11 / 148
第11話 推しの尊厳
しおりを挟む
――ああ、神よ。神は存在しないのですか? 正面のヤツらだけでも、どうかこの世から抹殺してください…… お願いします。
正面のお3人方の隣にはミレーユ嬢が座り、その3人に向けニコニコ笑顔で会話をしているようだった。会話が噛み合っているのか謎だが……
席順、僕を中心に右側からマリア嬢、お茶会メンバーの唯一の良心である普通の女子生徒、ヒロインの1人である『クリス・アン・チャンスキー』男爵令嬢が座っている。左片目には眼帯、左腕にはボロボロの包帯を巻き、いかにも中二病を発症させているのではと思いたくなるご令嬢だ。僕といろんな部分で共通することがあるかもしれない。その隣には涙と鼻水メイド、危ないオヤジ、ばっちぃーヨダレのヤベェ庶民と続き、ミレーユ嬢、最後のヒロインとなる『フローラ・リン・シャンブー』侯爵令嬢で、気品に満ちたお姉様キャラと言った感じだ。そして、最後に僕の左隣にルナール嬢という布陣だ。もし、これが戦であれば圧倒的不利過ぎて、絶望感が半端ない。
マリア嬢は目をキラキラさせながら僕に問いかけてきた。
「先程はお見苦しい所をお見せして申し訳ありませんでした」
「いや、特には気にしていないよ」
僕はスルー気味に答える。
「でも、アレク様が私の名前をご存知だったなんて嬉しいです!」
マリア嬢は満面の笑みで僕に顔を近付けようとしていた。
『ゴホン』
ルナール嬢が咳ばらいをして、マリア嬢はハッとした顔になり顔を遠ざけた。マリア嬢はルナール嬢に対して『良いところだったのに邪魔しやがって! あとで絶対にぶっ殺す!』そんなドス黒い表情でルナール嬢を呪いを掛けるように睨み付けていた。
ルナール嬢はそんなマリア嬢の呪いを撥ね付けるように、
「あらあらマリアさん。淑女がそんなはしたない真似をしてはいけませんよ。ファンクラブ条約第1章第1条、『ファンクラブ会員はいついかなる時も紳士淑女たれ』ですわ。これを忘れてしまいますと単なる下品な迷惑集団に成り下がってしまいますわ」
と、ドヤ顔で言い放った。下品な迷惑集団に成り下がるとは、ヤベェストーカー集団ということか?
「ルナール会長…… すみません。アレク様の隣ということで我を忘れてしまいました」
ルナール嬢は椅子から立ち上がり、
「良いのですよ。あなたを責めているのではありません。私だって…… いえ、ここにいる者は、遠い存在であり、憧れの推しが目の前に居るのです。我を忘れるのは当然の事。さあ、抽選に漏れてしまった人たちの為にも、ここはしっかりとアレク様を愛でなくては、私達の責務は果たせません。語るのです! 一人でも多くの方にアレク様の尊さを! 素晴らしさを! 推しの全てを!!」
ルナール嬢は推しの素晴らしさを語り、最後に直立不動で右手を斜め上に上げ、
「ジーク・アレク!!」
「「「ジーク・アレク!!」」」
『パチパチ パチパチ』
お茶会メンバーと抽選に漏れてしまった者達は椅子から立ち上がり、掛け声と割れんばかりの拍手がルナール嬢に向けて送られた。
――しかも、スタンディングオベーションとは、今、僕はどんな反応をしたらいいの? ジーク・アレク!!って何?
ファンクラブのヤバさに動揺している僕の耳元でサンペータが呟く。
「アレク。早く何か言え、何でも良いから何か言え」
「う、うん」
混乱の中、震える声で返事をした。
「――!? あ、あ、ファンクラブのみんなの意気込みをものすごく感じたよ…… またファンクラブの集いを開催しよう。僕も君たちと共にある」
僕はあまりの動揺に心にも無いことを言ってしまった。
「本当にまたファンクラブの集いをしてくださるのですか? 今の言葉、言質を取りましたわよ。みなさんも聞きましたわよね? アレク様は私達と共にあると!」
ルナール嬢がファンクラブのみんなに叫んだ。
「「「はい! 聞きました!」」」
王宮に集まったファンクラブ会員は大きな声で返事をした。
――ハッ。と自分の言葉に気が付いた時には、全てが遅いと後悔にさいなまれてしまった。僕は攻略対象者の最後の砦であり、ラスボスだ! こんな不甲斐ないラスボスが許されるはずがない。助けてくれ、心の師匠!
心の師匠であるメアリー嬢は一応。みんなに合わせて立ち上がり拍手をしていたが、『もう茶番劇はやめて、早くお菓子が食べたい』というだるい表情だった。
さすが心の師匠! 一寸のブレも感じさせない!
結局、お茶会はお茶会メンバーだけではなく、抽選に漏れた者達にも愛嬌を振りまき終始穏やかにファンクラブの集いは終わった。
ファンクラブ会員にとっては良いガス抜きにはなったと思うが、ヒロイン達とは距離を置きたいが、唯一クリス・アン・チャンスキー嬢とは『邪神眼』と左腕に宿っていると聞いた『漆黒の魔龍、デモンドキル・フューエル』について語り明かしたいと心から切に願った……
正面のお3人方の隣にはミレーユ嬢が座り、その3人に向けニコニコ笑顔で会話をしているようだった。会話が噛み合っているのか謎だが……
席順、僕を中心に右側からマリア嬢、お茶会メンバーの唯一の良心である普通の女子生徒、ヒロインの1人である『クリス・アン・チャンスキー』男爵令嬢が座っている。左片目には眼帯、左腕にはボロボロの包帯を巻き、いかにも中二病を発症させているのではと思いたくなるご令嬢だ。僕といろんな部分で共通することがあるかもしれない。その隣には涙と鼻水メイド、危ないオヤジ、ばっちぃーヨダレのヤベェ庶民と続き、ミレーユ嬢、最後のヒロインとなる『フローラ・リン・シャンブー』侯爵令嬢で、気品に満ちたお姉様キャラと言った感じだ。そして、最後に僕の左隣にルナール嬢という布陣だ。もし、これが戦であれば圧倒的不利過ぎて、絶望感が半端ない。
マリア嬢は目をキラキラさせながら僕に問いかけてきた。
「先程はお見苦しい所をお見せして申し訳ありませんでした」
「いや、特には気にしていないよ」
僕はスルー気味に答える。
「でも、アレク様が私の名前をご存知だったなんて嬉しいです!」
マリア嬢は満面の笑みで僕に顔を近付けようとしていた。
『ゴホン』
ルナール嬢が咳ばらいをして、マリア嬢はハッとした顔になり顔を遠ざけた。マリア嬢はルナール嬢に対して『良いところだったのに邪魔しやがって! あとで絶対にぶっ殺す!』そんなドス黒い表情でルナール嬢を呪いを掛けるように睨み付けていた。
ルナール嬢はそんなマリア嬢の呪いを撥ね付けるように、
「あらあらマリアさん。淑女がそんなはしたない真似をしてはいけませんよ。ファンクラブ条約第1章第1条、『ファンクラブ会員はいついかなる時も紳士淑女たれ』ですわ。これを忘れてしまいますと単なる下品な迷惑集団に成り下がってしまいますわ」
と、ドヤ顔で言い放った。下品な迷惑集団に成り下がるとは、ヤベェストーカー集団ということか?
「ルナール会長…… すみません。アレク様の隣ということで我を忘れてしまいました」
ルナール嬢は椅子から立ち上がり、
「良いのですよ。あなたを責めているのではありません。私だって…… いえ、ここにいる者は、遠い存在であり、憧れの推しが目の前に居るのです。我を忘れるのは当然の事。さあ、抽選に漏れてしまった人たちの為にも、ここはしっかりとアレク様を愛でなくては、私達の責務は果たせません。語るのです! 一人でも多くの方にアレク様の尊さを! 素晴らしさを! 推しの全てを!!」
ルナール嬢は推しの素晴らしさを語り、最後に直立不動で右手を斜め上に上げ、
「ジーク・アレク!!」
「「「ジーク・アレク!!」」」
『パチパチ パチパチ』
お茶会メンバーと抽選に漏れてしまった者達は椅子から立ち上がり、掛け声と割れんばかりの拍手がルナール嬢に向けて送られた。
――しかも、スタンディングオベーションとは、今、僕はどんな反応をしたらいいの? ジーク・アレク!!って何?
ファンクラブのヤバさに動揺している僕の耳元でサンペータが呟く。
「アレク。早く何か言え、何でも良いから何か言え」
「う、うん」
混乱の中、震える声で返事をした。
「――!? あ、あ、ファンクラブのみんなの意気込みをものすごく感じたよ…… またファンクラブの集いを開催しよう。僕も君たちと共にある」
僕はあまりの動揺に心にも無いことを言ってしまった。
「本当にまたファンクラブの集いをしてくださるのですか? 今の言葉、言質を取りましたわよ。みなさんも聞きましたわよね? アレク様は私達と共にあると!」
ルナール嬢がファンクラブのみんなに叫んだ。
「「「はい! 聞きました!」」」
王宮に集まったファンクラブ会員は大きな声で返事をした。
――ハッ。と自分の言葉に気が付いた時には、全てが遅いと後悔にさいなまれてしまった。僕は攻略対象者の最後の砦であり、ラスボスだ! こんな不甲斐ないラスボスが許されるはずがない。助けてくれ、心の師匠!
心の師匠であるメアリー嬢は一応。みんなに合わせて立ち上がり拍手をしていたが、『もう茶番劇はやめて、早くお菓子が食べたい』というだるい表情だった。
さすが心の師匠! 一寸のブレも感じさせない!
結局、お茶会はお茶会メンバーだけではなく、抽選に漏れた者達にも愛嬌を振りまき終始穏やかにファンクラブの集いは終わった。
ファンクラブ会員にとっては良いガス抜きにはなったと思うが、ヒロイン達とは距離を置きたいが、唯一クリス・アン・チャンスキー嬢とは『邪神眼』と左腕に宿っていると聞いた『漆黒の魔龍、デモンドキル・フューエル』について語り明かしたいと心から切に願った……
56
あなたにおすすめの小説
【完結】勇者に折られた魔王のツノは、幼児の庇護者になりました
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
旧タイトル:膨大な魔力と知識ありのチートだけど、転生先がツノはないよね?
異世界転生、胸躍らせる夢の展開のはず。しかし目の前で繰り広げられる勇者vs魔王の激戦に、僕は飽きていた。だって王の頭上で、魔力を供給するだけのツノが僕だ。魔王が強いからツノがあるのではなく、ツノである僕がいるから彼が最強だった。
ずっと動けない。声は誰にも聞こえない。膨大な魔力も知識チートも披露できぬまま、魔王の頭上で朽ちるのか。諦めかけていた。
勇者の聖剣が僕を折るまでは……!
動けなかったツノは、折れたことで新たな仲間と出会う。チート無双はできないが、ツノなりに幸せを掴めるのか!? いつか自力で動ける日を夢見て、僕は彼と手を組んだ。
※基本ほのぼの、時々残酷表現あり(予告なし)
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2021/11/17 完結
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜
伽羅
ファンタジー
事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。
しかも王子だって!?
けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。
助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。
以前、投稿していた作品を加筆修正しています。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる