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第37話:悪役令嬢、高らかに宣戦布告す
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「…なんですって?」
私の、予想外の、反撃の言葉に、ロシュフォール宰相は、怪訝な顔で、眉をひそめた。
隣のリリアナも、「この状況で、何を言っているの?」とでも言いたげな、侮蔑の視線を、私に、向けてくる。
無理もない。
彼らにとっては、私たちは、袋の鼠。
いつでも、潰せる、哀れな、駒のはずなのだから。
「聞こえませんでしたこと? でしたら、もう一度、申し上げてさしあげますわ」
私は、扇子を、ぱちん、と、優雅に開くと、その口元を、隠した。
悪役令嬢の、十八番だ。
「あなた方の、退屈な、お芝居は、もう、おしまい。これからは、わたくしたちの、ステージですのよ」
「ほざきなさい!」
リリアナが、甲高い声で、叫んだ。
「追い詰められて、気が、狂ったのね、イザベラさん! あなたが、何を言おうと、もう、無駄なことですわ!」
「あら、リリアナ様。その、下品な、物言いは、やめた方が、よろしくてよ? あなた、一応、聖女様、なのでしょう?」
私の、皮肉に、彼女の顔が、怒りで、赤く染まる。
ああ、楽しい。
今まで、散々、やられてきた分、こうして、やり返すのは、実に、気分がいい。
「宰相閣下」
私の隣で、今まで、黙っていた、ゼノン様が、静かに、口を開いた。
その声は、絶対零度の、冷気を、まとっている。
「貴様の、10年にわたる、姑息な、企み。そのすべて、我々は、見抜いている」
「なっ…!?」
ゼノン様の言葉に、宰相の顔が、初めて、明確に、強張った。
ただ、牢獄から、戻ってきただけではない。
自分たちの、秘密を、知られてしまった、と。
「リリアナを、使い、俺の記憶を、操作したこと。そして、イザベラの記憶を、封じたこと。すべて、だ」
「馬鹿な…! ありえん! そのことを、知る者など、いるはずが…!」
「知っている者が、ここに、いる」
ゼノン様は、私の肩を、強く、抱き寄せた。
「貴様らの、思惑は、外れた。俺とイザベラは、偽りの過去を、乗り越え、真実の絆で、結ばれた。もはや、貴様らの、どんな、小細工も、我々には、通用せん」
そうだ。
これこそが、宰相の、最大の、誤算。
彼は、私たちを、引き裂こうとして、逆に、私たちを、強く、結びつけてしまったのだ。
「…面白い」
しばらくの、動揺の後、宰相は、ふっと、息を吐いた。
そして、その顔には、冷酷な、政治家の、仮面が、再び、貼り付けられる。
「実に、面白い。まさか、そこまで、たどり着くとは。あなた方を、少し、見くびっていたようですな」
彼は、もはや、動揺を、隠そうともしない。
開き直った、ということか。
「ですが」と、彼は続けた。
「真実を、知ったところで、あなた方に、一体、何ができますかな?」
彼は、嘲笑うように、言った。
「すでに、王宮は、完全に、我が、手中にある。国王陛下も、王妃殿下も、我が意のままだ。アラン王子も、今頃は、反逆罪の、濡れ衣を、着せられ、牢獄の中でしょう」
「なんですって!?」
アラン殿下が!?
そんな…!
「あなた方は、孤立無援。この国に、もはや、あなた方の、味方など、一人も、おりませんぞ」
リリアナも、勝ち誇ったように、付け加える。
「哀れな方々。あなたたちの、居場所は、もう、どこにも、ありませんわ。大人しく、ここで、消えてくだされば、よかったものを」
絶望的な、状況。
戦力差は、歴然。
どう考えても、私たちに、勝ち目はない。
でも。
「いいえ、それは、違いますわ」
私は、毅然として、言い返した。
「わたくしたちには、まだ、最強の、切り札が、残っておりますもの」
「切り札、だと?」
宰相が、訝しげに、尋ねる。
「ええ」
私は、にっこりと、悪役令嬢らしく、微笑んでみせた。
「それは、“民意”、ですわ」
「…民意?」
「あなたがたが、どれほど、王宮を、掌握しようとも、この国の、主役は、国民です。そして、国民は、真実を、知る権利がある」
私は、扇子で、ビシッ、と、宰相を、指差した。
「わたくしたちが、あなたの、すべての悪事を、公の場で、暴き出した時。果たして、国民は、どちらを、支持するでしょうかな? 楽しみですわね」
私の、宣戦布告。
それは、武力ではなく、情報戦で、戦うという、意思表示だった。
宰相は、一瞬、虚を突かれた顔をしたが、すぐに、鼻で、笑った。
「…愚かな。証拠もなしに、誰が、お前たちの、戯言を、信じるというのか」
「あら、証拠なら、これから、作らせていただきますわ」
私は、不敵に、笑い返す。
「わたくし、こう見えても、悪役令嬢ですのよ? 人を、陥れるための、証拠の捏造くらい、お手の物ですわ。…ふふっ、冗談ですけれど」
最後の、一言は、余計だったかもしれない。
ゼノン様に、じろり、と、睨まれてしまった。
「…もう、よいでしょう」
宰相は、私たちの、茶番に、付き合うのに、飽きたようだった。
「口先だけの、威勢も、そこまでだ。――やれ」
彼の、短い命令と共に、黒装束の男たちが、一斉に、私たちへと、襲いかかってきた。
いよいよ、始まる。
本当の、戦いが。
「ゼノン様!」
「ああ!」
私たちは、背中合わせに、なる。
絶望的な、状況でも、不思議と、心は、穏やかだった。
隣に、彼が、いる。
ただ、それだけで、無限の力が、湧いてくるようだった。
私の、予想外の、反撃の言葉に、ロシュフォール宰相は、怪訝な顔で、眉をひそめた。
隣のリリアナも、「この状況で、何を言っているの?」とでも言いたげな、侮蔑の視線を、私に、向けてくる。
無理もない。
彼らにとっては、私たちは、袋の鼠。
いつでも、潰せる、哀れな、駒のはずなのだから。
「聞こえませんでしたこと? でしたら、もう一度、申し上げてさしあげますわ」
私は、扇子を、ぱちん、と、優雅に開くと、その口元を、隠した。
悪役令嬢の、十八番だ。
「あなた方の、退屈な、お芝居は、もう、おしまい。これからは、わたくしたちの、ステージですのよ」
「ほざきなさい!」
リリアナが、甲高い声で、叫んだ。
「追い詰められて、気が、狂ったのね、イザベラさん! あなたが、何を言おうと、もう、無駄なことですわ!」
「あら、リリアナ様。その、下品な、物言いは、やめた方が、よろしくてよ? あなた、一応、聖女様、なのでしょう?」
私の、皮肉に、彼女の顔が、怒りで、赤く染まる。
ああ、楽しい。
今まで、散々、やられてきた分、こうして、やり返すのは、実に、気分がいい。
「宰相閣下」
私の隣で、今まで、黙っていた、ゼノン様が、静かに、口を開いた。
その声は、絶対零度の、冷気を、まとっている。
「貴様の、10年にわたる、姑息な、企み。そのすべて、我々は、見抜いている」
「なっ…!?」
ゼノン様の言葉に、宰相の顔が、初めて、明確に、強張った。
ただ、牢獄から、戻ってきただけではない。
自分たちの、秘密を、知られてしまった、と。
「リリアナを、使い、俺の記憶を、操作したこと。そして、イザベラの記憶を、封じたこと。すべて、だ」
「馬鹿な…! ありえん! そのことを、知る者など、いるはずが…!」
「知っている者が、ここに、いる」
ゼノン様は、私の肩を、強く、抱き寄せた。
「貴様らの、思惑は、外れた。俺とイザベラは、偽りの過去を、乗り越え、真実の絆で、結ばれた。もはや、貴様らの、どんな、小細工も、我々には、通用せん」
そうだ。
これこそが、宰相の、最大の、誤算。
彼は、私たちを、引き裂こうとして、逆に、私たちを、強く、結びつけてしまったのだ。
「…面白い」
しばらくの、動揺の後、宰相は、ふっと、息を吐いた。
そして、その顔には、冷酷な、政治家の、仮面が、再び、貼り付けられる。
「実に、面白い。まさか、そこまで、たどり着くとは。あなた方を、少し、見くびっていたようですな」
彼は、もはや、動揺を、隠そうともしない。
開き直った、ということか。
「ですが」と、彼は続けた。
「真実を、知ったところで、あなた方に、一体、何ができますかな?」
彼は、嘲笑うように、言った。
「すでに、王宮は、完全に、我が、手中にある。国王陛下も、王妃殿下も、我が意のままだ。アラン王子も、今頃は、反逆罪の、濡れ衣を、着せられ、牢獄の中でしょう」
「なんですって!?」
アラン殿下が!?
そんな…!
「あなた方は、孤立無援。この国に、もはや、あなた方の、味方など、一人も、おりませんぞ」
リリアナも、勝ち誇ったように、付け加える。
「哀れな方々。あなたたちの、居場所は、もう、どこにも、ありませんわ。大人しく、ここで、消えてくだされば、よかったものを」
絶望的な、状況。
戦力差は、歴然。
どう考えても、私たちに、勝ち目はない。
でも。
「いいえ、それは、違いますわ」
私は、毅然として、言い返した。
「わたくしたちには、まだ、最強の、切り札が、残っておりますもの」
「切り札、だと?」
宰相が、訝しげに、尋ねる。
「ええ」
私は、にっこりと、悪役令嬢らしく、微笑んでみせた。
「それは、“民意”、ですわ」
「…民意?」
「あなたがたが、どれほど、王宮を、掌握しようとも、この国の、主役は、国民です。そして、国民は、真実を、知る権利がある」
私は、扇子で、ビシッ、と、宰相を、指差した。
「わたくしたちが、あなたの、すべての悪事を、公の場で、暴き出した時。果たして、国民は、どちらを、支持するでしょうかな? 楽しみですわね」
私の、宣戦布告。
それは、武力ではなく、情報戦で、戦うという、意思表示だった。
宰相は、一瞬、虚を突かれた顔をしたが、すぐに、鼻で、笑った。
「…愚かな。証拠もなしに、誰が、お前たちの、戯言を、信じるというのか」
「あら、証拠なら、これから、作らせていただきますわ」
私は、不敵に、笑い返す。
「わたくし、こう見えても、悪役令嬢ですのよ? 人を、陥れるための、証拠の捏造くらい、お手の物ですわ。…ふふっ、冗談ですけれど」
最後の、一言は、余計だったかもしれない。
ゼノン様に、じろり、と、睨まれてしまった。
「…もう、よいでしょう」
宰相は、私たちの、茶番に、付き合うのに、飽きたようだった。
「口先だけの、威勢も、そこまでだ。――やれ」
彼の、短い命令と共に、黒装束の男たちが、一斉に、私たちへと、襲いかかってきた。
いよいよ、始まる。
本当の、戦いが。
「ゼノン様!」
「ああ!」
私たちは、背中合わせに、なる。
絶望的な、状況でも、不思議と、心は、穏やかだった。
隣に、彼が、いる。
ただ、それだけで、無限の力が、湧いてくるようだった。
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