を挟んだ。
「アレク。あんた、さっきから何かにつけて、私達に反対ばかりにしてるじゃない。そんなに死に急ぎたいの? ねぇ、三回くらい死んじゃう? クリスちゃんがいるから別にお前を殺しちゃっても良いのよ?」
「母上! 僕はそんなつもりで言ったのではありません! クリスの将来の事を考えて、もう少し慎重に決めた方が良いと言ったまでです!」
「それもそうねぇ~。 じゃあ、クリスちゃんの名前は後日、家族会議で決めるということで良いかしら?」
「はい。それで結構です」
僕は安堵の表情を浮かべ、快く答えた。
◇
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