『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド

マイマイン

文字の大きさ
23 / 48
4章 幻想界世界会議

4-5 聖山での対決

しおりを挟む
 竜に変身したエルニスは、天使のつばさを広げ、背中にキャンベルを乗せて聖山の頂上を目指して飛翔ひしょうしています。振り落とされないように、キャンベルはしっかりとエルニスにつかまっています。

「しかし、高い山だな・・・!」
「ええ、この聖山は、幻想界ファンアジアで一番高い山と言われています」
「なるほど、それに、なんだかここ、なつかしい感じがするなぁ・・・!」

 山の中腹まで来たところで、エルニスはゆっくりと着陸し、キャンベルを下ろして翼をたたみます。
「こんなところに、集落があったなんて・・・!」

 エルニスたちがいるところは、シンプルな白いテントの家々が立ち並ぶ集落で、周りをエルニスと同じような竜人たちが行きかっています。

「ここって・・・もしかして・・・!?」エルニスの姿を見た竜人は、すぐさまかけよってきます。

「これは・・・!エルニス坊ちゃん!」エルニスは戸惑いながらうなずきます。
「やはり、この雰囲気ふんいきはエルニス坊ちゃんです!さぁ、現在、里は大変なことになっています!シーザー様の元へ!」

 エルニスとキャンベルは竜人に連れられて里の一番大きなテントの元に向かいます。テントの中にいた里長のシーザーは、一回り大きいとはいっても、その姿は竜になったエルニスと瓜二つです。

「おお!エルニス!どこに行っていたのだ!?」エルニスはキョトンとしています。
「あなたは・・・!?」
「・・・実の父の顔を忘れたのか・・・!?」エルニスが混乱していると、キャンベルが言いました。

「エルニスさんは現在、記憶きおくを失っているんです。それまでは下界で暮らしていたんですよ、申し遅れました、わたしはエルニスさんの友人のキャンベルです」キャンベルはお辞儀じぎをしました。

「そうか・・・エルニスは記憶を失ってしまったのか・・・!それで、お主は下界にいる間、エルニスに良くしてくれたのか・・・まずは礼を言おう・・・!」そこで、エルニスはたずねました。

「それで、大変な事って?」
「ああ、見たまえ、あのよどんだ空を・・・!」テントを出て、シーザーが指さした方を見ると、頂上では、どす黒い雲が渦を巻いていたのです。

「あそこにいる邪悪な者の討伐のため、何人か戦士たちを送り込んだが、皆、返り討ちにあった!」
「やっぱり、ぼくがあいつを倒しに行きます!」
「お前が!?まだ一人前にもなっていないのに!?」これに、キャンベルが言いました。

「もし、行くのなら、これを持って行ってください!」エルニスは勇者の帽子を手渡されました。
「それは・・・もしや!?」

 竜になったエルニスは勇者の帽子をかぶって、黒い雲の中へと飛び込みました。

「来たか・・・勇者エルニスよ!」目の前に、悪魔の翼を広げたグレゴリーが現れました。
「その帽子は・・・!?いいだろう!さっきは加減したが、こうなっては全力で相手しよう!」グレゴリーは右の爪を振りかざして迫ってくると、エルニスも爪で受け止めます。

「・・・力が・・・強い!」エルニスが徐々に押し負けていきます。
「ほれ!もう一発!」グレゴリーが左腕でエルニスをぎ払うと、エルニスは避けきれずダメージを受けました。

「ぐっ・・・!」エルニスは電撃を放つと、グレゴリーは風の渦で電撃をかき消してしまいます。

「あの時は加減したと言っただろう?やはり弱いな!期待ハズレだぜ!」エルニスは、グレゴリーの爪の嵐を受けては流しの防戦一方で、エルニスはまた吹っ飛ばされてしまいました。

「このままじゃ・・・どうすれば・・・!?」すると、落雷がエルニスに直撃し、体に力がみなぎっていくのを感じました。
「この感じ・・・!そうだ!」エルニスは何を思ったのか、さらに上空に飛び立ちます。

「逃げる気か!?待て!」グレゴリーも後を追います。すると、エルニスは両腕を天にかざし、落雷を受け止めると、雷を身にまとい、一気に垂直すいちょく降下こうかしました。

「・・・まぶしい!」グレゴリーは目がくらみ、風の渦を巻き起こしましたが、それでもエルニスの一撃を防ぎきれず、そのままクルクル回りながら落下していったのです。そして、どす黒い雲が晴れていくのが分かりました。

 戦いを終えると、エルニスはシーザーに言いました。

「父さん!あの邪悪な者は、世界を手中に収めようとしている魔王軍の手下なんだ!どうか、下の町のリュッケンシルトに行って、話し合いに参加してほしいんだ!」シーザーはおどろきました。

「なんだと!?下界がそんなことになっているだと!?と、ならば我々も無関心ではいられないということか・・・それに、エルニス、記憶が戻ったのか!?」エルニスはうなずきました。

「思い出したよ、ぼく、飛べるようになったのがうれしくてつい、下界まで飛んでしまったんだ」
「そうか、ならば私も下の町におもむこう!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

かぐや

山碕田鶴
児童書・童話
山あいの小さな村に住む老夫婦の坂木さん。タケノコ掘りに行った竹林で、光り輝く筒に入った赤ちゃんを拾いました。 現代版「竹取物語」です。 (表紙写真/山碕田鶴)

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。  大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance! (also @ なろう)

幸せのろうそく

マイマイン
児童書・童話
 とある森の中にある町に住むおばあさんは、お祭りの日に「死んだ孫娘のキャンベルとまた暮らしたい」と、祈りをささげると、そのキャンベルが妖精に生まれ変わっておばあさんの前に現れました。  これは、キャンベルが恵まれない人々を幸せにしていく短編童話です。

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

処理中です...