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第43話:悪役令嬢の、誠意の証
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リリアナとの、不毛な、心理戦を、繰り返すこと、数日。
宰相は、相変わらず、私に、何も、命じてこなかった。
焦れてきたのは、私の方だった。
このままでは、時間だけが、過ぎていってしまう。
『何か、動き出さないと…!』
そう、考えていた、矢先のことだった。
その日、宰相が、初めて、私を、彼の執務室へと、呼び出したのだ。
「よく、来たな、イザベラ嬢」
彼は、椅子に、深く、腰掛けたまま、私を、見据えている。
その瞳は、値踏みするように、冷たい。
「はい、閣下。して、本日は、どのような、ご用件で、ございましょうか」
「うむ。君が、我々の、仲間になってから、数日が経った。そろそろ、君の、**“誠意”**とやらを、見せてもらおうかと、思ってな」
来た。
ついに、彼が、動き出す。
「誠意、ですな」
「そうだ。君が、本当に、ゼノン・シルヴァーグを、憎んでいるというのなら、我々に、協力できることが、あるはずだ」
彼は、地図を、広げた。
「君には、ゼノンと、アラン王子が、潜んでいる、隠れ家の場所を、突き止めてもらいたい」
それは、最悪の、試練だった。
仲間を、売れ、というのか。
『…もちろん、これも、想定内よ』
ゼノン様たちとは、あらかじめ、打ち合わせをしてある。
もし、こう聞かれたら、伝えるべき、偽の情報を。
私は、一瞬、ためらう、フリをした。
そして、苦悩の表情を、浮かべてみせる。
「…わかり、ましたわ」
「ほう、やるかね?」
「ええ。あの男たちへの、復讐のためならば…」
私は、地図の、一点を、指差した。
王都の、東の外れにある、古い、教会の跡地だ。
「おそらく、彼らは、ここに、潜んでいるかと、存じます」
「…ほう? なぜ、そう思う?」
「以前、アラン殿下が、お忍びで、慈善活動を、行っていた場所ですわ。彼が、信頼する、神父が、管理しており、いざという時の、隠れ家として、使っている、と、聞いたことが、あります」
もっともらしい、嘘を、並べる。
もちろん、そんな事実は、ない。
そこは、ただの、廃墟だ。
宰相は、私の言葉を、じっと、聞いていた。
その表情からは、信じているのか、疑っているのか、読み取ることが、できない。
「…わかった」
しばらくの、沈黙の後、彼は、言った。
「君の、情報を、信じるとしよう。すぐに、兵を、向かわせる」
「は、はい…!」
「もし、この情報が、真実であれば、君を、我々の、正式な、一員として、認めよう。だが」
彼の声が、低くなる。
「もし、これが、嘘であった場合は…わかるな?」
「……はい。その時は、この命、潔く、差し出しますわ」
「よろしい」
彼は、満足げに、頷いた。
私は、執務室を、後にしながら、内心、安堵の息を、漏らした。
第一段階は、成功だ。
宰相は、私の、偽の情報に、食いついた。
今頃、ゼノン様と、アラン殿下は、この陽動作戦を、利用して、別の、行動を、起こしているはずだ。
私が、宰相の、注意を、引きつけている、この間に。
問題は、ここから。
宰相が、兵を、動かし、この城の、警備が、手薄になる、今夜。
私にとって、最大の、そして、唯一の、チャンスが、訪れる。
宰相の、執務室への、潜入。
失敗は、許されない、一世一代の、大勝負。
私は、高鳴る、心臓を、抑えながら、夜が、来るのを、静かに、待った。
宰相は、相変わらず、私に、何も、命じてこなかった。
焦れてきたのは、私の方だった。
このままでは、時間だけが、過ぎていってしまう。
『何か、動き出さないと…!』
そう、考えていた、矢先のことだった。
その日、宰相が、初めて、私を、彼の執務室へと、呼び出したのだ。
「よく、来たな、イザベラ嬢」
彼は、椅子に、深く、腰掛けたまま、私を、見据えている。
その瞳は、値踏みするように、冷たい。
「はい、閣下。して、本日は、どのような、ご用件で、ございましょうか」
「うむ。君が、我々の、仲間になってから、数日が経った。そろそろ、君の、**“誠意”**とやらを、見せてもらおうかと、思ってな」
来た。
ついに、彼が、動き出す。
「誠意、ですな」
「そうだ。君が、本当に、ゼノン・シルヴァーグを、憎んでいるというのなら、我々に、協力できることが、あるはずだ」
彼は、地図を、広げた。
「君には、ゼノンと、アラン王子が、潜んでいる、隠れ家の場所を、突き止めてもらいたい」
それは、最悪の、試練だった。
仲間を、売れ、というのか。
『…もちろん、これも、想定内よ』
ゼノン様たちとは、あらかじめ、打ち合わせをしてある。
もし、こう聞かれたら、伝えるべき、偽の情報を。
私は、一瞬、ためらう、フリをした。
そして、苦悩の表情を、浮かべてみせる。
「…わかり、ましたわ」
「ほう、やるかね?」
「ええ。あの男たちへの、復讐のためならば…」
私は、地図の、一点を、指差した。
王都の、東の外れにある、古い、教会の跡地だ。
「おそらく、彼らは、ここに、潜んでいるかと、存じます」
「…ほう? なぜ、そう思う?」
「以前、アラン殿下が、お忍びで、慈善活動を、行っていた場所ですわ。彼が、信頼する、神父が、管理しており、いざという時の、隠れ家として、使っている、と、聞いたことが、あります」
もっともらしい、嘘を、並べる。
もちろん、そんな事実は、ない。
そこは、ただの、廃墟だ。
宰相は、私の言葉を、じっと、聞いていた。
その表情からは、信じているのか、疑っているのか、読み取ることが、できない。
「…わかった」
しばらくの、沈黙の後、彼は、言った。
「君の、情報を、信じるとしよう。すぐに、兵を、向かわせる」
「は、はい…!」
「もし、この情報が、真実であれば、君を、我々の、正式な、一員として、認めよう。だが」
彼の声が、低くなる。
「もし、これが、嘘であった場合は…わかるな?」
「……はい。その時は、この命、潔く、差し出しますわ」
「よろしい」
彼は、満足げに、頷いた。
私は、執務室を、後にしながら、内心、安堵の息を、漏らした。
第一段階は、成功だ。
宰相は、私の、偽の情報に、食いついた。
今頃、ゼノン様と、アラン殿下は、この陽動作戦を、利用して、別の、行動を、起こしているはずだ。
私が、宰相の、注意を、引きつけている、この間に。
問題は、ここから。
宰相が、兵を、動かし、この城の、警備が、手薄になる、今夜。
私にとって、最大の、そして、唯一の、チャンスが、訪れる。
宰相の、執務室への、潜入。
失敗は、許されない、一世一代の、大勝負。
私は、高鳴る、心臓を、抑えながら、夜が、来るのを、静かに、待った。
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