100 / 332
第二部
四十六話 底なしの宝庫 後①
しおりを挟む
元に戻って来られたことに安心して息を吐き、雛が入った袋を大事に抱えてとりあえず元来た廊下の方へ歩き始める。たくさんの鏡がかかる廊下は、振り返るともうさっきの宝物庫へ繋がる鏡がどれなのか判別できなかった。
それよりも、子猿を追いかけて闇雲に走ってしまったせいで鈴園への魔法陣がある金色の扉がどこにあったか分からなくなってしまったことが問題だった。
もし迷子になってしまったらどうしたらいいのか。
最悪誰かが歩いてきたら道を聞くか、マスルールが典礼の間はイラムで寝泊まりしていると言っていたから、彼の居場所を聞いてみるしかない。さっきの今で苦言を呈されるだろうが、仕方がない。
しばらく歩いてみても、やはり金色の扉を見つけることは出来なかった。
ここは誰でもいいから人を探そうと目的を変えて、広い廊下を進んでいくとちょうど前から人の気配がする。
曲がり角のところで数人が何か話しているのを見つけ、俺は急いで駆け寄った。近づくと、話し声の内容がだんだん聞こえてくる。
「……だから、ここにはいないってことだろう。上には行けないのに捕まえて来いだなんて無茶を言う」
「ここを探しても無意味ということだよな。それにしても何だったか、世話係は金髪の男だったか」
「そうだ。金髪に緑の目の男で、今はそいつが卵を持っているらしい」
そこまで聞いて、俺はその会話の不穏な内容に気づき足を止めた。
しかし特に潜めることなく駆け寄った俺の足音は聞こえたらしく、曲がり角から顔を出した男と目があってしまった。
今金髪に緑の目の男って言った?
それって、俺のことでは?
話の内容からして不死鳥の卵を狙っているとしか思えない。
人相の悪い男と見つめ合うこと数秒、俺はくるりと背を向けて来た道を駆け戻った。
「あ! おいいたぞ! あいつだ!」
すぐに男達が追いかけてくる足音が後ろから聞こえる。
やっぱりそうじゃん!
何でまたこんなことに!
暗い廊下を走りながら俺は壁に頭を打ち付けたくなる。
もういい加減にしてくれよ。
なんで次から次へと面倒なことが襲いかかってくるんだ。
マスルールのやつ、イラムには皇族の関係者しか上がって来れないんじゃなかったのか。怪しい奴らが入り込んでるぞ!
鞄を抱えながら全力で走り、曲がり角をいくつか曲がって撒こうとしたが、男達はついて来る。
そのうち厨房とその近くの回廊に行き当たって、穀物を貯めておくための大きな壺が中庭にたくさん並んでいるのを見つけた。走って中を覗くと、いくつかは空のものもある。
追いかけてくる男達の足音が聞こえたので、咄嗟に壺の中の一つに飛び込んだ。
大きな水瓶くらいの大きさのある壺の中は空洞で、俺が入ってもまだ余裕があるくらいだった。
やり過ごそうと息を顰めると、走ってきた男達が中庭に出てくる気配がする。
「くそ、どこ行った」
「あいつ、鞄を持っていたな。あの中に卵があったんじゃないか」
「まだこの辺りにいるだろう、探せ」
そう声が聞こえてくるのを息を殺しながらやり過ごしていると、バラバラに散らばっていく足音の中の一つが、だんだん俺のいる壺に近づいてくる。
まずい。ここで見つかったら逃げ場がない、と青ざめて鞄をぎゅっと抱えた。すると圧迫されて驚いたのか、雛が鞄の中から「ぴっ」と小さな鳴き声をあげた。俺はぎくっとして身を強ばらせる。
「おい、今なにか」
と言いかけた声が急に途切れた。
息を引き絞るような小さな悲鳴の後、「忘れろ」と小さく囁く声が聞こえた。そしてドサリと何かが倒れる音がする。
この声はまさか。
聞き覚えのある声に俺は上を見上げる。
「……レイナルド? 大丈夫?」
ひょこりと壺の中を覗き込んできた顔を見て、思わず口を開けた。
「オズ?」
「うん。遅くなってごめんね」
生真面目なその顔を見たら緊張が解けて、俺は詰めていた息を吐き出した。
「助かった。さっきの奴ら、三人くらいいたけど全員倒した?」
「うん。多分。泥棒かな? とりあえず気絶させておいたけど。さすがにあれが友達ではないということは俺にだってわかるよ」
妙に誇らしげに言われて脱力した。
「お前、どうやってイラムに入り込んだんだ」
オズワルドの顔を見上げながら呆れ半分の声を出して聞くと、微かに眉を上げた彼は少し言いづらそうに頭を掻いた。
「さすがにちょっと大変だったけど。まぁ、色々、俺の能力を駆使してってところ」
「そうか。お疲れ」
「レイナルドもね」
詳しく追求するのはやめた。
今日は色々ありすぎてもう何を聞いてもどうせ右から左だ。
心の中でマスルールにイラムの警備ガバガバじゃねーか、後宮がそれでいいのか、とツッコミを入れるだけである。
差し出された彼の手をとり、鞄を抱えながら壺をよじ登って外に出た。
オズワルドは俺と同じような白い民族衣装を着て、髪は珍しく横に流して緩く編んでいた。銀色の髪を留めている琥珀の髪飾りがやけに目立つ。
地面にぴょんと飛び降りると俺を眺めていた彼は卵の殻が入った袋に目を留めた。
「その袋どうしたの」
「マスルールさんがくれた。スカーフだと肩に食い込んで痛かったから。そんなことよりオズ、大変なことが」
俺が説明しようとした時、地面に飛び降りた振動に驚いたのか袋の中で雛がまた「ぴぃ」と鳴いた。
その声を聞いた途端、オズワルドが真顔になる。
「産まれたの」
「うん、ついさっき」
「殻は」
「殻?」
予想外のところに食いつく彼を少し不思議に思いながら、俺は鞄を指差した。
「入ってるよ。多分全部拾ったと思うけど」
そう言うと、王子はほっとした顔をした。
「拾ってくれてあるなら良いんだ。ありがとう」
妙に真剣な顔をしているオズワルドに、「人目につきにくいところに移動しよう」と言って回廊の隅の方に移動した。
周りに人気がないことを確認してから、鞄の蓋を開けてタオルに包まれた雛を渡す。
慎重にタオルを開いた彼に擦り寄っていくかと思いきや、雛は王子を見上げると高く鳴いて俺の方を見た。必死に足踏みして俺のところへ戻ろうと翼をはためかせる。
おかしいな。皇族には懐くはずじゃなかったっけ。
その様子を見てオズワルドは苦笑して俺を見た。
「ずいぶん懐かれたみたいだね。不死鳥が皇族以外に刷り込みされるなんてレアだよ」
「産まれた時に俺がいたからかな」
「うーん……多分レイナルドが暖めてくれてたことをこの子も覚えてるんだと思う」
優しく翼を指で撫でながら彼は表情を緩めた。
「もう産まれる頃だと思っていたんだ。無事に産まれてよかった。ありがとう。レイナルドのおかげだな」
「いや……。このままでいいのか? 何か食べさせたり、身体を拭いたりとかは?」
俺が心配でそう聞くと、オズワルドは首を横に振った。
「大丈夫だよ。雛は卵の殻をちょっとずつ食べて、栄養はそれで十分持つから、あとは何か飲みたがったら朝露を飲ませるくらいで」
「そうか、わかった」
殻を食べていいと聞いて安心した。
「心配しなくても、不死鳥の雛は卵と同じでタフなんだ。そんなに気負わなくてもすぐ死なないよ。むしろ、こんなに小さくても不死鳥だから、死んでも蘇る」
蘇る。
そうか。この子は不死鳥だもんな。
ずっと俺の方に戻ろうとして「ぴぃぴぃ」鳴いている不死鳥の雛をオズワルドは俺に返してきた。両手で受け取ると雛は安心したのか俺に擦り寄って黙る。ぐうの音も出ないほど可愛い。
俺の顔を見て、オズワルドは首を傾げた。
「昨日の今日でまさかレイナルドが鈴園に連れ込まれてるとは思いもしなかったよ」
半ば感心した声を出す彼に、俺はため息を吐きながら愚痴を言う。
「まさかこんなことになるなんて俺だって思わなかったよ。しかもあの皇帝、不死鳥を選ばれた正妃と一緒に食べるとか言い始めて、そうこうしてるうちに流れで俺まで妃選びの儀式に巻き込まれた」
そう言うと、彼は顔を引き攣らせて笑った。
「そんなことって、普通あるの? 今日情報収集してたから何があったかは大体把握してるけど、レイナルドには何かこう、創生の女神に選ばれた何かがあるってこと……?」
「ねーよ。あったら突き返したい」
げっそりした声が出た。
手のひらの上でころころ転がって遊んでいる雛を見ながら、いじけた気持ちになった。
俺もそう思うんだよ。
この世界の女神は俺に恨みでもあるのか?
「王宮にリリーも一緒にいるんだよね。二人ともこの前の封印結界の事件といい、今回の件といい、なんというか不憫……」
「そのきっかけを作ったやつには言われたくねぇなぁ?」
イラッとした顔でメンチを切ると、怯えた顔になったオズワルドが首をぶんぶん横に振った。
「うそうそ。今の俺の本音じゃない。友達としては本当に心配してるの。だから怒らないで。そうだ! 朗報があるよ、レイナルド」
大きな声が出てしまって驚いた雛がぴょんと跳ねたので、俺は慌てて小声で謝りながら雛を指で撫でた。
オズワルドのセリフに首を傾げて訝しげな目を向ける。
「今度はなんだよ」
「昨日から今日にかけて、クレイドル王国の領内で結構な規模の爆発が何度か起きているらしいよ」
それを聞いて俺は真顔になる。
まさか。
「うちの近衛騎士団が派遣されてる魔物の出現地域で立て続けに発生してるみたい。この分だと魔物の殲滅が今日中には終わる勢いだって。あとね、兄上から昨日聞いた。俺とレイナルドにとっては吉報なのか凶報なのかわからないけど、団長既に知ってるって。レイナルドが俺に連れ去られてラムルにいるの」
それよりも、子猿を追いかけて闇雲に走ってしまったせいで鈴園への魔法陣がある金色の扉がどこにあったか分からなくなってしまったことが問題だった。
もし迷子になってしまったらどうしたらいいのか。
最悪誰かが歩いてきたら道を聞くか、マスルールが典礼の間はイラムで寝泊まりしていると言っていたから、彼の居場所を聞いてみるしかない。さっきの今で苦言を呈されるだろうが、仕方がない。
しばらく歩いてみても、やはり金色の扉を見つけることは出来なかった。
ここは誰でもいいから人を探そうと目的を変えて、広い廊下を進んでいくとちょうど前から人の気配がする。
曲がり角のところで数人が何か話しているのを見つけ、俺は急いで駆け寄った。近づくと、話し声の内容がだんだん聞こえてくる。
「……だから、ここにはいないってことだろう。上には行けないのに捕まえて来いだなんて無茶を言う」
「ここを探しても無意味ということだよな。それにしても何だったか、世話係は金髪の男だったか」
「そうだ。金髪に緑の目の男で、今はそいつが卵を持っているらしい」
そこまで聞いて、俺はその会話の不穏な内容に気づき足を止めた。
しかし特に潜めることなく駆け寄った俺の足音は聞こえたらしく、曲がり角から顔を出した男と目があってしまった。
今金髪に緑の目の男って言った?
それって、俺のことでは?
話の内容からして不死鳥の卵を狙っているとしか思えない。
人相の悪い男と見つめ合うこと数秒、俺はくるりと背を向けて来た道を駆け戻った。
「あ! おいいたぞ! あいつだ!」
すぐに男達が追いかけてくる足音が後ろから聞こえる。
やっぱりそうじゃん!
何でまたこんなことに!
暗い廊下を走りながら俺は壁に頭を打ち付けたくなる。
もういい加減にしてくれよ。
なんで次から次へと面倒なことが襲いかかってくるんだ。
マスルールのやつ、イラムには皇族の関係者しか上がって来れないんじゃなかったのか。怪しい奴らが入り込んでるぞ!
鞄を抱えながら全力で走り、曲がり角をいくつか曲がって撒こうとしたが、男達はついて来る。
そのうち厨房とその近くの回廊に行き当たって、穀物を貯めておくための大きな壺が中庭にたくさん並んでいるのを見つけた。走って中を覗くと、いくつかは空のものもある。
追いかけてくる男達の足音が聞こえたので、咄嗟に壺の中の一つに飛び込んだ。
大きな水瓶くらいの大きさのある壺の中は空洞で、俺が入ってもまだ余裕があるくらいだった。
やり過ごそうと息を顰めると、走ってきた男達が中庭に出てくる気配がする。
「くそ、どこ行った」
「あいつ、鞄を持っていたな。あの中に卵があったんじゃないか」
「まだこの辺りにいるだろう、探せ」
そう声が聞こえてくるのを息を殺しながらやり過ごしていると、バラバラに散らばっていく足音の中の一つが、だんだん俺のいる壺に近づいてくる。
まずい。ここで見つかったら逃げ場がない、と青ざめて鞄をぎゅっと抱えた。すると圧迫されて驚いたのか、雛が鞄の中から「ぴっ」と小さな鳴き声をあげた。俺はぎくっとして身を強ばらせる。
「おい、今なにか」
と言いかけた声が急に途切れた。
息を引き絞るような小さな悲鳴の後、「忘れろ」と小さく囁く声が聞こえた。そしてドサリと何かが倒れる音がする。
この声はまさか。
聞き覚えのある声に俺は上を見上げる。
「……レイナルド? 大丈夫?」
ひょこりと壺の中を覗き込んできた顔を見て、思わず口を開けた。
「オズ?」
「うん。遅くなってごめんね」
生真面目なその顔を見たら緊張が解けて、俺は詰めていた息を吐き出した。
「助かった。さっきの奴ら、三人くらいいたけど全員倒した?」
「うん。多分。泥棒かな? とりあえず気絶させておいたけど。さすがにあれが友達ではないということは俺にだってわかるよ」
妙に誇らしげに言われて脱力した。
「お前、どうやってイラムに入り込んだんだ」
オズワルドの顔を見上げながら呆れ半分の声を出して聞くと、微かに眉を上げた彼は少し言いづらそうに頭を掻いた。
「さすがにちょっと大変だったけど。まぁ、色々、俺の能力を駆使してってところ」
「そうか。お疲れ」
「レイナルドもね」
詳しく追求するのはやめた。
今日は色々ありすぎてもう何を聞いてもどうせ右から左だ。
心の中でマスルールにイラムの警備ガバガバじゃねーか、後宮がそれでいいのか、とツッコミを入れるだけである。
差し出された彼の手をとり、鞄を抱えながら壺をよじ登って外に出た。
オズワルドは俺と同じような白い民族衣装を着て、髪は珍しく横に流して緩く編んでいた。銀色の髪を留めている琥珀の髪飾りがやけに目立つ。
地面にぴょんと飛び降りると俺を眺めていた彼は卵の殻が入った袋に目を留めた。
「その袋どうしたの」
「マスルールさんがくれた。スカーフだと肩に食い込んで痛かったから。そんなことよりオズ、大変なことが」
俺が説明しようとした時、地面に飛び降りた振動に驚いたのか袋の中で雛がまた「ぴぃ」と鳴いた。
その声を聞いた途端、オズワルドが真顔になる。
「産まれたの」
「うん、ついさっき」
「殻は」
「殻?」
予想外のところに食いつく彼を少し不思議に思いながら、俺は鞄を指差した。
「入ってるよ。多分全部拾ったと思うけど」
そう言うと、王子はほっとした顔をした。
「拾ってくれてあるなら良いんだ。ありがとう」
妙に真剣な顔をしているオズワルドに、「人目につきにくいところに移動しよう」と言って回廊の隅の方に移動した。
周りに人気がないことを確認してから、鞄の蓋を開けてタオルに包まれた雛を渡す。
慎重にタオルを開いた彼に擦り寄っていくかと思いきや、雛は王子を見上げると高く鳴いて俺の方を見た。必死に足踏みして俺のところへ戻ろうと翼をはためかせる。
おかしいな。皇族には懐くはずじゃなかったっけ。
その様子を見てオズワルドは苦笑して俺を見た。
「ずいぶん懐かれたみたいだね。不死鳥が皇族以外に刷り込みされるなんてレアだよ」
「産まれた時に俺がいたからかな」
「うーん……多分レイナルドが暖めてくれてたことをこの子も覚えてるんだと思う」
優しく翼を指で撫でながら彼は表情を緩めた。
「もう産まれる頃だと思っていたんだ。無事に産まれてよかった。ありがとう。レイナルドのおかげだな」
「いや……。このままでいいのか? 何か食べさせたり、身体を拭いたりとかは?」
俺が心配でそう聞くと、オズワルドは首を横に振った。
「大丈夫だよ。雛は卵の殻をちょっとずつ食べて、栄養はそれで十分持つから、あとは何か飲みたがったら朝露を飲ませるくらいで」
「そうか、わかった」
殻を食べていいと聞いて安心した。
「心配しなくても、不死鳥の雛は卵と同じでタフなんだ。そんなに気負わなくてもすぐ死なないよ。むしろ、こんなに小さくても不死鳥だから、死んでも蘇る」
蘇る。
そうか。この子は不死鳥だもんな。
ずっと俺の方に戻ろうとして「ぴぃぴぃ」鳴いている不死鳥の雛をオズワルドは俺に返してきた。両手で受け取ると雛は安心したのか俺に擦り寄って黙る。ぐうの音も出ないほど可愛い。
俺の顔を見て、オズワルドは首を傾げた。
「昨日の今日でまさかレイナルドが鈴園に連れ込まれてるとは思いもしなかったよ」
半ば感心した声を出す彼に、俺はため息を吐きながら愚痴を言う。
「まさかこんなことになるなんて俺だって思わなかったよ。しかもあの皇帝、不死鳥を選ばれた正妃と一緒に食べるとか言い始めて、そうこうしてるうちに流れで俺まで妃選びの儀式に巻き込まれた」
そう言うと、彼は顔を引き攣らせて笑った。
「そんなことって、普通あるの? 今日情報収集してたから何があったかは大体把握してるけど、レイナルドには何かこう、創生の女神に選ばれた何かがあるってこと……?」
「ねーよ。あったら突き返したい」
げっそりした声が出た。
手のひらの上でころころ転がって遊んでいる雛を見ながら、いじけた気持ちになった。
俺もそう思うんだよ。
この世界の女神は俺に恨みでもあるのか?
「王宮にリリーも一緒にいるんだよね。二人ともこの前の封印結界の事件といい、今回の件といい、なんというか不憫……」
「そのきっかけを作ったやつには言われたくねぇなぁ?」
イラッとした顔でメンチを切ると、怯えた顔になったオズワルドが首をぶんぶん横に振った。
「うそうそ。今の俺の本音じゃない。友達としては本当に心配してるの。だから怒らないで。そうだ! 朗報があるよ、レイナルド」
大きな声が出てしまって驚いた雛がぴょんと跳ねたので、俺は慌てて小声で謝りながら雛を指で撫でた。
オズワルドのセリフに首を傾げて訝しげな目を向ける。
「今度はなんだよ」
「昨日から今日にかけて、クレイドル王国の領内で結構な規模の爆発が何度か起きているらしいよ」
それを聞いて俺は真顔になる。
まさか。
「うちの近衛騎士団が派遣されてる魔物の出現地域で立て続けに発生してるみたい。この分だと魔物の殲滅が今日中には終わる勢いだって。あとね、兄上から昨日聞いた。俺とレイナルドにとっては吉報なのか凶報なのかわからないけど、団長既に知ってるって。レイナルドが俺に連れ去られてラムルにいるの」
909
あなたにおすすめの小説
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
【8話完結】いじめられっ子だった俺が、覚醒したら騎士団長に求愛されました
キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。
けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。
そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。
なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」
それが、すべての始まりだった。
あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。
僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。
だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。
過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。
これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。
全8話。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。