【R18】温和はオトメをもっと上手に愛したい

鷹槻れん

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*お仕置き

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 俺の心ない言葉に、音芽おとめはいたく傷ついた顔をして……それでも涙をぐっと堪えて俺を睨みつけてきた。

 彼女が時折見せる、そういう芯のあるところが、俺は本当に好きだ。

「……だからさっき、お風呂入ったりしなきゃいけないって言ったじゃんっ!」

 涙目の音芽の、凛とした表情を見ていたら俺も少しずつ気持ちが落ち着いてきて――。

 においが嫌なら落とせばいいじゃねぇかと、彼女のセリフをヒントに思い当たる。

「風呂……か。それも悪くないな」
 一人得心が言ったようにつぶやくと、
「待ってな、湯張りしてきてやる」

 善は急げとばかりにそう言って、音芽の部屋のバスルームへ向かった。


 ベッド同様音芽は風呂場もとても綺麗に整えていて……洗い場にも脱衣所にも髪の毛一本落ちていなかった。

(ホント、アイツ、どんだけ家庭的なんだよ)

 音芽を奥さんに出来たら、さぞや家を綺麗に保ってくれるだろうなと思ったら、心臓がトクトクと脈打って、何とも落ち着かない気持ちになる。

 音芽を嫁にできる幸せ者はどこのどいつだろうか。

 そもそも、ああ見えて妹を溺愛している奏芽かなめのお眼鏡に適う男なんているんだろうか。

 奏芽アイツは俺が音芽を好きなことを知っていて、たまに応援してくれるような素振りを見せる。
 もしかして、幼なじみのよしみで俺になら構わないと思ってくれていたりするのかな?

 いや、でも……。その前に俺、音芽にちゃんと好きだと伝えられる日が来るんだろうか。

 風呂の給湯スイッチを押して脱衣所を出ると、音芽おとめが自分のTシャツの胸元を引っ張って、そこに鼻を寄せているのが見えた。

(俺がくさいって言ったの、気にしてるのか)

 若い女性ににおいの指摘をすれば気にしないはずがない。
 可愛い音芽にそんな配慮もしてやれなかった先ほどの自分が恨めしくてたまらない。

 音芽のその真剣な顔を見ていたら、申し訳ない気持ちが募った。

 風呂場から出てきたくせに、そんな音芽に何と声をかければいいのか分からず戸惑った俺は、しばしその場に立ち尽くす。

 うつむいていて、髪の毛が落ちてきたのが邪魔になったんだろう。
 無意識に顔の横へ流れてきた髪を耳に掛ける仕草が色っぽくて、つい目を奪われてしまった。

 その横顔が物憂げに何か思案している風に見えて、俺は目を細めて音芽の様子を凝視する。
 
 何か考え事をするとき、音芽は今みたいに髪を耳に掛けたり、指先に巻きつけてもてあそぶことがある。

 仕草と表情で、彼女が何か思い悩んでいると感じた俺は、音芽にどう接するべきか迷っていたことも忘れて無言で彼女のすぐそばに立っていた。

 物思いで俺が近付くのに気付くのが遅れた音芽だが、さすがにすぐ横に立った気配に、ハッとしたように顔を上げて俺を見上げてきた。

 その瞳が躊躇いに小さく揺れたのを、俺は見逃さない。

 思わず詰問きつもんするみたいに「なに、考えてた?」と聞いてしまって、音芽をうつむかせてしまう。
 俺に言えないようなことか?って思ったら、彼女を責めるように問い詰める言葉を重ねてしまう。

「こっち向け音芽。――今、なにを、考えてた?」

 俺から視線を逸らす音芽を見逃してやることが出来なくて、あごをすくい上げてこちらを見るように仕向ける。

「な、なにもっ」
 往生際の悪い音芽は顔を固定されたからだろう。必死に視線を俺から逃がそうとする。
 その強情さに苛立ちが募った。
 
 思わず舌打ちして「お前さ、何でそんなに俺を苛つかせるのが上手いわけ?」と聞いたら、音芽がビクッと肩を震わせた。

 しまった、また言いすぎた。

 そう思った俺だったが、しかし次の瞬間には、音芽にキッ!と睨み返されていた。

 おい、ちょっと待て。何でそんなに怒ってるんだよ。
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