ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

文字の大きさ
45 / 148

第45話 漢気

しおりを挟む
翌日の放課後、いつものようにサンペータ達と集まった。

僕は近年稀に見る真面目な表情でみんなに告げる。

「昨日、お前達の家で何か無かったか?」

メイドさん大量休暇申請の乱について聞いてみた。

「父上に呼び出されて厳重注意された」

ルブランが暗い顔で答えた。

「やはりな…… ところであとはないか?」

僕はルブランの言葉に納得した。

「俺のところもそうだ。父上から叱責されてしまった」

続いてサンペータも難しい顔で答える。

「そうか……」

「俺のところも同じだ」

マリックもやりきれない表情で答える。

「そうだったか……」

「俺のところは母上がブチギレしてたよ」

ドールはニコニコしながら答えた。

「……………………」


――何でコイツだけ母親にブチギレされてニコニコ出来るんだ? いつも母親にブチギレされて頭が麻痺でもしてんじゃないのか?


ルブランは暗い表情でポツリと呟く。

「メイド達が一斉に休暇を取りたいと言い出すとは予想していなかった……」

「ああ、まさかこんな状況になるとは思わなかった」

マリックが己の浅はかさを後悔しているようだ。

「俺のところもそうだ。休みがもらえなかったら辞めると言い出してな。思い留めさせるのに大変だった」

サンペータが疲れた表情で呟やいた。

「やはり、そうだったか…… 僕も同じだ。昨日、父上と母上に呼び出されてボロボロにされたよ」

僕は昨夜の出来事を話した。

「それは悲惨だな」

「可哀想に……」

「お前の親は毒親なのか?」

サンペータ、ルブラン、マリックは僕に父上と母上の極悪外道は毒親ぶりに同情してくれた。良い仲間が居てくれて涙が出る……

「そうなの? 母上のブチギレはいつもの事だから余裕」

ドールはこの場が凍るような空気を読まない発言をした。

「「「お前なぁー 先ずはお前からってる!!」」」

僕達はドールをボコボコに暴力と言うの制裁を加えた。

ボロボロになって倒れているドールを横目に話を続けた。

「サンペータ。お前に頼みがある」

僕は覚悟を決めて、サンペータに声をかけた。

「なんだ? アレク」

「ファンクラブのヤツらをこのままにしていたら国が滅ぶ、アイツらを何とかしないと大事なる。何とかしないと……」

「国が滅ぶ? 何とかしないと?」

サンペータは食い込みに答えた。

「ああ、今回はこれで済んだが、ヤツらに悪意が芽生えた時に王国自体が機能停止してしまう可能性が有るんじゃないかと考えているんだ」

「確かに…… ファンクラブのヤツらがヤル気になったらストやボイコット、暴動を先導するだろうな」

ルブランはその危険性を危惧していた。

「そこでサンペータに頼みがある…… ルナール、マリア、ミレーユ、フローラ、クリス、メアリーを秘密裏にってくれないか? これも王国、国民の安穏と王族の未来の為に頼みを聞いてくれないか?」

「「「――!?」」」

「暗殺か!?」

「サンペータ! 声が大きい!」

サンペータの驚きな声を諌めた。

ルブランは小さな声で、

「マジか? それはヤバ過ぎないか?」

「そりゃ~ヤバいよ。僕だってそんなのイヤだよ。だけどなみんなの幸せの為なんだ」

「「「……………………」」」

「しかしなぁ……」

躊躇するサンペータ達に

「わかった。お前達は国民の安穏より自分達の立場がそんなに大事なのか? 自分が可愛いのか? 国家の為に命を掛けようとは思わないのか?」

僕はもっともらしいことを並べる。

「そ、そんなことはないが……」

マリックは動揺しながら答える。

「それならマリック、サンペータ、ルブラン頼んだぞ」

「「「ハァ~」」」

マリック達は気の抜けた返事をした。

「俺は?」

どうやら僕達にボコされたドールが復活したようだ。

「ドール。お前には何も期待していないし、これからも期待はしない」

僕は敢えてドールを突き放した。

「お前は必要とされていない」

「お前みたいな無能は俺達にはいらない」

「役立たずは去れ」

サンペータ達はドールに辛辣な言葉を浴びせる。ドールはプルプルと震えだし、涙を堪えていた。

「じゃあ、俺がアイツらをぶっ壊す!」

サンペータが先人を切って手を挙げた。

「いや、ここは俺の出番だろ! なぁアレク!」

サンペータに続いてマリックが手を挙げる。

「いや、いや、お前達では役不足だ! ここは俺がる!」

ルブランも負けじと手を挙げた。

「お前らは引っ込んでろ! 俺の漢気おとこぎを見せてやる!」

「お前の方が引っ込んでいろよ! 俺の方が漢気おとこぎがあるのに決まってるだろ!」

「お前らじゃあ話にならん! 大人しく引っ込んでろ! 俺の漢気おとこぎがどれだけ凄いか見せてやるよ!」

三人の醜い言い争いが勃発した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?

ラララキヲ
ファンタジー
 わたくしは出来損ない。  誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。  それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。  水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。  そんなわたくしでも期待されている事がある。  それは『子を生むこと』。  血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……  政略結婚で決められた婚約者。  そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。  婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……  しかし……──  そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。  前世の記憶、前世の知識……  わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……  水魔法しか使えない出来損ない……  でも水は使える……  水……水分……液体…………  あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?  そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──   【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】 【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】 【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!

MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!  笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

処理中です...