ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

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第12話 友人マルコス・ベルガー

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ガス抜きに行われたファンクラブの集いも何とか無事に終わり日常生活に戻った。

「アレク。どうだったお茶会は?」

「ああ、マルコスか。良くも悪くも何とも言えないなぁ」

教室でマルコスが次の授業の準備をしている僕に話しかけてきた。彼、マルコス・ベルガーは平民の立場であるが僕とは仲が良い。マルコスをはじめ平民出の者に関して僕に対して王族の者としてではなく、善き友人として接して欲しいとお願いしてある。だから『殿下』『様』は使わないようにしてもらっている。

僕自身も王族だからといって横柄な態度はとる気もないし、優遇してもらおうなんて考えてもいない。そのおかげか男子生徒から僕に対してのヘイトは少ない。王族、貴族、平民の垣根を超え共に汗をかき、共に喜び、共に悲しむ。これが僕が学園生活を送る為のモットーとしているが、逆に女子生徒には素っ気ない態度をとっている。男友達と一緒にいる方が楽しいのだ。

「ファンがいるのも困りものだよな」

マルコスは呆れた顔をしていた。

「ファンがいてくれるのは悪気はしないけど、行き過ぎは迷惑なだけだからな……」

「アレクには同情するよ。俺、アレクを見てると絶世のイケメンに生まれなくて良かったと思うよ」

「何を言ってるんだよ。お前だってイケメン過ぎて女子と仲がいいじゃないか?」

「仲が良いって言っても同じ特待生のヤツらだけだ、お前らくらいだぞ。平民の俺達に良くしてくれているのは、まあ、お前らのお陰で他の貴族達とも仲良くなれたからな」

「良かったなマルクス。貴族達から嫌な事とかされたら僕に何でも言ってくれ。力になるから」

「俺達にはアレク達がいるだけで心強いし、俺達のことは大丈夫だ」

僕達一年の中では貴族と平民は仲が良い。初めは貴族達は平民出の特待生を見下していたが、僕とルブラン達が積極的に特待生達に関わって行くと、

「平民風情がアレク様と話をするなんてもってのほかだ」

「俺達貴族をなめるなよ」

「アレク様は何をお考えになっているのだ! 下民と一緒にいるなんて」

とか僕らやマルクス達にも文句を言っていたが、僕らはそれら全部を無視を続け、マルクス達と友情を深めて行った結果。

貴族達はいつの間にか僕らを見習うようになり、マルクス達平民出の者達と仲良くなって行った。貴族達には平民の事を知り、将来は民の事を領主経営などに生かして欲しい…… そして僕に搾取され続ける人生を歩んで欲しいと心の底から願う。

「本当に大丈夫なのか? マルクスは抜けてるところがあるからな」

「な、なに言ってるんだ! アレクには言われたくないぞ!」

「まあ、お互いはみ出し者だからな」

僕はマルクスと気兼ねなく話すし、マルクスも王族に向かった気兼ねなくツッコミを入れてくるし、今までの貴族と平民の関係から言えば非常識とも言えるだろう。そう僕らははみ出し者なのだ。

「そうだな。俺達平民がアレクに気軽に声をかけるなんて考えられん事だからな」

マルクスは僕をザ・規格外みたいな目で見ていた。

「学園の中だからな。それくらいは、お互い羽目を外しても良いんじゃないか」

僕としては平民と仲良くなることで将来、自分に不利益になった時に味方になってくれるじゃないかと打算があってのことだからな。

「羽目を外しすぎるとは思うけど……」

「そんなことないさ。せっかくの学園生活だ、お互い楽しんだ方がずっと良いはずさ」

「そうだな。ところでお茶会で仲良くなれそうな女はいたか?」

マルクスはゲスな発言をした。

「みんな良くも悪くもだったけど、気になると言うか話をしてみたいと思う女子生徒はいたよ」

「えっ!? お前がか? いつも女には興味無さそうにしてたのに……」

「あのなぁ~僕を男ラブみたいな言い方はやめてくれ。僕はファンのヤツらに興味が無いだけで、当たり前に女性には興味はあるよ」

「そうなのか…… いつもクールを通り越して塩対応だったからな。一体どんなヤツなんだ?」

マルクスは僕の話に興味津々で聞いてきた。

「クリス・アン・チャンスキー男爵令嬢でな、左目には『邪神眼』が宿ってると言って眼帯をしてるんだ。恐ろしいことに左腕には『漆黒の魔龍、デモンドキル・フューエル』が宿っていてな。いつも左腕に包帯をして封印しているんだ! それでな…… 『漆黒の魔龍、デモンドキル・フューエルが目覚める前に逃げろ! 私が食い止める!』って言うんだよ。どうだ、このイカレっぷり? マルコスも話の続きが聞きたいと思うだろ?」 


「――ソイツ…… マジでヤベェ人種だろ!」


マルコスは顔を青くして何かに怯えていた。きっと『邪神眼』と『漆黒の魔龍・デモンドキル・フューエル』にビビってしまったのだろう。
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